1989年から99年までの11年間に, 内視鏡を選択して胃癌個別検診を受けた越谷市地域住民の検診成績から以下の結論を得た。
全受診者の78.7%が内視鏡による検診を選択しており, 被検者は内視鏡を信頼性の高い検査法として受容していると考えられた。受診者の背景として, 若年層の受診者が多く, ハイリスクグループの受診者が少ないにも拘わらず, 胃癌発見率は0.34% (早期癌0.22%) と, 全国集計の2倍強であった。さらに, X線検査で示現が難点とされている前壁側病変および陥凹性病変の発見率が高く, 内視鏡検診は拾い上げ診断能および質的診断能に優れていると考えられた。また, 全発見癌例の24.6% (うち早期癌85.7%) は前年度の受診者であり, 逐年検診の必要性が示唆された。
以上の成績より, これからの胃癌検診システムの1つとして, 「内視鏡検査の選択が可能な個別検診法」は有力な選択肢の1つになり得ると考えられた。
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