食品を用いた官能評価のパネルを選定するための味の識別試験の呈味物質濃度に関しては、約40年前から研究がなされているが、約40年前から食の多様化による変化によって、若者の味覚が変化している可能性がある。そこで、本研究では、既往の研究濃度を参考に、三点識別試験法を用いて大学生の味の識別能について検討を行った。得られた知見は以下のとおりである。1)味の検知率は、甘味が47.9%、塩味が98.6%、酸味が47.9%、苦味が49.3%、うま味が91.8%であった。味の認知率は、甘味が39.7%、塩味が68.5%、酸味が34.2%、苦味が35.6%、うま味が60.3%であった。2)既往の配偶法と今回の三点識別試験法の認知率を比較すると、塩味とうま味はほぼ同じ値であったが、甘味や酸味、苦味は三点識別試験法の方が約20~30%程度低い値であった。
ミストサウナ浴およびミストサウナ併用半身浴時における生体負担、温熱的快適性の特徴を明らかにするために、健康な男子大学生8名を対象に、全身浴や、半身浴と比較検討した。全身浴、半身浴の湯温は40℃、38℃とし、浴室温度は、全身浴、半身浴時が約25℃、ミストサウナ浴、ミスト半身浴は約38℃とし、入浴時間は10分間とした。半身浴にミストサウナ浴を併用することで、半身浴条件に比べ、浴後の平均皮膚温が高く維持され、主観的快適感も高く、半身浴を推奨する上での浴室暖房としての有効性が高いことが示唆された。さらに、ミストサウナ浴は、入浴中の血圧低下がなく、全身浴に比べ血圧変動が小さいことが示された。主観的には、顔の暑さを感じやすく、足の暖まりを感じにくい特徴があった。ミストサウナ浴における快適性をより高めるには、このような生理・心理反応の特徴を考慮し、ミストサウナの風向や温度などに配慮した入浴方法の提案が必要である。
我が国は、厚生労働省の推計によると認知症患者は予備群(軽度認知障害)を含めて800万人を超えるとされる。そうした状況を背景に、高齢福祉施設や、医療分野でも音楽療法や療育音楽が注目され、効果が期待されつつある。本研究は、近畿地方の5か所の高齢福祉施設において、開放された空間と閉鎖された空間で行われている音楽療法を調査した。そして、高齢者の音楽療法の声の音量やリズム感など音楽に対する反応について観察し、3段階で得点化した。また音楽療法後の高齢者の生活の変化を施設職員に質問紙により調査し、そのデータを男女、介護度、年齢別に分析検討した。その調査から、男女別では男性、介護度別は要介護3、年代別では90代の得点が高く、アンケート調査は60・70代の場合が高くなった。さらに開放された空間より閉ざされた空間で音楽療法を行う方が得点は高く、音楽療法士が指導している施設の方が、平均得点が高いことが示唆された。
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