セメント産業は循環型社会の形成において中心的な機能を果たす一方,温暖化防止へ向けた取り組みにも一層の推進が望まれている。したがって,今後のセメントは,クリンカ焼成時の廃棄物使用量を増加し,CO
2削減の観点から混合材を利用する必要がある。本研究では,調合計算と相組成モデルを組み合せた手法を用いることで,クリンカの鉱物組成および混合材添加量と廃棄物使用量,CO
2排出量および強度発現性との関係を試算した。その結果,クリンカの間隙相量を増大することで,廃棄物使用量を増加しつつ,添加量25~35%を上限として混合材の利用が図れることがわかった。本手法により,現状の普通ポルトランドセメントよりも廃棄物使用量が多く,CO
2排出量の低減が可能で,かつ実用的な強度発現性を具備するセメント組成物の設計範囲を示すことができた。
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