日本補綴歯科学会雑誌
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45 巻, 6 号
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  • 福島 俊士
    2001 年 45 巻 6 号 p. 659
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 福島 俊士, 坪田 有史
    2001 年 45 巻 6 号 p. 660-668
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    支台築造に関する研究は多いものの, その多くは実験室での模擬実験によるものである. これに対し, 本論文の目的は支台築造の臨床研究の現状を点検することである. そこで, 最近20年間の支台築造に関する臨床研究を補綴誌, J Prosthet Dent誌を中心に検索した. その結果, 多数の症例について定期的にリコールを繰り返しながら長期にわたって追跡調査している報告は非常に少ないことがわかった. 上記の趣旨を満足する, あるいはおよそ満足する臨床研究を選択し, それぞれについてまず研究方法を紹介した. 次に, 支台築造の失敗率に影響すると思われる共通の因子について整理した. すなわち, 歯の部位, ポストの種類, 支台歯の種類との関連を検討した.
    その結果, 支台築造の失敗は年率にしておよそ2%発生し, 歯根破折は失敗全体の20~30%を占めていて, 歯種的には上顎前歯に頻度が高く, 単冠のときよりブリッジの支台歯のとき失敗率が高いことなどが示された. しかし, 鋳造ポストと既製金属ポスト, テーパーのあるポストとないポストの優劣など, 基本的と思われる事項に関しても共通の見解は得られなかった. すなわち, 支台築造に関する今後の臨床研究の必要性が示された.
  • 高橋 英和
    2001 年 45 巻 6 号 p. 669-678
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    根管治療後の支台築造歯における歯根破折の原因について解説するとともに, 歯根破折を生じない築造体の設計について考察した.
    支台築造用材料として従来用いられていた金属材料の物性を歯質と比較すると, 金属材料は強さ, 弾性係数ともに大きい. 大きな強さはポスト自体が破折しにくいことを表す. しかし, 大きな弾性係数は咬合時による負荷が歯根に伝達され, ポスト先端, 骨縁部の歯質, 被覆冠の辺縁部に応力が集中する. これらの部位での荷重の大きさはポストの長さ, 支持歯槽骨の高さ, 残存歯質の量で変化する. この応力が集中する部位の歯質の厚みが十分であれば歯根破折を防ぐことができる. また, 弾性係数が象牙質と類似した材料をポストに使用すると歯根部への負荷の伝達が減少するが, ポストの曲げ強さが要求される. 実際の破折様相は破折試験で検討されているが, 多くの破折試験は静的な荷重下での実験であり, 実験で得られた破折線は臨床で観察される様相と必ずしも一致していない. これは, 亀裂が咬合による繰返し負荷によって進展するためであり, 今後は破折実験に繰返し負荷を与えることが重要と思われる.
    歯根破折を防ぐには支台築造歯の歯質をできるだけ削除しないことである. しかし, 歯根破折を起こさないような築造体の設計は築造体の脱落をきたしやすいことも同時に注意しなければならない.
  • 歯根破折を防ぐための臨床的対応
    飯島 国好
    2001 年 45 巻 6 号 p. 679-689
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 支台築造が原因となる歯根破折を防止するための臨床的対応について述べるとともに, 破折の発生頻度の高い部位の原因として頬小帯を考え, 最近遭遇した歯根破折の11症例と, 16名の主咀嚼歯の調査時に, 頬小帯と主咀嚼歯との関係, 頬小帯と歯根破折との関係を調べてみた.
    方法: 主咀嚼歯については上下顎とも第二大臼歯まで揃っていて, 咬合にも問題がない16名を対象とした.
    結果: 1. 主咀嚼歯は利き腕側と一致することが多い. 2. 主咀嚼歯は上下顎とも第一大臼歯が一番多く, 次いで, 第二大臼歯であった. 3. 上顎では頬小帯が付着している第二小臼歯や第一大臼歯が主咀嚼歯になる傾向があった. 4. 下顎では頬小帯の付着と主咀嚼歯は関係がなかった. 5. 上顎では歯根破折を起こした歯のすべてに頬小帯の付着がみられたが, 下顎では頬小帯の有無にかかわりなく歯根破折がみられた.
    結論: 上顎では頬小帯の付着した歯が主咀嚼歯となる傾向があるので, 頬小帯の付着している上顎の小臼歯や大臼歯の支台築造に際し, 力学的にも生物学的にも配慮した破折予防が必要である.
  • 上田 奈穂子, 志賀 博, 小林 義典
    2001 年 45 巻 6 号 p. 690-699
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究の目的は, 正常者の咀嚼運動における代表的な2種類の運動経路のパターン間の咬合接触状態の差異を明らかにすることである.
    方法: 20歳代の正常有歯顎者で, 中心咬合位から作業側へ向かって開口後, 中心咬合位へconvexを呈して閉口するパターンを呈する20名 (I群) と中心咬合位から非作業側に向かって開口後, 作業側へ向かい, その後中心咬合位へconvexを呈して閉口するパターンを呈する20名 (III群) について, 下顎切歯点を中心咬合位から側方へそれぞれ1mm (L1), 2mm (L2), 3mm (L3) 滑走させた側方咬合位の咬合接触状態を側方咬合位間と群間で比較した.
    結果: 咬合接触歯数は, 作業側, 平衡側ともにL1, L2, L3の順に有意に減少した. 咬合接触歯数の発現頻度は, 作業側, 平衡側ともに, I群のほうがIII群よりも少ない歯数に分布する傾向を示し, L2の作業側と平衡側, L3の作業側で両群間にそれぞれ高度な有意差が認められた.
    結論: 側方咬合位の咬合接触状態は, 側方咬合位の側方移動距離の差異によって変化するが, I群のほうがIII群よりも少ない歯数に分布し, 特に下顎切歯点を中心咬合位から側方へ2mm滑走させた側方咬合位で顕著であり, この下顎位における咬合接触状態の差異が代表的な2種類の咀嚼時の運動経路のパターンの差異に関与していることが示唆された.
  • 呉本 晃一, 前田 照太, 嶋村 清次, 井上 宏
    2001 年 45 巻 6 号 p. 700-709
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 咬頭嵌合時に下顎は動いていることはこれまでの報告で明らかとなっている. しかしながらその詳細についてはいまだ不明である. 本研究は咬頭嵌合時の下顎の動揺を明らかにすることを目的として, 詳細に検討を行った.
    方法: 本研究において, 光スポット位置検出センサと赤外線発光ダイオードを利用して計測を行った. このセンサを用いて, 被験者は個性正常咬合を有する成人有歯顎者11名を対象に, 咬合器に装着した各被験者の上下顎模型の咬頭嵌合位 (on the model) と各被験者の生体における咬頭嵌合位 (in vivo) をそれぞれ観察した. 得られたデータよりそれぞれの水平面の二次元の変動を解析し, 分散分析法にて統計学的に検討を行った.
    結果: 分散分析の結果, 下顎の動揺範囲において, on the modelでは前後, 左右的に平均6μmであったのに対し, in vivoでは前後, 左右的には平均39.9μmの値をとり, 測定条件間にのみ有意な差を認めた. また下顎の動揺のばらつきを示す分散においても, 前後方向, 左右方向ともにon the modelに対してin vivoは大きな値を示し, 測定条件間にのみ有意な差を認めた.
    結論: 正常者において, 咬頭嵌合時に下顎は前後的, 左右的に約40μm範囲で常に動揺していることが明らかとなった. またこの動揺は, 咬頭嵌合位を一定に保持しようとするための生理的な動きであると推察された.
  • 長尾 亜希子
    2001 年 45 巻 6 号 p. 710-719
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 顆路角と切歯路角の関係が関節円板前方転位に及ぼす影響を探ることを目的に, 顎機能異常者における前方および側方滑走運動時の顆路角と切歯路角の差と関節円板前方転位の関係を下顎運動解析から検討した.
    方法: 磁気共鳴 (MR) 画像により関節円板前方転位が認められた53名 (女性41名, 男性12名, 平均年齢32.0±12.7歳) を被験者群, 関節円板前方転位が認められない25名 (女性17名, 男性8名, 平均年齢37.0±13.6歳) を対照群として, 前方および側方滑走運動時の下顎運動解析を行った. 下顎運動記録には6自由度顎運動測定装置を用い, 咬頭嵌合位から1.0mmごとに5.0mmまで移動した際の顆路角と切歯路角を求め, その差 (△θ) を転位なし群と転位群, 復位群と非復位群の2群間でそれぞれ比較を行った.
    結果: 前方および側方滑走運動時の△θを比較した結果, 転位なし群ではすべての区間において顆路角が切歯路角より小さくなる傾向が認められた. これに対し, 転位群では, 特に前方滑走運動時において, 顆路角が切歯路角より大きくなる傾向が認められた. また, 顆路角と切歯路角の大小関係と関節円板前方転位の有無に関連性があることが認められた.
    結論: 本研究結果より, 顆路角と切歯路角の関係が関節円板前方転位に影響を及ぼす寄与因子の一つと考えられた.
  • 重田 優子, 小川 匠
    2001 年 45 巻 6 号 p. 720-729
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 片側噛みしめ時の下顎頭の変位を測定し, 非噛みしめ側の円板転位の有無が顎関節負荷の様相に及ぼす影響を明らかにする.
    方法: 対象は顎運動計測に同意の得られた顎機能異常者20名である. 被験運動は片側噛みしめで, プラスチック棒を上下顎第二大臼歯間に介在させ噛みしめを行わせた. 被験運動の測定・解析には, 6自由度顎運動測定装置および解析用ソフトを用いた. 全被験運動を非噛みしめ側円板転位の有無により転位なし群 (NDD群) と転位あり群 (DD群) に分類し比較検討した. また, 非噛みしめ側の顎関節部に発現する誘発痛と下顎頭の変位との関係についても検討した.
    結果: NDD群の非噛みしめ側下顎頭は, 矢状面において原点よりもやや上方の点を中心に, DD群ではやや前上方の点を中心に分布していた. また, NDD群では非噛みしめ側の上方変位量が噛みしめ側よりも大きいものが大半を占めていたが, DD群ではNDD群と比較し少なかった. 一方, 非噛みしめ側顎関節部に誘発痛が発現したものでは, DD群でも非噛みしめ側の上方変位量が噛みしめ側よりも大きいものが多かった. すなわち, 円板転位の有無により下顎頭の変位に違いが認められ, 片側噛みしめ時の誘発痛との関連も示唆された.
    結論: 非噛みしめ側の円板転位の有無が片側噛みしめ時の下顎頭の変位に影響しており, このことから非噛みしめ側円板転位の有無が顎関節負荷の様相に関与していることが示唆された.
  • 平野 滋三, 高橋 保樹, 渡辺 一騎, 巫 春和, 早川 巖
    2001 年 45 巻 6 号 p. 730-736
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 咀嚼能力を簡便に測定するための色変わりチューインガムが開発された. 色変わりガムは2層からなるチャンク型で, 赤キャベツ色素を含む青紫色の層とクエン酸を含む白色の2層からなっている. この2層が咀嚼により唾液とともに混和されると, 青紫色の層に含まれる赤キャベツ色素が酸塩基反応により赤色に変化する. 本研究の目的は, その色変わりガムにより全部床義歯装着者の咀嚼能率を測定できる可能性について検討することである.
    方法: 新しく全部床義歯が製作された27名の無歯顎患者 (男性6名, 女性21名, 平均年齢69.8±7.6歳) が実験に参加し, 諸調整終了1ヵ月後に実験は行われた. 被験者は, 色変わりガムを咬み, 色変わりの度合いが5回ごとに歯科医によってチェックされた. ガムの色が完全に赤色に変化したことを専用のスケールにより判定し, そのときの咀嚼回数を記録した. 同時にManlyとBraleyの方法に従い, ピーナッツを用いて節分法による咀嚼値を算出した. Spearmanの順位相関係数を算出し, 統計学的解析を行った.
    結果: ガム咀嚼回数と咀嚼値の平均と標準偏差はそれぞれ107.0±23.7および48.2±16.3であった. ガム咀嚼回数は咀嚼値に対し, 有意な負の相関関係を示した (ρ=-0.767, p<0.0001).
    結論: 色変わりチューインガムが全部床義歯装着者の咀嚼能力の測定に有効であることが示唆された.
  • Tribochemical coatingが接着強度に及ぼす影響
    檜山 礼秀, 萩原 芳幸, 村松 透, 川本 善和, 田中 靖二, 小泉 政幸, 五十嵐 孝義
    2001 年 45 巻 6 号 p. 737-746
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: アルミナを高密度に焼結したセラミックアバットメントCerAdaptに関して, 著者らは, 前報にてアルミナサンドブラスト処理の有効性を報告した. そこで本研究は, Tribochemical coatingによるROCATEC systemを用い, アルミナサンドブラスト処理と比較し接着強度について検討した.
    方法: CerAdaptの表面に行ったROCATEC systemは, 110μmのアルミナ (ROCATEC-Pre) を用い10秒間サンドブラスト処理を行い, その後, 不定形シリカおよび110μmのシリカがコ一ティングされたアルミナ (ROCATEC-Plus) にて15秒間行った. 対照として, 110μmのアルミナのみで10秒間と25秒間サンドブラスト処理を行ったものも加えた. クラウン試料 (φ3.0×2.0mm) としてはIPS Empressを用い, 表面粗さおよび表面分析は, 各処理後に, 接着強度はVariolink IIにて接着後に測定した. 統計処理は, 一元配置分散分析法にて行った (α=0.05).
    結果: 粒径に関しては, 表面粗さで有意差が認められたが, 接着強度で有意差は認められなかった. 一方, 処理時間に関しては表面粗さ, 接着強度ともに有意差は認められなかった. ROCATEC systemに関しては, Tribochemical coatingにより接着面にシリカが認められ, 接着強度がアルミナより有意に高い値を示した.
    結論: 接着強度においてTribochemical coatingによるROCATEC systemは, アルミナより優れていることが示唆された. 粒径および処理時間の相違は接着強度に影響がなかった.
  • 島崎 政人
    2001 年 45 巻 6 号 p. 747-748
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 島田 和基
    2001 年 45 巻 6 号 p. 749-750
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 内田 昌治
    2001 年 45 巻 6 号 p. 751-752
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 嶋村 清次
    2001 年 45 巻 6 号 p. 753-754
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 熊谷 宏
    2001 年 45 巻 6 号 p. 755-756
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 築山 能大
    2001 年 45 巻 6 号 p. 757-758
    発行日: 2001/12/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
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