植物研究雑誌
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78 巻, 5 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2003 年 78 巻 5 号 論文ID: 78_5_9693
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 大場秀章
    原稿種別: 原著
    2003 年 78 巻 5 号 p. 247-256
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    リュウキュウベンケイソウ属 (Kalanchoe) は, アフリカ, 特にマダガスカル島を中心とした熱帯・亜熱帯で多様化したベンケイソウ科の 1 属で, まだ変異がよく解析されておらず分類法が確定していない. アラビア半島以東のアジア産種についてはこれまで全域を対象とした分類学研究は皆無の状況である.

     タイやネパール植物誌のベンケイソウ科を纏める必要があり, これまでリュウキュウベンケイソウとその近縁種について断続的に研究を行ってきた研究の一部をまとめて発表した.

     リュウキュウベンケイソウはインド・スリランカ以東のアジア地域に広く分布する (Fig. 1). その学名には古くから用いられてきた Kalanchoe spathulata に替わって, 最近では K. integra を用いることが多かった. 私自身, 平凡社刊の 「日本の野生植物」 や英文版日本植物誌 (Flora of Japan, IIb) でこの見解を採用した. しかるに, 改めて Medikus の原記載を読んで, Kalanchoe integra が紅色の花冠を生じることを知った. またその後サウジアラビアの自生地でもこれを確認した.

     リュウキュウベンケイソウ属での花冠の色は種により一定でしかも安定しており, 多くの場合, 種の識別形質として用いられているものである. また, 私自身のサウジアラビアでの観察で, 他の形態のよく類似した紅色花の種と黄色花の種で, 花色が重要な区別点になることを知った. ベルリンの Raadts は Kalanchoe integra をアラビア半島特産の K. deficiens の異名としているが, この扱いは適切であると考える. 一方, Kalanchoe spathulata は, Kalanchoe crenata との区別が困難との説もあったが, Fig. 1 に示すように分布域を異にしており, Kalanchoe spathulata には Kalanchoe crenata の花序枝や花柄などに生じる密生する腺毛がないことや葉の鋸歯などの違いで区別することができる.

     リュウキュウベンケイソウの正しい学名は Kalanchoe spathulata となる. この種の変異には地方性があり, 分布域が限定される 7 つの変種を区別した. 南西諸島の個体は台湾南部の鵞鑾鼻から記載された var. garambiensis に似てくるが, この変種に含められるかどうかはさらなる研究が必要である. なお, リュウキュウベンケイソウには, 私自身これまでリュウキュウベンケイの和名を採用してきたが, 植物名であることがよりはっきりするリュウキュウベンケイソウという呼び方を今後は用いたい.

     本論文ではリュウキュウベンケイソウに合計 3 つの新変種と 4 つの新組合せ, Kalanchoe ceratophylla には var. indochiensis という 1 変種を新たに発表した. 各分類群毎に異名とその分布域を示し, 多くの分類群では検討した標本を挙げた.

  • 鈕力明 , 大場秀章
    原稿種別: 原著
    2003 年 78 巻 5 号 p. 257-261
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    これまで九州 (熊本, 宮崎, 大分各県) に分布が限定されていたマルバコウツギ Deutzia bungoensis が, 岡山県に産することが宗岡康成氏によって最近発見された. この岡山県産のマルバコウツギと愛媛県に特産するアオコウツギ D. ogatae について, 体細胞の染色体を観察し, 染色体数を調べた.

     マルバコウツギは初島住彦により記載され, 初島はこれをコウツギとツクシウツギの雑種と推定した. しかし, ツクシウツギは九州特産で岡山県には産しない. 岡山県で発見されたマルバコウツギは形態上からは九州産のものと区別することはできなかったので, 細胞遺伝学上の異同に興味があった. 調べた結果, その染色体数は九州で採集した材料で算定した 2n = 52とは異なる 2n = 78であった. ウツギ属の染色体基本数 x = 13と考えられるので, 岡山産のものは 6 倍体, 九州産は 4 倍体である.

     ウツギ属における種内倍数性はこれまでウツギにのみ知られていたので, これはその 2 例目となる. なお, ウツギでは 2n = 78の個体は著しい有毛性を示すビロードウツギであり, 2n = 130は通常のウツギである. マルバコウツギの場合はすでに述べたように, 2 つの倍数性の間に形態上の差異を見出すことはできなかった.

     アオコウツギの染色体数は 2n = 130であった. この種についてはこれまで染色体数の報告はなかったので, はじめての報告である. ウツギ属の染色体基本数は x = 13と推定されるので, アオコウツギは10倍体であると考えられる. これは, 日本産ではウツギとともにもっとも高次の倍数体種である.

  • 兼本正 , 鳴橋直弘
    原稿種別: 原著
    2003 年 78 巻 5 号 p. 262-268
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    日本産イラクサ科サンショウソウ属 Pellionia のオオサンショソウ P. radicans, サンショウソウ P. minima, キミズ P. scabra, キミズモドキ P. japonica, ナガバサンショウソウ P. yoshiei, アラゲサンショウソウ P. brevifolia の染色体数を初めて報告した. キミズモドキからは 2n = 52, ナガバサンショウソウとアラゲサンショウソウからは 2n = 39, サンショウソウとキミズからは 2n = 26, 39, 52, 65, オオサンショウソウからは 2n = 39, 52, 65が算定された.

     Melchior (1964) および Raven (1975) はイラクサ科の基本数として x = 12, 13および14を報告している. これまで報告されているサンショウソウ属の染色体数は 2n = 24, 2n = 26と52であることから, サンショウソウ属の基本数は x = 12, 13が考えられる. 今回観察された日本産のサンショウソウ属 6種からは 2n = 26, 39, 52, 65が算定されていることから日本産サンショウソウ属は x = 13を基本数としており,ナガバサンショウソウとアラゲサンショウソウは三倍体, キミズモドキは四倍体であり,キミズ, サンショウソウとオオサンショウソウには種内倍数性が認められ, それぞれキミズとサンショウソウには二倍体,三倍体, 四倍体, 五倍体, オオサンショウソウには三倍体, 四倍体, 五倍体が存在している.

  • 大橋広好
    原稿種別: 原著
    2003 年 78 巻 5 号 p. 269-294
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    1973年にアジアのヌスビトハギ属とその近縁属を分類し, Pteroloma 属に Droogmansia 属の 1 種 Droogmansia godefroyana (Kuntze) Schindl. を加えて独立属とし, タデハギ属 Tadehagi H.Ohashi と命名した. その後も新たな資料を加えてタデハギ属について検討を続けた結果, 本論文では Droogmansia godefroyanaAkschindlium H.Ohashi として独立属とするとともに, タデハギ属を再構成した. Akschindlium はタイとインドシナに分布する 1 種よりなる. この属名はヌスビトハギ連の分類に大きな貢献をしたドイツ人 Anton K. Schindler 博士 (1879-1964) を記念した. タデハギ属, Akschindlium および Droogmansia の区別点は本文に示した. タデハギ属としては Tadehagi alatum (DC.) H.Ohashi, T. andamanicum (Balakr. & N.G.Nair) S.P.Mathew, T. auriculatum (DC.) H.Ohashi, T. robustum Pedley, T. rodgeri (Schindl.) H.Ohashi およびタデハギ T. triquetrum (L.) H.Ohashi の 6 種を独立種と認めた. これまで多くの地域のタデハギを調べてきたが, この種はフィリピン, 小スンダ列島およびニューギニアにおいて小葉の形と果実の毛の密度で特に著しい変異を示すことが明らかになった. しかし, 果実側面が無毛の subsp. pseudotriquetrum (DC.) H.Ohashi は葉身の形, 生育形および分布のパターンがタデハギと異なるので, 亜種として区別した. また, フィリピンから記録されていた雑種 Pteroloma pseudotriquetrum x triquetrum: Schindl.をタデハギと subsp. pseudotriquetrum の雑種と認め, nothosubsp. philippinensis H.Ohashi と命名し, var. palawanensis H.Ohashi を区別した. なお台湾にも亜種タデハギがあることを記録した.

  • 山崎敬
    原稿種別: 原著
    2003 年 78 巻 5 号 p. 295-299
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー

    Primula farinose L. subsp. modesta (Bisset & Moore) Pax is distributed in the Kuriles, Hokkaido, Honshu, Shikoku and S. Korea. The leaf of this species is very variable, but their leaf-forms are characteristic at the local level. This paper reports the division of the subspecies into six varieties according to leaf-form.

  • 大場秀章
    原稿種別: 短報
    2003 年 78 巻 5 号 p. 300-301
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 大橋広好 , 吉田繁
    原稿種別: 短報
    2003 年 78 巻 5 号 p. 301-304
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 大橋広好
    原稿種別: 短報
    2003 年 78 巻 5 号 p. 304-307
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
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  • 秋山忍
    原稿種別: 短報
    2003 年 78 巻 5 号 p. 307-310
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 宮崎卓 , 山口泰民 , 星野義延 , 大場秀章
    原稿種別: 短報
    2003 年 78 巻 5 号 p. 311-312
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 門田裕一
    原稿種別: 新刊
    2003 年 78 巻 5 号 p. 313
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 山崎敬
    原稿種別: 新刊
    2003 年 78 巻 5 号 p. 313
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 金井弘夫
    原稿種別: 新刊
    2003 年 78 巻 5 号 p. 313-314
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
    ジャーナル フリー
  • 金井弘夫
    原稿種別: 新刊
    2003 年 78 巻 5 号 p. 314
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2022/10/21
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