土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
70 巻, 1 号
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和文論文
  • 上田 尚史, Kongkeo PHAMAVANH, 佐野 理紗, 中村 光, 国枝 稔
    2014 年 70 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,RC部材の非線形有限要素解析における損傷評価手法の確立を目的として,コンクリートの圧縮破壊が支配的となるせん断圧縮破壊するRC部材の破壊基準としてのひずみ評価指標を検討した.面的なひずみ性状を計測可能なアクリル格子法を用い,損傷領域と損傷度を実験的に評価するとともに,3次元非線形有限要素解析による損傷評価を行った.その結果,平均化ひずみを用いることで要素寸法によらないひずみ分布性状が得られることを示し,ひずみによる損傷領域評価と破壊基準を提案した.また,提案手法を曲げ破壊するRC部材に適用し,その妥当性と適用性を示した.さらに,不静定構造物を対象とした検討の結果,構造全体の耐荷力以前における部材の破壊を評価でき,単一部材のみならず構造物中の部材の損傷評価に対する適用性を示した.
  • 小松 誠哉, 宮里 心一, 前田 良文, 大城 壮司, 松井 隆行
    2014 年 70 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/20
    ジャーナル フリー
     道路橋床版の塩害劣化が進行すると,かぶりコンクリートに浮き・剥離が生じる.このことから,第三者被害を予防するため,剥落する前に当該箇所を叩き落し,露出した鉄筋へ亜鉛成分が混入された防錆剤を塗布する.しかし,母材に塩化物イオンが残存している場合などには,稀に再劣化が生じる.本研究では,シラン系含浸材を用いて,叩き落し部と母材コンクリートの間の電気抵抗を高め再劣化を低減する工法を提案した.はじめに,モルタルとコンクリート供試体によるフィジビリティースタディーを実施した.次に,道路橋から切り出した床版を用いた試験を実施した.それらの結果,叩き落し後の5.5年間相当に亘り,再劣化を低減できることを確認した.以上のことから,本研究で提案する工法は,塩害劣化した床版の当面の緊急処置として有効であると考える.
  • 武地 真一, 横関 康祐, 新保 弘, 寺田 賢二, 秋山 吉弘, 矢田 勤, 辻 幸和
    2014 年 70 巻 1 号 p. 29-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     地下空洞型放射性廃棄物処分施設に用いる区画内充てん材は,崩壊熱により高温環境となる可能性がある廃棄体の周囲に直接打ち込まれることから,その充てん性や硬化性状への悪影響が懸念される.また,区画内充てん材は放射線環境下での施工となるため,遠隔操作による無人化施工で所定の施工品質を確保する必要があるなど,施設特有の課題もある.
     本論文では,高温環境を模擬した充てん性試験により区画内充てん材の配合を選定し,高温養生試験を行ってその硬化性状への温度の影響を明らかにした.さらに,実規模試験により,ポンプ圧送と移動式バケット方式による無人化施工を実現可能とした.
  • 木野 淳一, 山田 章史, 築嶋 大輔, 石橋 忠良
    2014 年 70 巻 1 号 p. 44-55
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
     断面形状がT形,矩形中空となる部材のせん断耐力は,現行基準で定められている算定式によるせん断耐力より大きくなることが知られている.本研究では,そのような断面を有する鉄筋コンクリート梁部材のせん断実験を行ない,その結果を基により実際に近いせん断耐力算定方法を検討した.実験の結果から,まずウェブ部に斜めひび割れが発生した後でフランジ部の破壊に至るという破壊状況であったことから,矩形断面のせん断耐力にフランジ部分のせん断耐力を加算する算定方法を検証した.その結果,現在のせん断耐力算定式と比較して,この算定方法を用いることでより実際のせん断耐力に近い算定値が得られることを確認した.
  • 湊 大輔, 名和 豊春, 平沖 敏文, 後藤 卓
    2014 年 70 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     セメントと重水を水和させた白色セメントペースト試料の2H NMRのスペクトルを解析し,養生環境のRHの変化によってC-S-Hに含有される細孔水の運動性がどのように変化するかを検討した.その結果,C-S-H中の重水素分子は,運動性の自由な重水素と水和生成物中の-O2H基に相当する運動の拘束された重水素に分離でき,さらにC-S-H細孔壁面付近では,運動性の自由な重水素は吸着水と準吸着水およびバルク水に細分できることがわかった.また,吸着水と準吸着水それぞれの運動性の温度依存性を測定した結果,吸着水と準吸着水とでは異なる温度依存性を示すことをつきとめ,活性化エネルギーを計算した.さらに表面吸着水と準吸着水の存在比率より,吸着層の厚さを計算し,これより水が保持されている細孔の大きさに及ぼす養生環境の湿度の影響を定量化した.
  • 玉野 慶吾, 中村 光, 上田 尚史, 国枝 稔
    2014 年 70 巻 1 号 p. 76-91
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     RCはり部材に対する曲げひび割れ進展挙動について,クリープ,収縮,コンクリートの硬化過程に伴う材料特性の変化と,鉄筋の付着性状を考慮した3次元有限要素解析を用いて解析的に評価を行った.鉄筋の付着性状を考慮することにより,荷重増加によるRCはり,PRCはりのひび割れ性状およびひび割れ幅について評価できることが示された.また,時間依存挙動を考慮することにより,持続荷重による全体挙動およびひび割れ進展挙動を,強度による材料特性の違いに依らず,妥当に評価できることが示された.さらに,本解析手法を用いて,乾燥収縮量や自己収縮量,乾燥領域,クリープがひび割れ進展挙動に及ぼす影響を検討した.
  • 臼井 達哉, 宮原 茂禎, 丸屋 剛, 大友 健
    2014 年 70 巻 1 号 p. 92-103
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     水結合材比55%の高炉セメントコンクリートと普通ポルトランドセメントコンクリートに対して異なる養生温度条件下における自己収縮ひずみと鉄筋拘束による収縮応力を測定し,コンクリート温度がそれぞれの物性に与える影響について検討にした.その結果,普通コンクリートは,コンクリート温度による自己収縮ひずみの変動が小さいのに対し,高炉セメントコンクリートでは,コンクリート温度による自己収縮のひずみ量,ひずみ速度の変動が大きく,普通コンクリートとは異なる傾向を示した.加えて,収縮応力試験結果をもとにヤング係数の補正係数を算出したところ,高炉セメントコンクリートは,20℃一定養生温度におけるヤング係数の補正係数よりも,40℃一定養生温度,マス養生温度履歴下の方が,大きな値となり,温度依存性があることが示唆された.
  • 谷辺 徹, 小澤 満津雄, 鎌田 亮太, 内田 裕市, 六郷 恵哲
    2014 年 70 巻 1 号 p. 104-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,高温環境下での高強度コンクリートの耐爆裂性評価における爆裂発生指標を提案した.すなわち,拘束リングにコンクリートを打設した供試体の一面加熱試験を実施した.この試験により,拘束条件下のコンクリートの爆裂規模を評価できた.拘束リングの円周方向ひずみの計測値から,円筒モデルよりコンクリートの拘束応力分布を推定した.その結果,加熱面からの断面深さ方向の温度分布に比例した応力分布が得られた.爆裂発生指標では,引張破壊のひずみ限界値を用いたひずみ破壊指数と爆裂破壊指数を提案した.本論文では,ひずみ破壊指数に着目した.試験で得られた爆裂進行深さの経時変化とひずみ破壊指数で評価した爆裂進行深さを比較した.その結果,爆裂開始時間と爆裂進行過程を評価可能であることがわかった.
  • 高橋 佑弥, 石田 哲也, 岸 利治
    2014 年 70 巻 1 号 p. 118-133
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,高品質セメント系材料の持つ特徴的な遮塩性能を再現することを目的とし,微小空隙に着目した塩化物イオン移動モデル・液状水移動モデルの高度化を図った.感度解析によって抽出された既往モデルの適用限界に基づき,塩化物イオン経路に関する限界となる空隙径を設定すると共に,液状水に対して壁面から作用する摩擦抵抗を考慮することで,緻密な空隙構造を持つセメント硬化体について長期で液状水移動が停滞し,塩分移動が抑制されることを再現可能とした.モルタルを用いた塩水浸せき試験によって,低水セメント比における高い遮塩性能を精緻に測定するとともに,修正モデルを用いることで緻密なセメント硬化体中の塩分浸透挙動を良好に追跡可能であることを示した.
和文報告
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