午前中の単波長光曝露を行い, 光曝露中における覚醒水準および覚醒水準と朝型/夜型行動特性の関連を検討した. 単波長光は638nm, 523nm, 465nmにピークを持つLED電球により曝露された. 放射照度は73.4μW/cm², 74.2μW/cm², 76.9μW/cm²であった. 測定項目は, 脳波α波帯域率, 時間推定, KSS主観眠気評価であった. 被験者の行動特性として朝型/夜型質問紙(MEQ)スコアが測定された. 統計解析は一元配置反復測定分散分析を行った. そして, 単波長光曝露に対する覚醒水準への影響と、個人差の1要素となる朝型/夜型行動特性との関連を調査するため, 波長条件ごとに, 横軸をMEQスコア, 縦軸を各種生理指標とする相関分析を行った. 結果は光曝露中と曝露直後, 465nm条件で638nm条件より10:30と12:05のCz部位のα波帯域率が有意に高かった. また, 465nm条件で638nm条件より10:30と12:05のKSS主観的眠気の得点は有意に高かった. また, 光曝露中と直後の10:00, 11:00, 12:00に一貫して, 465nm条件より638nm条件で180秒の時間推定は有意に短くなった. さらに, 465nm条件で光曝露中(10:30)と直後(12:05)の脳波α波はCzにおけるMEQとの相関が有意な負の相関を示した. したがって, 本実験の単波長光曝露は465nm条件で被験者の覚醒水準が低かった. この結果は朝型/夜型行動特性が中間型より, 夜型のほうが強かった. 夜型傾向に対し, この影響は赤色光より青色光のほうが顕著であることが示唆される. これはメラノプシンの感受性の概日リズムがあることが考えられる.
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