日本補綴歯科学会雑誌
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49 巻, 5 号
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  • 赤川 安正
    2005 年49 巻5 号 p. 659-668
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 2005 年49 巻5 号 p. 669
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 春日井 昇平
    2005 年49 巻5 号 p. 671-675
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    自家骨移植は骨造成法のゴールドスタンダードであり, 現在も行われている. さらに, 歯科領域での骨造成法として, GBR (Guided bone regeneration) 法, 仮骨延長法, リン酸カルシウム系骨補填材, PRP (Platelet-rich plasma) などが現在臨床応用されている. また, BMP (Bone morphogenetic protein) や各種増殖因子のリコンビナントタンパク, あるいは骨髄や骨膜の細胞を用いた骨造成の臨床結果も報告されている. 今後骨造成法に関する新手法がさらに登場する可能性は高い. 社会は, 治療効果があり (Effective), 安全で (Safe), 簡便で (Simple), 経済的 (Economical) な医療を受け入れる. そこで, これらの頭文字から“2E2S”という概念を提唱したい. 最近の骨造成に関する研究を“2E2S”の観点から考察し, 骨造成の近未来についての予測を述べたい.
  • 口腔外科的立場から
    高橋 哲
    2005 年49 巻5 号 p. 676-681
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    インプラント治療・補綴臨床のために必要不可欠となりつつある歯槽骨再建の方法として, 基本的な歯槽骨造成法の適応と問題点を検証するとともに, 新しい骨造成法として注目されているディストラクション (骨延長法) について述べ, 従来の骨造成法との比較検討を行う. 従来より行われている基本的な骨造成法として, 骨移植術, GBR (Guided tissue regeneration) 法, チタンメッシュによるGBR法の適応症, 術式, 利点, 欠点などを文献レビューと臨床例をもとに検証する. 次にディストラクションについて, その原理と臨床応用について述べ, 従来の骨造成法との比較検討を行う. 骨移植術, GBRな縦来の歯槽骨造成法は有用であるが, ドナーサイトの外科的な侵襲, 軟組織の不足とそれに伴う創移開, 感染などのリスクを伴う. 一方ディストラクションは骨移植を必要とせず, 軟組織も延長できるなどの利点を有する. しかし延長方向の制御が困難であったり, 骨切りなど外科的手技に熟練した技術を要するなどの欠点も有することが明らかとなった. 口腔外科の立場から, 外科的侵襲や合併症の少ない歯槽骨造成法の確立のため, 再生医療などの応用について, 今後さらなる基礎的・臨床的な研究が必要であると思われる.
  • 武田 孝之
    2005 年49 巻5 号 p. 682-690
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    再生医療に衆目が集まって久しく時間が経つが, 日常の補綴臨床を行う際に現在どのような分野でどの程度, 再生医療が切迫して必要とされているのであろうか. 歯科補綴学に直接的に関係のある欠損補綴においては, 現在インプラントによる形態, 機能回復が日常臨床で拡大傾向にあり, より安全で長期性に富む治療環境を整えること, さらに, 歯を喪失する前の状態に非常に近似した審美的で機能的な回復が強く求められている. このような状況下で, 治療結果に対して大きな鍵を握る要素として, 喪失した骨, 軟組織をいかにインプラント治療に適した環境に改善するかに着目されているが, 臨床の現場で重要なことは骨造成 (増生) の必要度, 回復度の整理と作った骨の経時的観察と骨の破壊要因の検討にある. 必要度という点に着目すると, インプラント治療を計画する多くの患者において咀嚼機能の回復を中心と考えた場合には骨造成 (増生) の必要度は低いが, 高い審美的回復を求められた場合には歯が存. 在していたときとは異なった条件で骨の形態を獲得しなければならず, さらに, 隣接する歯の軟組織の付着レベルまでコントロールしないと患者の要望に応えられないことを確認しておかねばならない. さらに, 重要なことは作った骨を破壊する大きな要因である力学的解析を早急に整理することにある. 既存骨および造成 (増生) 骨における力学的検討が補綴領域として再生医療における最重要課題と考える.
  • 永松 千代美, 縄稚 久美子, 峯篤 史, 前川 賢治, 窪木 拓男
    2005 年49 巻5 号 p. 691-696
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は, 56歳女性で上顎左側第一大臼歯相当歯槽部の慢性灼熱痛を主訴に来院した. 痛みは無麻酔下での歯肉縁下盲嚢掻爬に端を発しており, 頭部MRI所見, ならびに局所のデンタルX線写真には異常所見を認めなかった. 一時的に疼痛は, 同歯を抜歯し緩和したが徐々に再発した. 患者の症状がGraff-Radford & Solberg (1992) の持続性神経障害性疼痛 (非定型性歯槽痛) の診断基準に合致したため, カプサイシン局所塗布, 三環系抗うつ剤を中心とした薬物療法, 簡易精神療法を行った. 本患者の痛みの程度を長期経過観察するために, 患者の服薬量を7年間にわたり記録したところ, 痛みの程度に減少傾向が認められた.
    考察および結論: 口腔顔面部の神経障害性痔痛は原因がいまだに不明であることから, 患者の精神的な苦痛は耐え難いものがある. また, 本症の予後に関する臨床エビデンスは明らかに不足しており, 現在のところその予測される症状の推移でさえも的確に患者に伝えることができない. 今回, 服薬量などの経時的な変化から, 本疾患患者の発症後7年間の症状の多寡を評価したところ, 本症の主症状である慢性疼痛は一進一退を繰り返しながらも軽減傾向にあった.
  • 森田 誠
    2005 年49 巻5 号 p. 697-707
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: クラウンが合着された支台歯の辺縁漏洩に, 咬合力がどのように関与しているか検討する.
    方法: 同一規格の支台歯形成を行ったヒト抜去大臼歯にメタルクラウンを合着し, 咬合面の負荷点に, 内斜面および外斜面方向から, 歯軸に対して45゜の角度で, 30kgf, 1Hz, 10万回の繰り返し荷重をかけた. 試験後, 染色液に浸漬し, 支台歯軸面に浸入した色素の面積を測定して比較を行った. また, 負荷後のクラウン辺縁部の様相を走査型電子顕微鏡 (SEM) にて観察した.
    結果: エリートセメント100 (EL) は, 対照群で著しい色素浸入が認められた. フジI (FI), ビトレマールーティングセメント (VT), フジルーティングS (FL), パナビアフルオロセメント (PF) は内斜面方向からの負荷における負荷側直下の色素浸入面積が, そのほかの測定条件と比較して有意 (p<0.01) に大きかった. ADゲル法を併用したパナビアフルオロセメント (AD) およびリライエックスARC (RX) は, 負荷後もほとんど色素浸入がなかった. 負荷後のSEMによる所見は, FI, FLではセメントの凝集破壊, VT, PFでは象牙質界面破壊が認められ, AD, RXは対照群と比較して変化はなかった.
    結論: クラウンの合着において, ADゲル法を併用したパナビアフルオロセメントおよびリライエックスARCは, 咬合力に対する耐久性が優れた合着材料であることが結論づけられた.
  • 中島 一憲, 武田 友孝, 小川 透, 川村 慎太郎, 半田 潤, 佐藤 武司, 前田 昌彦, 島田 淳, 石上 恵一
    2005 年49 巻5 号 p. 708-715
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 現在使用頻度の高い市販のマウスガードのほとんどが, 使用感や外傷予防の点で問題視されている. そのため, 適切なカスタムメイドタイプが使用されるべきである. そこで, 今後のマウスガードの選択, 改善および普及のための資料を得ることを目的に, マウスガード講習会に参加し, 自身のマウスガードを4種 (市販のボイル&バイトタイプ1種およびカスタムメイドタイプ3種) 作製した歯科医師にアンケート調査を行った.
    方法: マウスガードの使用感, 製作の難易度, 使用・普及を考慮した際の選択に関して, 10点評価法によるアンケート調査を行い検討するとともに, Kruskal-Wallis testおよび多重比較 (Mann-Whitney U-test) を行った.
    結果: 使用感の項目では, ラミネートタイプが最も高い評価を得, 次いで改良型一枚法, バキュームタイプ, ボイル&バイトタイプの順に評価が有意に低くなった. 製作難易度では, 4種のマウスガード全ての間で有意差が認められず, 同等であると評価された. 使用, 普及を考慮した際の選択では, ラミネートタイプが最も高い評価を得た.
    結論: 現在普及率の高い市販のマウスガードは, 多くの項目において低い評価であった. 安全性, 装着感, 咬合をも考慮すると, 選手には適切に調製されたカスタムメイドタイプのマウスガードを使用するよう指導すべきと思われる.
  • 練和水として使用した石膏の硬化膨張と圧縮強さ
    山下 秀一郎, 加藤 光雄, 秋山 志穂, 小池 秀行, 沼尾 尚也, 小町谷 美帆, 寺島 伸佳, 伊藤 充雄
    2005 年49 巻5 号 p. 716-725
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 歯科用石膏は, 補綴物製作の過程で頻繁に使用される材料であるが, 患者の印象採得からはじまり模型製作までの一連の過程において, 院内感染に対する予防対策は必要不可欠である. 本研究では, 殺菌効果を有する微酸性電解水を石膏練和水として使用した場合における, 石膏の硬化膨張と圧縮強さについて検討することを目的とした.
    方法: 微酸性電解水生成装置 (ピュアスター®Mp-240B, 森永乳業) より得られた微酸性電解水を, 普通石膏, 硬質石膏, 超硬質石膏の3種類に対する練和水として使用し, 石膏の硬化膨張と圧縮強さに関して分析を行った. コントロールの練和水として普通水を使用した.
    結果: 1. 硬化膨張について微酸性電解水と普通水の結果を比較すると, 練和開始後30分経過時の普通石膏, 硬質石膏を除き, 両練和水間で有意差は認められなかった. 2. 圧縮強さについて微酸性電解水と普通水の結果を比較すると, 90分経過時の普通石膏を除き, 両練和水間で有意差は認められなかった.
    結論: 本研究結果を念頭に置いて石膏操作を進める限り, 微酸性電解水を練和水として用いても, 普通水と比べ何ら遜色のない硬化膨張と圧縮強さが得られることが判明した.
  • 山嶋 崇盛, 吉村 建, 森田 修己, 小林 寛
    2005 年49 巻5 号 p. 726-735
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究は血管内皮増殖因子 (Vascular endothelial growth factor: VEGF) の局所投与が骨再生の促進に有効であるかを検討することである.
    方法: 6週齢のSD系雄性ラット下顎骨に人為的骨欠損部を形成し, 骨欠損部に試薬を充填した後, 骨再生誘導 (GBR) 実験を行った. 実験動物はControl群, Fibrin群 (試薬: 1%HSA・PBS1.2μlおよびフィブリノゲン5.4μl, トロンピン5.4μl), VEGF群 (試薬: VEGF0.1μg/ml含有1%HSA・PBS1.2μlおよびフィブリノゲン5.4μl, トロンビン5.4μl) の3群とし, それぞれ術後10日, 20日, 30日の経日変化を軟X線および光顕組織学的に検索した.
    結果: 軟X線所見として術後10日の変化はわずかであったが, 20日, 30日と経過するにつれてVEGF群はFibrin群よりさらに骨再生が多くなされている傾向があった. また, 組織所見として術後10日目ではどれも新生骨はわずかであったが, 術後20日, 30日と経過するにつれてVEGF群, ついでFibrin群は新生骨量が増加し, 特にVEGF群では新生骨の周囲に豊富な小面管がみられた.
    結論: ラット下顎骨人為的骨欠損部にVEGFを局所投与し, 骨欠損部の血管形成・骨形成に伴う組織構造変化より, VEGFが血管形成に効果のあることが示され, 骨再生に対しても間接的に効果のあることが示唆された.
  • 津田 緩子, 鱒見 進一
    2005 年49 巻5 号 p. 736-743
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 睡眠時無呼吸症候群用口腔内装置の治療顎位として多く使用されている下顎の最大前方移動量の75%前方位を50%前方位としても同等の効果が得られるか否か, および姿勢の変化を加味した際にどのような変化が生じるかについて検討することにある.
    方法: 15名の正常者群 (男性9名, 女性6名) と15名の患者群 (男性15名) について, 座位0%前方位, 仰臥位0%前方位, 仰臥位50%前方位, 仰臥位75%前方位, 側臥位0%前方位, 側臥位50%前方位, 側臥位75%前方位の最大中間吸気速度を計測し, 分散分析を用いて評価を行った.
    結果: 正常者群の最大中間吸気速度は, 下顎位の変化による影響を受けなかったが, 体位が仰臥位から側臥位に変化することにより増加した. これに対し, 患者群では前方移動量が増加するごとに最大中間吸気速度が増加したが, 体位の変化による影響を受けているとはいえなかった. また, 両群とも50%前方位と75%前方位間に有意差は認められなかった.
    結論: 正常者群の最大中間吸気速度は顎位よりも体位の影響を大きく受け, 患者群では逆に顎位め影響を大きく受けた. 前方移動量としては, 下顎の最大前方移動量の50%前方位でも75%前方位を向程度の治療効果が得られることが示唆された.
  • 野村 賢介
    2005 年49 巻5 号 p. 744-747
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は60歳男性. 主訴は正中離開による審美障害. 矯正治療後, 33接着スプリントで永久固定した. 11カ月後, 3部が部分剥離したので3部を撤去し, 3と4を接着嵌合スプリントで連結固定した. さらに6カ月後, 3部も切断撤去し, 従来型クラウンで45と連結固定した.
    考察: 予後は良好である. これはスプリント長の減少と接着嵌合スプリントの応用により剛性強度が高まり, 変形が防止され, 接着界面に引張りやせん断応力が生じにくくなって, 接着耐久性が向上したためと考えられる.
    結論: 本症例から, 接着スプリントの耐久性はその範囲やデザインに影響されることが示唆された.
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