農業食料工学会誌
Online ISSN : 2189-0765
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81 巻, 4 号
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論文
研究論文
  • 森松 和也, 西原 昇吾
    2019 年81 巻4 号 p. 227-232
    発行日: 2019/07/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    種々のpH(pH 5.4-7.4)のナトリウム化合物溶液における大腸菌の熱死滅について調べた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH 7.4)に懸濁した大腸菌は,蒸留水に懸濁したものよりも,大腸菌に対する熱死滅が促された。また,PBS中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンが大腸菌の熱死滅を促進すると明らかにした。さらに,菌懸濁液に塩化ナトリウム溶液またはリン酸水素二ナトリウム溶液を用いた場合,大腸菌の熱死滅は,弱酸性下に比べ,中性下で促進された。以上のことから,中性領域の環境下では,ナトリウム化合物の添加により大腸菌の熱死滅を促すことができると考えられる。

  • Stephen. N. NJANE, 小川 雄一, 鈴木 哲仁, 緒方 康平, 篠原 義昭, 川村 恒夫, 西津 貴久, 近藤 直
    2019 年81 巻4 号 p. 233-242
    発行日: 2019/07/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,二つの空洞部を有する水中ヘルムホルツ共鳴器を用いて,水産試料の精密な体積推定技術の開発に取り組んだ。本方式の共鳴発生の理論を構築するために,共鳴音を発生させる空洞部と,試料を挿入する空洞部の二つを持つ共鳴器を製作した。共鳴器に取り付けたスピーカによりスイープ音を発生させ,スピーカのボイスコイルインピーダンス変化を検出することで共鳴周波数を決定した。低密度かつ標準的な実験試料として空気を使用し,共鳴器に挿入する空気の体積を増加させたところ,共鳴周波数は減少する傾向を示した。さらに空気の体積については決定係数0.99という高精度での推定が可能であった。

  • 上加 裕子, 松井 正実, 青柳 悠也, 三浦 秦
    2019 年81 巻4 号 p. 243-249
    発行日: 2019/07/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    汎用コンバインの作業性能の基準となる穀粒損失は,水稲は2 % 程度,小麦は1 % 程度であるのに対し,ソバは4 %程度と高い。本研究では,汎用コンバインの風選別部における穀粒損失低減と選別性能向上のために,ソバ粒子の空気力学特性を明らかにし,粒子の飛散範囲予測に必要な抗力係数,揚力係数のモデル化を行った。ソバは,籾や麦,大豆に比べると姿勢変化による抗力係数,揚力係数の変動が大きいことが分かった。その結果,粒子の飛散範囲と夾雑物の飛散範囲との重複が大きくなり,1番口で回収される収穫物の選別精度を上げようとすると,機外に排出される穀粒量が大きくなることが示唆された。

  • —精密単独測位方法のロボットトラクタへの応用—
    王 昊, 野口 伸
    2019 年81 巻4 号 p. 250-255
    発行日: 2019/07/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    日本の準天頂衛星システム(QZSS:Quasi- Zenith Satellite System)より提供されるLEX(L-band Experiment)信号を利用したPPP(Precise Point Positioning)をロボットトラクタへ適用した。QZSSはLEX信号を送信することでセンチメートル級の測位精度を実現している。PPPは多くの利点を有しているが,“位置同定の曖昧さ”(ambiguity)に精度が制限されている。静的測位試験と動的測位試験より,PPPは同じ地点で異なる結果に収束することと,収束後にドリフトすることが明らかになった。PPPの制限を克服する地上の目標点に基づく誤差の同定方法を提案し,ロボットトラクタが時速3.6 km/hの条件で5 cm精度の農作業を実現した。

技術論文
  • 澤本 和徳, 梅津 陽輔, 稲村 達也
    2019 年81 巻4 号 p. 256-265
    発行日: 2019/07/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    高密度播種した水稲苗(以後,密苗という)移植栽培技術の日本国内における地域適応性と農業者評価について,実証栽培およびアンケート調査により検討した。実証栽培は青森県から鹿児島県までの36府県の342農業経営体で53品種を供試した。実証地の全平均で密苗の移植時草丈13.3 cm,10 a当たりの移植に使用した育苗箱数は7.6箱,収量は515 kgであった。全体の57 %の実証地で密苗収量が慣行栽培と同等以上であった。移植時苗質および収量が確保され,密苗移植栽培技術は日本の各地域で適用できる可能性が示唆された。農業者からは,播種,育苗管理,移植作業の省力化および育苗資材費の削減に有効であるとの評価を得た。

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