35 GHzのミリ波を用いた透過測定系を構築し,乾燥パセリ中のポリエチレン製異物の検出を試みた。検出器をスキャンして得た透過強度分布を1枚の画像とみなし,NMSE(Normalized Mean Square Errors)を使って異物の有無やサイズがミリ波の透過強度分布に与える影響を評価する手法を提案した。検出可能な異物サイズは,最小1辺3 mmの立方体であった。実験で見られた回折の様子は,異物の物性値を用いた電磁界解析によっても再現し,実験で生じた透過強度分布の変化は,異物周辺のエッジで生じた回折波の干渉が原因であり,その結果波長以下の大きさの異物も検出できることが明らかとなった。
可視近赤外分光法を用いた淡褐色卵中の卵黄比率の定量可能性を検証した。非侵襲的に卵黄比率を予測するため,600 nm~900 nmにおける透過スペクトルデータから,複数の多変量回帰モデルを構築し,未知試料の予測に用いた。その結果,LS-SVM(Least square support vector machine)を用いたモデルで最も良い結果を示し,精度88 %,RMSEPが0.017となった。この結果は可視-近赤外分光が卵中の卵黄比率を非侵襲的に予測できる可能性を示したものである。
青果用甘藷は,表皮が軟らかく傷付きやすいため,出荷前の調製作業において機械洗浄で除去できない表面のひげ根を手作業で処理している。そこで,本研究は表皮に傷を付けずにひげ根を除去するため,甘藷のひげ根処理機構として,糸を縒った部分がひげ根を絡め取るスレッディング式機構を開発した。糸には凧糸を使用した。ひげ根の引き抜き抵抗を測定した結果,平均2.68 N,最大9.94 Nであることが明らかとなり,ひげ根処理には10 N以上の引き抜き力が要求された。模擬ひげ根を用いて引き抜き力を測定したところ,最大で約40 Nとなった。引き抜き力は,糸の太さが大きく影響することがわかった。
佐賀県は共同乾燥調製貯蔵施設(以下,共乾施設)の普及率が80 %以上となっている。しかしながら,荷受計量システムに課題があり,計画処理量に対して半分程度の荷受能力しか出ていない。これは,荷受時に農家毎の納入分確定のため,待ち時間等が設定されていることが大きな要因である。この課題を解決するため,荷受能力増強システムが開発されたため,本研究ではこのシステムの検証試験を行った。その結果,共乾施設の設備に大きな改造を施すことなく,本システムを用いた麦・米の荷受において従来の能力の2倍,即ち荷受効率100 %近くでの荷受ができることが判明した。
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