植物研究雑誌
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95 巻, 5 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2020 年95 巻5 号 論文ID: 95_5_11034
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
  • 大橋一晶 , 大橋広好 , 根本智行 , 那谷耕司
    原稿種別: 原著
    2020 年95 巻5 号 p. 259-272
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー

    広義のDesmodium (Ohashi 1973) は多系統であることが分かり,最近の分子系統学的解析の結果に基づいて多くの単系統の属に再分類されている(Ohashi and Ohashi 2018a, Ohashi et al. 2018b, etc.).しかし,オセアニアには広義のDesmodiumに含まれているままの種が残っており,それらはニューカレドニア固有種D. kaalense Guillaumin,オーストラリア固有種D. macrocarpum Domin,ニューギニア,オーストラリア,ニューカレドニアに分布するD. rhytidophyllum F. Muell. ex Benth.,ニューギニアとオーストラリアのD. tenax Schindl. およびオーストラリアとニューカレドニアのD. varians (Labill.) D. Donである.本研究ではD. macrocarpum D. varians を除く3種について,分子系統解析によって分類学上の位置を検討した.また,オセアニアの固有属であるOxytes (Schind.) H. Ohashi & K. Ohashi はO. pycnostachya の系統的位置に基づいてOhashi et al. (2018b) によって設立されたが,その独立性を確証するために,この属を構成する3種のうちの残る2 種O. brachypoda (A. Gray) H. Ohashi & K. Ohashi とO. deplanchei (Harms) H. Ohashi & K. Ohashi を系統学的に解析し,その結果を示した.Desmodium rhytidophyllum D. tenax はオーストラリアの固有属Pedleya H. Ohashi & K. OhashiとPullenia H. Ohashi & K. Ohashi に近縁であるが,独立したクレードを形成した.この2 種と分子系統解析には含めることができなかったD. macrocarpum を独立属Maekawaea H. Ohashi & K. Ohashi とした.新属名Maekawaea は東京大学名誉教授前川文夫博士(1908–1984) に献名した.一方,D. kaalense は系統的にOxytes 属に含まれたことから,D. kaalense Oxytes に組み変えた.

  • 川喜多遥菜 , 瀬戸口浩彰
    原稿種別: 原著
    2020 年95 巻5 号 p. 273-284
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー

    小笠原諸島は多くの固有種が生育する海洋島であり,シロトベラPittosporum boninense Koidz.,ハハジマトベラP. beecheyi Tuyama,オオミトベラP. chichijimenseNakai ex Tuyama,コバトベラP. parvifolium Hayata の4種のトベラ科トベラ属固有種が生育する.これら4種は小笠原諸島内において共通祖先から急速な種分化を経たと考えられてきたが,その系統関係は不明であった.本研究では,小笠原産固有4種と日本産2種,ITS 領域の塩基配列情報が入手可能な外国産の種を含めた計56種のトベラ属植物を対象にして系統解析を行った.その結果,小笠原産固有4種は単系統群であることが高い支持率で確認され,姉妹群にはトベラP. tobira (Thunb.) W.T. Aiton,コヤスノキP. illicioides Makino,P. glabratumLindl. が該当した.また,固有4種間のITS 領域における多様度は低く,4種が東アジアからの単一祖先種に由来し,諸島内で最近,急速に種分化したことが示唆された.

  • 邑田 仁 , 大井・東馬哲雄 , M. M. Aung , 田中伸幸
    原稿種別: 原著
    2020 年95 巻5 号 p. 285-290
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー

    2019年のミャンマー・カヤ州での野外調査により発見・採取したサトイモ科植物は,鳥足状葉全体に毛があることからHirsutiarum hirsutum (S. Y. Hu) J. Murata & Ohi-Tomaと同定できた.属および種としてミャンマー新報告である.Hirsutiarum hirsutum はCusimano et al. (2010) が認める広義のSauromatum に含まれるが,H. hirstumの幼葉態(芽中姿勢)は鳥足状葉の側小葉が基本的に全て下向き・並行に折り畳まれるArisaema タイプで,側小葉が一つおきに上下に折り畳まれるSauromatum タイプと明らかに異なる(Murata 1990, Sriboonma et al. 1994).H. hirsutum に類似の種はこれまでにTyphonium あるいはSauromatum として4 種が発表され,Cusimano et al.(2010) によりH. hirsutum と共にSauromatum に含められている.しかし,これらはいずれもH. hirsutum によく似た鳥足状の葉を1 個持ち,またシュート構成は花序柄が普通葉の葉柄の基部によって直接囲まれるstem typeA(Sriboonma et al. 1994) であると見られる点で,広義のSauromatum の中で特異である.Cusimano et al. (2010)とOhi-Toma et al. (2010) の分子系統解析の結果も踏まえ,H. hirsutum とこれら4 種の計5 種でHirsutiarum 属を再構成することとし,3 種について必要な新組み合わせ,H. meghalayense (D. K. Roy, Talukdar, B. K. Sinha& Dutta Choud.) J. Murata & Ohi-Toma, comb. nov.,H. nangkarense (A. Nangkar & H. Tag) J. Murata & Ohi-Toma, comb. nov.,H. tentaculatum (Hett.) J. Murata &Ohi-Toma, comb. nov. を発表した.

  • 西田千尋 , 木嶋久美子 , 堺 眞砂美 , 御厨彩桜理 , 川上満泰 , 天田 啓
    原稿種別: 原著
    2020 年95 巻5 号 p. 291-296
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
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    福岡県と沖縄県の河川の試料からTabularia sinensis Y. Cao & al(. オビケイソウ科)を発見した.本種は2017 年に中国最大の淡水湖である鄱陽湖(Poyang Lake) で発見されたもので,本報が日本新産の記録となる.走査電子顕微鏡による観察の結果,記載論文に全く情報がなかった半殻帯の構造を観察することができた.半殻帯は,接殻帯片と最大4 枚の帯片からなる.すべての帯片は片端開放型で,互い違いに重なる.接殻帯片には孔状胞紋列はなく,内接部の縁は波型になる.第2–5 帯片には胞紋列がそれぞれ1 列あり,第3 帯片は一部2 列になる.さらに,T. sinensis Tabularia 属のグループII に分類し,同グループ内の近縁種との比較をおこない,近縁種との違いを明確にした.

  • W. Thammarong , S. Rakarcha , C. Maknoi , W. Tanming
    原稿種別: 短報
    2020 年95 巻5 号 p. 297-299
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー

    トウダイグサ科Lasiococca 属は単性の花序をつける雌雄同株の落葉あるいは半常緑の灌木あるいは亜高木で,葉が輪生状につき,果実に刺があることなどで特徴付けられる.東南アジア,南アジアから中国南部にかけて分布し,5種が認められている.本論文で報告するLasiococca comberi Hainesは属および種レベルでラオス新産である.なお,L. comberi は2変種に分けられているが,区別の特徴となる雄花序が得られていないので,種レベルの同定にとどめた.

  • S. Rakarcha , C. Maknoi
    原稿種別: 短報
    2020 年95 巻5 号 p. 300-302
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
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    コミカンソウ科スズフリノキ属のLeptopus australis (Zoll. & Moritzi) Pojark. をラオス北部のXaignabouri Provinceから報告した.属としてもラオス新産の報告となる.

  • A. S. Erst , C. A. Pendry , 池田 博 , W. Wang
    原稿種別: 短報
    2020 年95 巻5 号 p. 303-305
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
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    ネパールと中国(チベット) から, キンポウゲ科Hegemone属の1種H. micrantha (C. Winkl. & Komarov) Butkov を新たに報告する.Hegemone 属はキンバイソウ属 Trollius に似るが,キンバイソウ属が黄色い花をつけるのに対し,Hegemone 属は白,ピンク色,淡菫色の花をつけること,宿存性の萼をつけることなどで区別される.Hegemone 属は,ネパールからは属としても新報告となる.また,チベットはこの種の東限となる.

  • S. Singh Deo , D. K. Singh
    原稿種別: 短報
    2020 年95 巻5 号 p. 306-309
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
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    Dinckleria singularis (Schiffn.) M. A. M. Renner, Schäf.-Verw. & Heinrichs. はこれまで東南アジア,中国,台湾,オーストラリア,バヌアツから知られていたが,ヒマラヤ東部のアルナチャルプラデーシュ州で確認し,インドのタイ類フロラに追加した.これはまた,Dinckleria 属のインドからの最初の記録でもある.本属は葉細胞表面に乳頭が存在する点でハネゴケ科の他の属とは異なる.本種についてインド産植物にもとづき詳しく記載し,図示した.

  • 山崎真実 , 加賀谷仁左衛門 , 木村益己
    原稿種別: 短報
    2020 年95 巻5 号 p. 310-314
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
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    北海道においてホザキヤドリギLoranthus tanakae Franch. & Sav(. オオバヤドリギ科)を初めて記録した.生育地は北海道南西部胆振地方の洞爺湖湖畔の落葉広葉樹林で,ハルニレに複数個体が寄生し,2015 年から毎年開花・結実が確認されたことから定着していると判断した.本報告によりホザキヤドリギの国内分布が津軽海峡を越えて北上した.

  • P. Lakshminarasimhan , N. Odyuo , C. Deori , D. Vijayan , D. L. Biate ...
    原稿種別: ニュース
    2020 年95 巻5 号 p. 315-317
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
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    インドでは国際藻類・菌類・植物命名規約の周知を図るためBoanical Survey of India (BSI) が中心となって研修会を開いている.前回の第3 回は本誌94(5): 328–329, 2019 で紹介した.今回は2020 年1 月27–31 日,メガラヤ州シロンで開催し,深圳規約に則った国際命名規約について,ハーバード大学植物標本館 Dr. Kanchi N. Gandhiに講演を依頼した.今回の話題を3 点紹介する.まず第18条を説明した(深圳規約日本語版参照).科名は複数形の形容詞であるが,これを複数形の名詞として用いる(実詞という).属名に基づかない科名として第18.5 条に挙げられている9 科の語源と構成を説明した.次にメルボルン規約と深圳規約の第52.3 条実例13 をあげ,メルボルン規約では Matricaria suaveolens は合法的な学名であったが,深圳規約ではこの学名は不要名であり非合法となった例を示した.これは第52.3 条を新しくしてこの事例の扱いを明確にしている(深圳規約日本語版「序文」参照).最後に,ギリシャ語とラテン語起源の名詞の同じ終辞は性と数が異なってもよいことを示した.このため,リンネのMonandria Diandria は中性複数形の形容詞であるが,中性複数形名詞とされる.CryptogamiaPhanerogamia も同様である.

  • 大橋広好
    原稿種別: 書評
    2020 年95 巻5 号 p. 318
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
  • 大場秀章
    原稿種別: 書評
    2020 年95 巻5 号 p. 318-319
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 正誤
    2020 年95 巻5 号 p. 319
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 新学名および新タイプ指定
    2020 年95 巻5 号 p. 320
    発行日: 2020/10/20
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル フリー
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