農業食料工学会誌
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82 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
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研究論文
  • —殺虫・殺菌剤を塗抹した大豆種子に対応する播種機構の検討—
    重松 健太, 高山 定之, 難波 和彦
    2020 年82 巻2 号 p. 129-137
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    著者らはディスク式の畝立て播種機による大豆播種の高速化を検討しており,中耕培土機とダブルプレート式種子繰り出し機構で構成した試作機で作業速度1.5 m/sを達成した。しかし,近年普及が進む殺虫・殺菌剤を塗抹した種子を用いたところ,2割を超す種子に損傷が発生し,欠粒は最大3割に達した。薬剤により種子の動摩擦抵抗は2倍程度に,さらに種子繰り出し機構内部にも薬剤が付着すると3倍に達していた。そこで,切り欠き形状をU字に変更した大豆用播種プレートを試作し,4品種,粒径3種類で繰り出し試験を行った。その結果,種子の損傷がほぼなくなり,繰り出し速度20 /s(作業速度2.5 m/sに対応)でも欠粒2 %以内と安定動作を実現できた。

  • Stephen. N. NJANE, 緒方 康平, 小川 雄一, 川村 恒夫, 西津 貴久, 椎木 友朗, 鈴木 哲仁, 近藤 直
    2020 年82 巻2 号 p. 138-149
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    魚体積の精密推定は,養殖魚の生育状態モニタリングおよび出荷準備を行うためには不可欠である。本研究では,共鳴音発生用の空洞部とアクリル製で軽量な試料挿入用の空洞部の二つを持つ水中ヘルムホルツ共鳴器を製作し,魚体積の推定を行った。共鳴音発生用の空洞部に取り付けた水中スピーカを用いて,100 Hzから500 Hzまでのチャープ波の発生および検出を行った。試料挿入用の空洞部内で,メダカ(Oryzias latipes)およびウグイ(Tribolon hakonensis)の体積を増加させるに従い,共鳴周波数は減少した。どちらの魚種についても,体積実測値と予測値の間で,決定係数0.99という高い相関が確認できた。

  • —Histogram of Oriented Gradientの効果検証—
    森本 英嗣, 稲垣 成祥, 上田 大介, 高橋 克直, 野波 和好
    2020 年82 巻2 号 p. 150-155
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,収穫作業効率低下の要因となるイネの倒伏状態を診断する画像処理手法を提案した。供試画像についてはコンバインのキャビン内に搭載したCCDカメラによって刈り取り直前の稲株を撮影し,学習用と評価用で合わせて29870枚を収集した。画像処理システムはピクセルごとのエッジに基づくHistogram of Oriented Gradient特徴からk平均法を用いてBag of Visual Words特徴(次元数100)を生成した後,主成分分析で次元数を90とした。最後にサポートベクタマシンを用いて倒伏判定した結果,判定精度は74.0 %であった。

  • —畳み込みニューラルネットワークとランキング学習の効果検証—
    森本 英嗣, 稲垣 成祥, 上田 大介, 高橋 克直, 野波 和好
    2020 年82 巻2 号 p. 156-161
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    本研究では収穫作業効率低下・コメの品質低下の要因であるイネの倒伏状態を診断する画像処理システムを開発した。供試画像を収集するためにコンバインのキャビン内にCCDカメラを搭載し,刈取直前の稲株画像を学習用と評価用を合わせて2601枚収集した。システムは畳み込みニューラルネットワークとランキング学習の手法であるRankNetによる順序予測モデルを適用し,精度評価には順序予測の品質評価する指標であるnDCG(正規化減損累積利得)を用いた。画像処理の結果,nDCG@101は1.0となり本システムは倒伏判定手法として活用可能であることが示唆された。

  • 井上 航輔, 海津 裕, 芋生 憲司
    2020 年82 巻2 号 p. 162-168
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,ディープラーニングによる物体検出とステレオカメラによる距離検出を組み合わせたロボット草刈機のための距離センサシステムを提案する。このセンサシステムは検出対象の一部が植物によって遮蔽されている状況においても対象までの距離及び方向を取得することができる。検出対象を人として草の中で距離と方向を測定する実験を行った。実験の結果,高さ1 mの草の中であっても距離7 mまで安定して人の検出が可能で,距離4 mでは0.2 m,7 mでは0.1 mの誤差となった。方向については,カメラの正面方向からの角度が大きくなるほど測定誤差が大きくなり,最大の誤差は46° の点において4.3° となった。

技術論文
  • 太田 智彦, 山田 祐一, 金光 幹雄, 吉田 隆延, 水上 智道, 宮原 佳彦, 湯浅 一康, 東 恵一, 島田 智人
    2020 年82 巻2 号 p. 169-179
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    平棚栽培果樹園でのドリフト低減技術を開発する目的で,棚面への近接散布が可能なノズル管に扇形ノズルを装着した実験機を試作し,清水散布実験を行った。ブドウ園で中空円すいノズルを装着したスピードスプレーヤにより,送風量4.8 m3/sで散布したとき,ドリフト距離は30 mであり,送風量を0と3.2 m3/sに低減し,実験機により近接散布したとき,ドリフト距離は10 mに低減した。実験機の付着度が5以上の割合,平均付着度は,ともにスピードスプレーヤによる散布と同等で,付着性能は同等と考えられた。ナシ園では送風量を4.8 m3/sから3.2 m3/sに低減し,近接散布を行っても,ドリフト低減効果は見られなかった。

  • 齋藤 雅憲, 進藤 勇人, 本庄 求, 武田 悟, 片平 光彦, 武田 純一
    2020 年82 巻2 号 p. 180-187
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    現在,秋田県ではエダマメ栽培の規模拡大が進んでいるが,早生栽培ではマルチ被覆が必要で播種作業の機械化は遅れている。また,水田転換畑では,出芽安定化と湿害回避のため,砕土率向上と畝立て栽培の必要性が高い。そこで,本研究では畝上層の砕土率向上が見込める表層細土畝立ロータリとマルチ展張と播種を同時に行う播種機による作業を検討した。各同時作業は良好で,慣行栽培に近い畝形状を達成し,90 %以上の砕土率とマルチにより出芽率が高く,出芽位置は中心から平均1.7 cm以内であった。最終的に慣行栽培と同等の良品収量を得られ,最大負担面積は6.3倍に拡大できると試算され,高能率化と省力化が達成された。

  • —高密度播種苗と乳苗および稚苗の比較—
    澤本 和徳, 稲村 達也
    2020 年82 巻2 号 p. 188-195
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2023/04/29
    ジャーナル フリー

    水稲育苗箱に高密度に播種し,育成した苗(密苗という)から小さく掻き取りができる田植機(密苗仕様田植機という)の植え付け精度について,密苗と乳苗および稚苗で比較検討した。移植時の密苗は草丈が長く茎が細い苗姿で,苗マット強度が高いことが確認された。密苗仕様田植機は,横送り回数と苗縦取り量の調整により,密苗,乳苗および稚苗を1株当たり4本程度で植え付けることができ,育苗培土を使用する密苗および稚苗では1株当たり掻き取り本数が2~6本の比率は74 %~87 %であった。苗ブロックの小さくなる播種密度の高い密苗やロックウールマット使用の乳苗では,苗ブロックが軽いことから欠株の発生が5 %を超える場合があった。

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