日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
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102 巻, 8 号
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目次
論文
  • 野田 雄都, 池田 志保, 吉田 拓也, 上村 芳三, 野中 寛
    原稿種別: 論文
    2023 年 102 巻 8 号 p. 77-83
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/31
    ジャーナル フリー

    木材チップを半炭化すると,粉砕性がよくなり,石炭混焼発電に適用しやすくなる。一方半炭化後は,粉砕粗粒子同士の結合力が乏しく,ペレット化が容易でなくなる。そこで本研究では,木材の主成分であるセルロースについて,半炭化温度・時間の影響を明らかにするため,小型乾留炉を用いて市販セルロースパウダーを250-280℃,30または60分間半炭化した。続いて,半炭化試料0.2 gを圧縮成形によりペレット化し,半炭化セルロースの組成とペレット強度の関係を調べた。 二段階硫酸加水分解に基づく糖組成分析により,半炭化の進行とともに,酸不溶性成分量の増大が認められ,ペレット強度は著しく低下した。また試料中のセルロース残量とペレットの強度には,強い相関があることが明らかとなった。粉砕粗粒子間の結合にはセルロースが寄与することが示唆され,セルロースの変性が少ない250℃程度の緩和な半炭化条件であれば,ペレット化には負の影響を与えにくいと推定された。

  • Arief Ameir Rahman SETIAWAN, Sasa Sofyan MUNAWAR, Reza ARIESCA, Deni P ...
    原稿種別: Original Paper
    2023 年 102 巻 8 号 p. 84-95
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,オイルパーム空果房(EFB)ペレットから供給される5%のエネルギーを,石炭火力発電所で混焼した場合の排出削減ポテンシャルを分析し,炭素価格を組み込んだ買取価格を算出することにある。本研究で用いたライフサイクルアセスメント(LCA)では,機能単位として電力1 kWhとした。また,対象範囲は原料の収集,ペレットの製造,原料の輸送,発電とした。フォアグラウンドのインベントリ分析は,文献からの関連背景データを用いるとともに,ケーススタディとしてインドネシアのチビノンにあるペレットパイロットプラントから収集した。その結果,混焼用としてペレットに変換されたオイルパームバイオマスを利用することは,地球温暖化係数(GWP)緩和のための有望な解決策であり,発電所において0.1 kg-CO2eq/kWh,8.57%のCO2eq排出量を削減できることが示された。また,5%混焼の場合,典型的な500 MWの発電所では,87,118 tの石炭を代替するために112,940 tのEFBを利用できる。よって,EFBを利用することで,発電所において年間0.285 Mt CO2eqのGHG排出を削減できることが明らかとなった。さらに,排出削減によって節約された炭素税は,ペレットの購入価格を65.34 USD/t(現行比9.83%増)まで引き上げ,競争力を高めるために利用できることが明らかとなった。

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