農業食料工学会誌
Online ISSN : 2189-0765
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79 巻, 2 号
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論説
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解説
論文:食料・食品工学部会論文特集
研究論文
  • 折笠 貴寛, 小出 章二, 澤田 みのり, 三鹿 暉峻, 佐々木 邦明, 渡邊 高志, 安藤 泰雅, 中村 宣貴, 村松 良樹, 椎名 武夫 ...
    2017 年 79 巻 2 号 p. 122-130
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    本研究では,熱湯浸漬(HW)およびマイクロ波(MW,ラップ包装あり:MWP)を用いたニンジンのブランチングにおける品質変化について検討した。質量損失率は,MWPにおいて最も大きい値となった。色差 ΔEはいずれの処理においても10以上の値となった。β-カロテン残存率は,HW,MWおよびMWPでそれぞれ90.0,85.8および87.1%となった。L-アスコルビン酸およびカリウムは,HWでの減少率が他の処理方法と比べて2~4倍程度大きい値となった。MWPにおいては,他の処理方法と比較して,より大きな空隙率の増加と硬度低下が確認され,試料表面微細構造においても細胞壁の損傷が確認された。

  • 高橋 敦子, 田中 良奈, 田中 史彦, 内野 敏剛
    2017 年 79 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    本研究では,米ゲルを40,60,100°C,10 %RH,通風区ならびに無風区で乾燥させ,その乾燥特性を明らかにした。また,乾燥に伴う色彩変化およびテクスチャー測定による復元性の評価を行い,貯蔵性と運搬性の向上が期待される乾燥米ゲルの実用性を検討した。米ゲルの乾燥は主に減率乾燥期間であり,予熱期間が認められる条件もあった。乾燥は高温,通風区ほど速く進んだが,含水率100%d.b. 前後で通風の影響は認められなくなった。加えて含水率100%d.b. 付近で,乾燥に伴うL*値,a*値はそれぞれ減少,増加し,吸水復元後の付着性についても急激な減少がみられた。含水率約100%d.b. までの乾燥速度定数はアレニウス型の温度依存性を持つことが確認された。

技術論文
  • 吉田 有花, 今泉 鉄平, 田中 史彦, 内野 敏剛
    2017 年 79 巻 2 号 p. 140-148
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    ズッキーニに対するブランチング処理として,包装・無包装でのマイクロ波加熱および熱湯浸漬(従来法)を施し,凍結解凍時の品質変化に及ぼす影響を調査した。処理時間指標酵素であるペルオキシダーゼ失活の一次反応速度定数は,品温変化を考慮しないとき,熱湯浸漬<無包装<包装となった。一次反応速度定数の温度依存性を考慮したとき,水分損失の多い無包装では同温におけるPOD失活速度が極めて小さくなることが示された。包装処理と従来法を比較した結果,質量損失,ドリップロスおよびAsA残存率について有意差は無く,品質的に同等の製品が製造可能であった。また処理時間短縮といった観点からマイクロ波包装処理の有用性が示された。

論文
研究論文
  • 渡辺 将央, 酒井 憲司
    2017 年 79 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    サロゲートアルゴリズム,AR(自己回帰)モデル,コヒーレンス解析等の手法を組合せ,トラクタドライブシミュレータに用いる路面の生成アルゴリズムを開発した。1つの路面を生成する手法として,ARモデル,フーリエトランスフォームサロゲート法(FTサロゲート法)を用いた。左右車輪の入力路面の組を生成する手法として,新たに提案する低周波同位相化FTサロゲート法を開発した。また,生成路面の境界ギャップ部分を除去するための手法として,片側ハニング窓を提案した。開発されたアルゴリズムは,ISOの規定を満たす路面を生成することが可能であり,トラクタの運動シミュレーションの標準的な手法としての条件を具備している。

技術論文
  • 吉永 慶太, 中山 夏希, 窪田 陽介, 小林 研, 林 茂彦
    2017 年 79 巻 2 号 p. 158-168
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    作物群落内における付着性能の向上のため,静電散布とエアアシスト技術を組み合わせた散布方法を考案し,基礎試験を元にエアアシスト静電散布機を開発した。開発機は,畝端まで到達すると自動的に後進散布に切り替わる自動走行台車と環状電極を用いた静電噴頭部および圧縮エア吐出ノズルを用いたエアアシスト部から構成される。メロンの隔離ベッド栽培において散布試験を行った結果,慣行の手散布と比べて,エアアシスト静電散布は,薬液の付着が約5倍,防除価が約1.5倍となりその効果を確認した。

  • 吉永 慶太, 中山 夏希, グェン テイ タン ロアン, 林 茂彦, 窪田 陽介, 日吉 健二, 塚澤 和憲
    2017 年 79 巻 2 号 p. 169-178
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    静電散布技術およびエアアシスト技術を組み合わせた実用型エアアシスト静電散布機を開発し,その性能および実用性を検討した。試験温室において,トマトおよびキュウリを対象とした防除試験では,10aあたりの散布量を約20%削減しても手散布以上の防除効果が確認された。また,走行路面が均平であるトマトハイワイヤ栽培における現地実証試験では,散布量を半分にしても慣行機械散布よりも優れた薬液の付着性能を有した。他方,走行路面が均平でない土耕栽培の場合,走行が安定せず,薬液の付着性能が慣行手散布に比べ劣った。

  • 塚本 茂善, 水上 智道, 高橋 正光
    2017 年 79 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    刈払機による飛散物の飛散方向測定結果(塚本ら,2013a,2013b)をもとに,飛散物防護性能をより向上させるための飛散物防護カバーの形状を検討した。また飛散物防護カバーの形状の違いによる草の詰まり具合や作業能率を比較するため,平成21年度安全鑑定基準に準拠した飛散物防護カバーと2種類の試作した飛散物防護カバーの計3種類の飛散物防護カバーについてエンジン回転速度,主管内のシャフト回転速度及び作業能率の測定を行った。その結果,試作した飛散物防護カバーは通常の飛散物防護カバーよりも作業能率が向上する傾向にあり,飛散物防護性能と作業性をともに向上させることができる飛散物防護カバーの寸法条件について知見が得られた。

  • 土師 健, 野田 崇啓, 日髙 靖之
    2017 年 79 巻 2 号 p. 186-196
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    飼料用米の効率的な乾燥手段となる高温・高速乾燥を循環式乾燥機で実現することを目的に,燃焼バーナの毎時灯油燃焼量を市販機よりも多いものに交換した試作機を作成の上,熱風温度別の籾乾燥試験を行った。平均熱風温度は60~100°Cまで10°Cごとに設定し,水分計による乾燥速度制御は行わず,熱風温度を一定とした。対照区として市販機の標準モード(40°C)を設定した。その結果,熱風温度を高くしたことで,乾燥速度は対照区の約2~4倍となり,乾減除水量1kg当たりのエネルギーは対照区よりも約10~25%少なくなった。また,熱風温度を高くしても栄養成分は減少せず,粗たんぱく質の消化性が高まる可能性があった。乾燥コストは,熱風温度が高いほど下がる傾向になり,乾減除水量1kg当たり1.6(熱風温度60°C時)~4.6円(熱風温度100°C時)低減した。

    平均熱風温度80°C以上で効率やコストの面で顕著な効果が確認されたが,籾が過乾燥になる傾向であるため,高温熱風時においても適正水分(14.5%w.b.)に仕上がる制御法や運転方法の検討の必要性を認めた。

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