超重質油の水素化分解反応は非常に複雑で,その反応成績は反応条件ばかりか原料性状によって影響される。精度良く反応成績を推算するため,水素化分解反応用反応モデルを提起すると共に,反応に寄与する因子を検討した結果,温度,圧力,触媒添加量,実滞留時間,原料中BTM(+525℃),窒素,硫黄各濃度,CCR,及びリサイクルBTM溶液中H/Cが主要因子であることが分かった。これら因子を組み込んで,詳細な反応速度定数がBSU(Bench Scale Unit)実験データをフィッティングすることにより得られ,完全混合槽列モデルに基づいて各収率が推定された結果,良好な推算精度が得られた。この方法がスケールアップエンジニアリング用シミュレーションプログラム開発の基盤になり得るものと考える。