植物研究雑誌
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98 巻, 6 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2023 年 98 巻 6 号 論文ID: 98_6_cover
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー
  • 首藤 光太郎, 黒沢 高秀, 加藤 克, 高橋 英樹, Grabovskaya-Borodina A.
    原稿種別: 原著
    2023 年 98 巻 6 号 p. 285-292
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    ヒトツバイチヤクソウPyrola subaphylla Maxim. はツツジ科の多年草で,近縁なイチヤクソウP. japonica (Miq.) Makino と比べ極端に縮小した葉をもつ.本種のレクトタイプは,北海道の “Sigi-nope” で採集されたコマロフ植物学研究所(LE)の標本が選定され,LEにはレクトタイプおよびアイソレクトタイプが存在する.アイソレクトタイプはキュー王立植物園(K),ハーバード大学 (GH),ミュンヘンのバイエルン州植物学標本館(M),フランス国立自然史博物館(P)にも合計5枚存在する.これらの再同定を行ったところ,レクトタイプにはイチヤクソウの個体が含まれていることが明らかになった.命名規約9.14条に従い,この個体を除いた部分をレクトタイプとして再選定した.加えて,“Sigi-nope”の位置が不明瞭であったため,Maximowiczの日記の和訳やT.W. Blakistonの著書等の文献調査に基づき検討した.その結果,“Sigi-nope” は現在の茅部郡森町に昭和14年まで存在した宿野辺村か,大沼の流入河川である宿野辺川を示すものと結論した.

  • 茨木 靖, 横田 昌嗣, 赤井 賢成, 木場 英久
    原稿種別: 原著
    2023 年 98 巻 6 号 p. 293-303
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    琉球列島より,マルミスズメノヒエの新変種イリオモテスズメノヒエ(新称)Paspalum scrobiculatum L. var. iriomotense Ibaragi, Yokota & Akai (Gramineae) を記載した.この植物は,母種に比べて小穂が大きく,葉身や葉鞘に長軟毛がある点で異なる.また,スズメノヒエ P. thunbergii Kunth ex Steud. にも似ているが,2つの総状花序が稈の先に二又状につくことや,第一小花の護穎に顕著な皺があること,さらに叢生する稈の本数が少ないこと,そして生息地が浅い水湿地の中であることなどで異なる.また,台湾などに産するP. scrobiculatum var. commersonii (Lam.) Stapfも本変種に似ているが,後者は2本か,それ以上の総状花序を持ち,長さ約2 mmの小さな小穂(イリオモテスズメノヒエでは2.8–3.5 mm長)を持つことなど,いくつかの特徴で異なる.また,マルミスズメノヒエの変種として扱われてきたスズメノコビエを,マルミスズメノヒエの亜種として扱い,新ランクの学名 P. scrobiculatum L. subsp. orbiculare (G.Forst.) Ibaragi, Yokota & Akai を提案した.ケマルミスズメノヒエ var. velutinum Hack. をこの亜種に属する変種として位置付け,シノニムであるP. formosanum Honda のレクトタイプ指定も行った.日本産スズメノヒエ属の検索表についても示した.

  • 柏谷 博之, 文 光喜, 韓 定殷, 竹下 俊治
    原稿種別: 原著
    2023 年 98 巻 6 号 p. 304-318
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    日本と韓国からRamalina congesta Kashiw., K.H.Moon & J.E.Han, R. disciformis Kashiw., K.H.Moon & J.E.Han,R. tumescens Kashiw., K.H.Moon & J.E.Hanの3新種を記載した. 1) Ramalina congesta(ハイカラタチゴケ,新称)は海岸から海抜1000 m付近の岩上に生育する.地衣体は基物を這うように伸び,裏面のあちこちで基物にゆるく付着して高さ約7 mm,径1–2 cmのクッション状となる.枝は不規則に分かれ,中空で少数の穿孔を有する.枝の先端は崩壊して裂芽化し,後に粒状の粉芽となる.髄層の菌糸は連続し,皮層の内壁に密着する.地衣成分はエベルン酸,オブツザート酸,ウスニン酸である.これまでに確認された産地は日本と韓国だけである.本種はイワカラタチゴケモドキR. sphaerophora,クロカワカラタチゴケR. kurokawae,イワカラタチゴケ R. yasudae などに似ているが,イワカラタチゴケやイワカラタチゴケモドキとは枝が中空であることで,クロカワカラタチゴケとは枝から直角にでる小枝を欠き,髄層の菌糸が連続することで区別できる. 2) Ramalina disciformis(エンザカラタチゴケ,新称)は岩上に生じる.地衣体は多くの小枝が密集して高さ約 0.5 cm,径約1.5 cmの円盤状となる.地衣体中央部の枝は小さく,巾0.2 mm内外,長さ約2 mm,密に集合し先端は粉芽化する.周辺部の枝は長さ3–5 mmで先端に唇状の粉芽塊をつける.子器は未見.地衣成分はエベルン酸,オブツザート酸,ウスニン酸である.本種はこれまでに北海道中部と東部の4カ所で生育が確認されている希種である.岩上に多産するイワカラタチゴケも唇状の粉芽塊を持つが,地衣体は小さい基部から数本の枝が出る典型的な樹枝状となるので容易に区別できる. 3) Ramalina tumescens(トゲカラタチゴケ ,新称)は海岸付近の岩壁に生育する.地衣体は樹枝状で高さ1–3(–6) cm,狭い基部から多くの枝がでる.枝は中空で膨らみ, 先端は先細りとなる.枝の表面は滑らかで円柱状で先がとがった小枝(径0.2 mm,長さ5–15 mm)を多数生じる.穿孔は小さく類円形で枝全体に散在する.髄層の菌糸は連続する.胞子は紡錘形,無色,2室,10–12 × 4–5 µm.地衣成分はエベルン酸,オブツザート酸,ウスニン酸である.本種は海岸性のR. cinereovirens(ハイイロカラタチゴケ,新称)やツヅレカラタゴケモドキR. pertusa に地衣体の形状が似ているが,後者は何れも枝に先細りの小枝を生じないので容易に区別できる. これら3新種についてITS,IGS,mtSSU の塩基配列を用いて系統解析を行った結果,いずれも独立したクレードを形成し,近縁種とは明確に区別された.

  • Basumatary S., Rodda M., Baruah S.
    原稿種別: 短報
    2023 年 98 巻 6 号 p. 319-323
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    Heterostemma alatum はインドとネパールから記載さ れたが,後の文献における花形態の記載には不一致が見られる.そこで,文献の記載と標本の調査を行ったところ,本種の花冠裂片には,極狭タイプと幅広タイプ,さらに中間的なタイプがあることが明らかとなった.また,今回,アッサムから標本を採取したが,生の状態の副花冠裂片の先端には毛束が確認でき,これまでの記載にはない特徴である.この毛は脱落しやすく,これまで見過ごされていたことが明らかとなった.

  • 大井・東馬 哲雄, 望月 昂
    原稿種別: 短報
    2023 年 98 巻 6 号 p. 324-327
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    クサタチバナの学名は,1844年にDecaisneによって発表されたVincetoxicum acuminatum Decne.が最近でも使われているが,後続同名であるために使えない.一方,その置換名であるCynanchum acuminatifolium Hemsl.が使われることもあるが,分子系統解析の結果を踏まえると,属はVincetoxicum とされるべきであり,V. ascyrifolium Franch. & Sav. が使われる.しかし,V. ascyrifolium の ホロタイプは,形態的にはクサタチバナではないことが指摘されている.そこで,V. acuminatifolium (Hemsl.) Ohi-Toma & K.Mochizuki をクサタチバナの新組合せとすることを提案する.タイプについては,シーボルトが採取した標本がパリ自然史博物館(P)にあるとされてきたが,確認することができない.そこで,オランダのナチュラリス生物多様性センター(L)にあるシーボルト標本(L 0420309) をV. acuminatum Decne. のネオタイプとして選定する.

  • Khanal M., Rai S.K., Kumar D., Chettri A., Sarkar S.
    原稿種別: 短報
    2023 年 98 巻 6 号 p. 328-334
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    これまでインドネシアとベトナムから報告されていた 菌従属栄養性ラン科植物Gastrodia bambu Metusala を, インド新産として西ベンガル州カリンポンから報告し,写真,植物図,分布図,および新たに観察された形態的特徴を含めた詳細な記載を行った.この極めて稀な種の識別のため,インド産オニノヤガラ属全種について人為検索表を作成した.

  • 茨木 靖, 長谷川 匡弘
    原稿種別: 短報
    2023 年 98 巻 6 号 p. 335-341
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル 認証あり

    大阪府で見つかった帰化植物,カモノハシガヤBothriochloa ischaemum について,日本に産する本属他種との違いなどと併せて報告した.

  • 原稿種別: その他
    2023 年 98 巻 6 号 p. 342
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー
  • 植物研究雑誌編集委員会
    原稿種別: その他
    2023 年 98 巻 6 号 p. 343
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 正誤
    2023 年 98 巻 6 号 p. 344
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 索引
    2023 年 98 巻 6 号 p. i-xii
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー
  • 米倉 浩司
    原稿種別: 索引
    2023 年 98 巻 6 号 p. xvi-xxii
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー
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