AI・データサイエンス論文集
Online ISSN : 2435-9262
3 巻, J2 号
選択された号の論文の123件中101~123を表示しています
  • 中島 未椰, 斎藤 隆泰, 加藤 毅
    2022 年3 巻J2 号 p. 916-924
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,超音波非破壊検査の重要性は増しており,非接触で検査できるレーザー超音波検査と散乱波の可視化技術を組み合わせたレーザー超音波可視化試験(LUVT) の可能性に期待が集まっている.散乱波を可視化したとしても検査員が注意深く画像を検査する必要がある.これを自動化するため,本論文では,LUVTにおける欠陥検出と位置推定のための深層ニューラルネットワークを提案する.このタスクに適したニューラルネットワークの構造を検討するため,まず,本研究で対象とするLUVT画像解析問題と一般物体検出問題を比較した.その上で,一般物体検出のための最新モデルに装備されている各モジュールが本研究で対象とするLUVT画像解析問題において必要性を有するか吟味することで,ネットワークを構成しなおした.SUS304平板の実計測データを用いた計算機実験により,予測性能において,提案モデルは,一般物体検出モデルより,有用性の高い方法であることを実証する.また,予測にかかる計算時間も一般物体検出モデルより高速であることも示す.

  • 関 和彦, 窪田 諭
    2022 年3 巻J2 号 p. 925-934
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    適切な予算配分を行い橋梁の長寿命化修善計画を策定するために,その状態を把握する基盤となる点検データの品質向上は重要な課題であり,CIMモデルの活用が期待されている.判定結果は損傷の発生箇所を2次元図面に記載されているため,複雑に部材が入り組んだ部位は図面に表現されていない.また,それらの図面には寸法がないものもあり,確認作業に通常よりも時間が多くかかってしまうという問題も生じている.本研究では,これらの課題を解決するため3D損傷図作成支援システムを開発した.そして,そのシステムを橋梁定期点検の実務に導入するための課題や問題点を実証実験を行い整理し,CIMモデルを用いた橋梁定期点検の課題について言及する.

  • 斎藤 隆泰, 笹岡 真次, 廣瀬 壮一
    2022 年3 巻J2 号 p. 935-944
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    超音波や電磁波等を用いた非破壊評価の分野において,受信散乱波から欠陥形状を再構成する手法である逆散乱解析に関する研究が古くから行われてきた.一般的に,例えばBorn近似やKirchhoff 近似を用いた逆散乱解析法では,難解な数学理論を駆使した定式化がなされているものの,実用化の観点から見れば,依然として実際の非破壊評価への適用に対する課題は多い.そこで,本研究では,近年,AIの基礎として注目を集めている深層学習を用いて,それら逆散乱解析と同様に,受信散乱波から欠陥の形状や位置を再構成する方法を開発することを試みる.ただし,本論文では,この種の研究の第一段階であることから,受信散乱波は時間領域境界要素法で作成したシミュレーション波形を用いる.最終的に欠陥からの散乱波を教師データとした深層学習を行い,固体中の欠陥の位置や大きさ等を推定した結果を示す.深層学習結果より,欠陥が素子群から遠ざかる程,欠陥形状再構成精度が低下することが示唆された.

  • 大月 庄治, 今井 龍一, 中村 健二, 塚田 義典, 梅原 喜政, 田中 成典, 平野 順俊
    2022 年3 巻J2 号 p. 945-953
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    日本の社会インフラにおいて,建設後50年以上経過する施設の割合は増加傾向にある.加えて,今後の建設業就業者は減少すると推計されており,社会インフラの適切な維持管理が困難となる.この課題に対して,BIM/CIMや点群データの活用で維持管理を高度化・効率化する手法や各地物・各部位に点群データを分割した点群データのプロダクトモデル化の手法が提案されている.そこで,本研究では,点群データのプロダクトモデル化の手法を整備データの精度や鮮度の観点で他のデータ管理手法と比較し,どの地物や利用シーンが点群データのプロダクトモデル化の手法に適しているかを確認し,同手法が有用であることを明らかにした.

  • 諏訪 太紀, 藤生 慎, 森崎 裕磨, 福岡 知隆, 吉倉 麻衣
    2022 年3 巻J2 号 p. 954-961
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    現在,我が国の下水道普及率は2020年度末で,80.1%,全国下水道管渠の総延長は2020年度末で約49万kmとなり,膨大なストックを抱えている.また,標準耐用年数である50年が経過する下水道管渠の割合は今後急増する.現在,下水道管渠の点検は目視及びテレビカメラ調査によって行われているが,2018年度の調査延長は目視とテレビカメラによるものとを合わせてわずか6686kmであり,このペースでは全下水道管渠を一巡調査するのに72年もかかり,適切な維持管理が行えない.そこで,本研究では国土交通省・国土技術政策総合研究所(国総研)が公開している管渠劣化データベースを活用し,深層学習手法の1つである1次元畳み込みニューラルネットワークによる緊急度分類モデルを構築した.

  • 佐々木 碧, 森崎 裕磨, 藤生 慎, 諏訪 太紀
    2022 年3 巻J2 号 p. 962-969
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    近年わが国では少子高齢化や人口減少に伴い,地域を問わずあらゆる場所で空き家が増加している.空き家増加の対策として,国や自治体によりその利活用が推奨され問題解決が図られる一方で,利活用後の需要や持続可能性に関しても十分に検討を行う必要がある.そこで本研究では,埼玉県比企郡鳩山町の人口構成から空き家の利活用時の用途を選定する.その後修正ハフモデルを用いて選定した空き家利活用時の用途を持つ既存施設に対して対象地域内における吸収率を算出する.さらに吸収率の低いエリアの空き家を適切な用途に利活用した際の対象地域内における吸収率を算出する.これらの分析で得られた成果をそれぞれ GIS 上に示したことで,各利活用途のエリアごとの吸収率の見える化に成功し,地域における空き家の適切な利活用方法について示唆を得ることができた.

  • 森脇 佑太, 藤生 慎, 森崎 裕磨, 唐島 成宙
    2022 年3 巻J2 号 p. 970-976
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    慢性疾患患者などの医薬品使用者は,医薬品を使用できない場合には病態が悪化することが多い.特に,大規模地震災害発生時は,かかりつけの病院が被災することに加え,地域の医薬品ニーズが増加することから,慢性的な医薬品使用者の病態悪化の可能が高くなる.そこで,本研究では,災害時における慢性的な医薬品使用者に対して,ニーズに応じた医薬品支援を行うことを目的とした.石川県羽咋市を対象に,地域の医薬品処方状況を把握し,地震災害時における医薬品使用者の避難を想定することで,災害時にどこでどのような医薬品ニーズが存在するかを把握した.その結果,羽咋市内における慢性的に使用されている医薬品としては,血圧降下剤や高脂血症用剤の医薬品使用者が多く,地震災害時の避難を想定した際にも,各避難所にて高い需要が見込まれることが得られた.

  • 山谷 佳史, 藤生 慎, 森崎 裕磨
    2022 年3 巻J2 号 p. 977-984
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    金沢市では,「金沢市まちなか自転車利用環境向上計画」(平成22~31年度)の中で,自転車利用促進に向けた具体的な取り組みとして,「公共レンタサイクルシステムの導入」を掲げた.その一環として,社会実験(通称:金沢レンタサイクル「まちのり」)を実施したのちに「まちのり」を平成24年3月に運用を開始した.結果として,多くの市民や来街者の移動手段として機能し,多くの利用者の回遊性が向上した.本稿では金沢市の町字ごとの従業者数と宿泊部屋数から「まちなか」のポート配置を評価,考察を行っている.

  • 西岡 洸紀, 藤生 慎, 森崎 裕磨
    2022 年3 巻J2 号 p. 985-993
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    地球上には多様な生物が生息している. 科学的には約175万種と言われているが, 実際には300万種~1億1100万種が生存しているとの推計もされている. そしてこの生物たちは, 他の生物と直接的・間接的に支え合うことで生きている. また, 毎日の食事や医療, 産業, 文化に至るまで, 生物から多くの恩恵を「資源」として得ることで, 私たち人間の暮らしが支えられている. 近年,環境破壊などでこの生物多様性が失われつつあるが,その実態を把握する上で,地理的情報を分析することは極めて重要である.そこで,本研究では,土地利用や人間活動と生物分布との関係性を分析し,人間活動が各生物種の生息域に及ぼす影響を明らかにする.

  • 藤嶋 斗南, 党 紀, 全 邦釘
    2022 年3 巻J2 号 p. 994-1002
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    老朽化し続ける橋梁の維持管理には,目視点検が基本の手法とされているが,現在では建設業に関わる労働者数の減少にともない,危険も伴う点検作業の効率化,合理化,安全性作業内容の客観性も求められている.AIやUAVを活用した点検手法はこれらの問題を解決することが社会的に大きく期待され,近年では多くの研究が行われている.本研究では,ピクセルレベルの腐食損傷認識について,従来の深層学習手法のU-Netモデルなどでは現地の背景を損傷と誤認識されることが多い問題点に着目して,数枚の現地写真で増強訓練を行い,誤認識を大幅に抑える方法を提案した.提案手法を検証するために,背景の少ない点検報告書写真のみを用いて訓練されたU-Netモデルとそれをベースしてさらに現地背景を含めたUAV画像の背景増強訓練を行ったモデルの損傷検出結果を比較した.増強訓練されたモデルがUAV画像から橋梁の特徴や橋梁周辺の情報を学習し,損傷を検出する精度が向上するという結果が示された.

  • 馬場 優大, 藤生 慎, 森崎 裕磨
    2022 年3 巻J2 号 p. 1003-1009
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国の下水道管渠の総延長は現在約49万 km であり,その中でも標準耐用年数50年を経過した下水道管渠は約2.5万km 存在し,それらは,今後急速に増加することが予想される.しかし,現在の目視とテレビカメラによる点検手法ではすべての下水道管渠を点検するには膨大な時間を要する.この問題を解決する方法には,点検の必要性や優先度を決定する必要がある.そこで本研究では国総研が公開している下水管データの諸元データ及び周辺環境データのみで下水道管渠の劣化状況を予測するモデルの構築を行った.また,最適化アルゴリズム等のハイパーパラメータや隠れ層の層数が変更させたモデルを複数作成し,分類性能の比較を行い,適切なハイパーパラメータを決定した.

  • 奥村 尚登, 坪田 隆宏, 吉井 稔雄
    2022 年3 巻J2 号 p. 1010-1016
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では,高速道路トンネル内に設置されている灯具の劣化を予測する多層ニューラルネットワークモデル(以下,AIモデル)を構築する.判定区分Cに分類される点検結果の灯具取付部を対象とし,灯具の劣化速度に影響があると考えられる環境要因15項目を入力とし,次回点検時での劣化の進行の有無を出力とするAIモデルを構築した.また,従来型モデルの代表としてロジスティック回帰モデルを構築した.続いて,構築したモデルに対して,学習に用いていない未知のデータを入力して予測を行い,その予測再現性を評価した.その結果,AIモデルがロジステ ィック回帰モデルよりも高い精度で灯具の劣化を予測可能なことを示した.更に,入力データの感度分析を実施し,モデル精度の向上に重要な変数を明らかにした.

  • 龍田 斉, 原田 豊, 貫井 敬章, 榮 洸希, 清水 亮平, 長井 宏平
    2022 年3 巻J2 号 p. 1017-1023
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    機械学習技術の1種である勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree,以下 GBDT)は 性能・計算速度ともに優れているため,実務・研究ともに広く利用されている.本研究では,橋梁長寿命化修繕計画の高度化を目的として,栃木県が管理する橋梁の諸元および過年度点検データと,気候や地形等のGISデータである国土数値情報とを,畳み込みニューラルネットワーク(Covolutional Neural Networks,以下CNN)とGISを用いて教師データとして結合し,損傷劣化が進展する橋梁を判定するモデルをGBDT にて構築することを検討した.検証の結果,高性能に損傷進展の有無を推定するGBDTを構築することができた.また,構築したGBDTを用いて損傷進展の有無等により橋梁データをグルーピングし,グループごとに劣化曲線を導出することにより,従来法よりも誤差が小さくなることが確認できた.

  • 遠藤 慧人, 小林 泰三
    2022 年3 巻J2 号 p. 1024-1028
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,建設業界でもICT活用による業務効率化が進んでおり,施工時の情報を利用し地盤調査を行う技術が開発されている.本研究では,アースオーガ掘削の掘削音から,機械学習を用いて土の粒度を推定する技術を提案した.まず,異なる粒径のビーズを混合したモデル地盤を掘削した音からモデル地盤に含まれる各粒径のビーズの質量配合率を推定した.さらに,実際の土(砂質材料)に対して同様の実験を行い,掘削音による粒度推定の実現可能性を示した.

  • 天方 匡純, 石井 明, 宮﨑 利行
    2022 年3 巻J2 号 p. 1029-1036
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国においてもディープニューラルネットワークの社会適用が進み,社会資本インフラの分野でも様々な研究,そして,実用化を試みる業務例が見られる.一方で,ディープニューラルネットワークの学習に不可欠な大量データの整備は進まない.工場等の屋内一定条件下でのデータと異なり,屋外にある社会資本インフラに関わるデータは多様であり,その多様性を表現したデータベース整備は今後進んで行くものと思われる.本稿ではそのような現状を踏まえ,ディープニューラルネットワークよりもパラメータ数の少ないリザバーコンピューティングをダム流入量予測に適用し,その実用可能性を確認した.ある程度の予測精度を確保できるが,ディープニューラルネットと比較すると精度が悪く,今後,ネットワーク等の工夫が必要であることが確認できた.

  • 阿部 友貴, 小林 泰三
    2022 年3 巻J2 号 p. 1037-1041
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,土粒子を撮影した画像から,AIを活用して粒度分析や土質区分判定を行う手法の検討を行った.PC上で円形,正方形,正三角形の粒子形状をもつバーチャル粒子群画像を作成し,これを学習させたAIモデルを構築した.粒子同士が接触しないという条件ではあるが,粒度の異なる砕石の画像100枚に対して模擬的に設定した土質分類判定(7種への分類)を試みた結果,78%の正解率を得ることができた.実用化には更なる精度向上が必要であるが,円形,正方形,正三角形といったシンプルな形状の粒子群をPC上で作成することにより,実際の土による教師データを代用できる可能性を示すことができた.

  • 山本 佳士, 光谷 和剛, 金澤 靖, 徳重 海都, 園田 潤, 木本 智幸
    2022 年3 巻J2 号 p. 1042-1052
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,著者らが開発した,レーダ画像からGANの一種であるpix2pixを利用してコンクリート内 部のひび割れを可視化する手法を,準3次元情報を付与して高精度化する手法を提案した.既往の研究では,欠陥情報を含むコンクリート断面画像およびそれに対応するレーダ画像のペアを多数取得し,それを学習データセットとしてpix2pixに学習させ,レーダ画像から欠陥断面画像を出力するモデルを構築していた.そこで本研究では,さらに,材料の分布性状は異なるが,欠陥の分布情報はほぼ同様になる,レーダ走査位置をコンクリート内の粗骨材の最大寸法程度だけ奥行き方向にずらした,2枚のレーダ画像を入力して欠陥断面画像を出力する手法の適用を試みた.提案手法は,従来手法では精度が低下する条件でも,高精度で推定できることが分かった.

  • 高橋 良輔, 角野 拓真, 東条 かおり, 岡崎 慎一郎
    2022 年3 巻J2 号 p. 1053-1058
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,極端豪雨により激甚化する豪雨災害の一つとして,局所洗掘による橋脚の損傷やそれに伴う落橋等が日本各地で頻発している.この種の災害に対する維持管理では,被災リスクが高い橋脚を抽出し,計画的な予防保全措置を実施するとともに,橋脚の健全度を把握するために適切な残存耐力評価が必要となる.本研究では,機械学習を援用し実効雨量を説明変数とした河川水位予測モデルを提案するとともに,局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存耐力評価モデルを提案する.これらモデルを組み合わせることで,気象変動により変動する河川水位および局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存評価が可能となる.

  • 森崎 裕磨, 藤生 慎, 高山 純一
    2022 年3 巻J2 号 p. 1059-1067
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    南海トラフ地震の災害規模は,東日本大震災以上に甚大になることが予想されている.大規模広域的な地震災害においては通信環境の途絶が予想され,要配慮者を含む被災者の存在位置及びニーズの発信が困難になる.これまでに筆者らは SAR 画像および SAR 衛星が観測可能な複数種のリフレクタ(LANDED)を開発し,それらを用いて通信環境の途絶時にも被災地外へ要配慮者のニーズが把握可能なシステムを構築してきた.本研究では,筆者らが開発したシステムの社会実装に向けて,ニーズ把握の要である LANDED の設置可能領域の把握手法を提案する.また,南海トラフ巨大地震で強い揺れが想定される自治体を対象とした Web アンケート調査を行い,筆者らが開発したシステムの有効性,課題等を整理する.

  • 直井 大知, 森崎 裕磨, 藤生 慎
    2022 年3 巻J2 号 p. 1068-1074
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    東北地方太平洋沖地震,熊本地震時には乳幼児,高齢者,障がい者等の災害時要配慮者が多数被災した.また被災地外からの物資供給が遅れ,指定避難所内には十分な備蓄もされていなかったため困難に見舞われる事例が多数発生した.本研究では,要配慮者の中でも特に自己判断能力がなく,第3者による支援が 必須な乳幼児に着目し,指定避難所に避難する乳幼児数,食料・紙おむつ等の必要物資量を推計することを目的とする.本研究における分析を通して,国勢調査,自治体が管理する行政データ等から指定避難所ごとに避難する乳幼児数を推計した.また,災害時に乳幼児が必要とする物資を把握することで,各避難所で必要な物資の量・質を明らかにした.

  • 平子 紘平, 藤生 慎, 森崎 裕磨, 髙山 純一, 西野 辰哉, 寒河江 雅彦, 柳原 清子
    2022 年3 巻J2 号 p. 1075-1081
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    現在日本は超高齢社会へと突入しており,それに伴い医療・介護費の増加,病床不足,老々介護や介護難民など様々な問題が生じている.これに対し医療・介護制度の見直しだけではなく,高齢者が要介護状態となっても地域で暮らし続けることができる地域づくりが喫緊の課題となっている.本研究では,現在十分に利活用されていない医療ビックデータである国民健康保険データベースのデータを活用し,町字という詳細な地域単位で要支援認定者が暮らす地域環境を把握し効率的な地域包括ケアシステム構築に寄与する.75歳以上の要支援認定者を対象に地域別認定者数を算出し,定量的に評価した地域特性との関係を調べた.その結果,認定者数は地域によって大きく差があり,要支援認定者が多く地域特性の一つである生活利便性が悪い地域が明らかとなった.

  • 藤生 慎, 森崎 裕磨, 高山 純一
    2022 年3 巻J2 号 p. 1082-1091
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国では,近い将来,首都直下地震・東海地震など大規模な地震の発生が想定されており,莫大な数の建物被害の発生が予想される.それらの地震で被害を受けた建物に対する各種調査の迅速な実施と調査結果の公開が,迅速な被災者の生活再建につながることは自明である.そこで,本研究では,応急危険度判定,建物被害認定,地震保険損害査定,被災度区分判定を対象として各調査の調査項目の重複程度を分析した.その結果,応急危険度判定と建物被害認定,建物被害認定と地震保険の損害査定には,多数の重複調査項目を確認した.また,過去の地震災害を例に取り,地震後の各調査の調査実態を明らかにした.以上の結果から,応急危険度判定,建物被害認定,地震保険損害査定の各調査は,調査結果の共有を行うことにより迅速な調査を実施可能であることが明らかとなった.

  • 荒川 祐太, 高田 和幸
    2022 年3 巻J2 号 p. 1091-1098
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/12
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,我が国では,高齢化の進展に伴い公共交通空白地域における移動手段確保が大きな課題となっている.その課題の解決に向け,路線バスやコミュニティバスよりも利用者のニーズに対応した需要応答型交通は,今後ますます重要となると考えられる.埼玉県東松山市では,公共交通空白地域における移動手段の確保を目的として,2015 年 12 月にデマンドタクシーを導入した.事業開始から約 6 年が経過し,需要が定着した一方,サービス改善の要望や,事業費の増加といった課題も生じている.

    本研究では,これまでに蓄積された利用実績データを用いて,需要のヒートマップを作成し,ニューラルネットワークを用いた深層学習の画像認識技術を適用することにより,時空間的な需要スポットを予測するモデルを作成した.

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