本研究の目的は,人体に均一な局所加温を負荷した時の温熱生理,感覚反応に及ぼす影響を検討することである。実験は健康な成人女子3名を対象に,気温35±0.5℃,湿度50±10%の暑熱環境下で行い,安静30分間,局所加温30分間,回復30分間中の鼓膜温,皮膚温,血流量,蒸散量,温冷感などを測定した。局所加温には45℃の水を循環させる15×20cmの加温パットを用いた。局所加温部位は頭,背,腰,上腕,下腿,足である。その結果,局所加温に対する生理,感覚反応は局所加温部位によって異なり,総合的に判断すると大きく3群に分けられた。足・上腕・背の加温では,鼓膜温・蒸散量の上昇がともに大きく,これに反して暑熱感の上昇は小さい,一方,頭の加温では,鼓膜温・蒸散量ともに反応が最小で,暑熱感の上昇が大きい。腰・下腿の加温では,生理,感覚反応ともに中程度の反応を示した。
抄録全体を表示