人体からの局所発汗量の測定法としては現状,閉塞系の換気カプセル法が多く用いられている。一方,開放系として自然状態における皮膚からの水分蒸散量を測定する方法としてはエバポリメータ法が用いられるが,これは原則として水平面からの蒸散に限定して使用されてきた。本研究ではまず,簡単な蒸発面ボックスを用いてエバポリメータ法の垂直面への適用の可能性を検討し,さらに同法を用いて人体の局所水分蒸散量に及心ます姿勢の影響について検討した。環境条件は28, 34, 37℃,姿勢は椅座位及び臥位,被験者は成人女子10名である。結果,(1)蒸発面ボックスからの水分蒸発量とエバポリメータの測定値との間には,水平,垂直ともにr=0.98と高い相関が得られ,エバポリメータの垂直面への適用の可能性が示された。(2) 椅座位,臥位いずれにおいても人体部位別水分蒸散量は,気温上昇に伴い顕著に増大した。(3) 姿勢の変化による発汗分布の修飾は,発汗域で顕著に認められ,特に,臥位では下肢の部位で多い反面,椅座位ではこの部位が低く,前額,背中,胴部の部位で大となった。
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