ディスク型液肥注入機のディスク牽引抵抗低減のため注入機ユニットを試作供試し,厚さと直径を各3種類として計9種類の平板ディスクを用いて,切削深さ20,40,60mmとしてユニットのゲージホイールとディスクに作用する水平および垂直方向力を測定した。同じ切削深さではディスクの厚さを薄くし,直径を大きくすると牽引抵抗が減少した。切削深さが深くなるとゲージホイールの垂直方向力がディスクに転移するため,ホイールの転がり抵抗が減少しディスクの牽引抵抗が増加した。また,ディスク側面部が土と接触しない形状にすることで,土と側面部との摩擦抵抗を低減できる可能性を示した。
水田輪換畑のムギ跡ダイズ作に用いる不耕起播種機として,条毎にチゼルで深さ100∼150mm程度の排水溝を作溝し,施肥と播種を同時に行うトラクタ直装式作業機を試作した。麦稈の絡みにくいブーツ型にしたチゼルを千鳥に配置し,土塊による出芽への影響を軽減するため,播種は排水溝の中心から進行方向50mm横に行った。また,市販の覆土ディスクを改良して種子の覆土性能を高める対応を行った。性能試験の結果,試作機は平均麦稈長130mm以下の圃場で能率的に作業でき,ダイズの播種精度や出芽率は市販機と変わらなかった。試作機に適応するトラクタの大きさは,5条播種の時,質量2t,機関出力は30∼40kWクラスである。
前報の収穫ロボットで採ったトマト果房を受け取る収容ロボット,および収容ロボットで運搬した収穫物を貯めておく搬出装置を試作した。収容ロボットは収穫ロボットと連携して動作し,収穫ロボットから搬出されるトマト果房をベルトコンベア上へ収容する。また,収容ロボットが収穫物で満載になると,調製出荷室まで運搬後,その収穫物を搬出装置のベルトコンベア上へ搬出する。実験の結果,収容ロボットによるトマト果房の収容ミス,および搬出装置による受入ミスは無く,トマトの損傷も無かった。ただし,大規模施設において収穫システムを利用することを想定した試算では,複数台の収容ロボットによる連携動作が必要と考えられた。
熟練者のナレッジ(専門知識·経験技能)を導入したコンバイン機内清掃マニュアルの作成手法を開発した。開発した手法では,熟練者の作業映像記録と熟練者への聞き取りによりナレッジを摘出し,技能分析表にまとめて整理した後,文章化し,写真,図を加えることによりマニュアルを作成する。清掃精度等への効果を実証するため,開発した手法に従い清掃マニュアルを作成し,清掃試験を行って機内清掃後の機内残を調査した結果,作成した清掃マニュアルを参照することにより清掃後の機内残が54∼60gから3∼5gに低減した。
ブドウ等の平棚栽培管理作業の労働負担を軽減することを目的として,腕上げ作業補助器具を試作し,ブドウ栽培ほ場において労働負担軽減効果を検証した。開発した補助器具は,腰に装着する作業ベルト,腕受け部と,それらを接続する連結機構から構成され,作業者が肘を体の内側に寄せることで動力を使わずに任意の高さで腕を支えることができる。ブドウの摘粒作業においては,補助器具を装着することにより,作業能率を低下させることなく,三角筋の%MVC値が補助器具を使用していない慣行作業の約30%から約80%低減し,労働負担軽減効果の聞き取り調査では8人中7人の作業者から補助器具により労働負担が軽減したとの回答が得られた。
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