日本消化器集団検診学会雑誌
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41 巻, 4 号
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  • 齋藤 洋子, 福富 久之, 中原 朗, 真田 勝弘
    2003 年 41 巻 4 号 p. 387-398
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1992-2001年度のデータを用いて間接X線法を用いた胃がん検診の適正な要精検率の検討を行った。要精検率の継時的変遷の分析から受診歴別割合, 高齢者割合の増加, ダブル異時読影割合の増加の影響よりも, 症例検討会実施に伴う画質の向上, 読影医へのフィードバックを伴う読影, 特に悪性度を加味した読影判定基準の変更が要精検率の低下に影響していた。確定癌の再読影および判定3の精検結果内訳から要精検率, 精検受診率, 癌発見率, 陽性反応適中度, 進行癌発見率を算出し年度別の成績を比較した。判定3の異常なし以外の割合からは要精検率9.56%と有意に低下し, 他の指標は差を認めなかった。判定3の正診のみからの要精検率6.73%では陽性反応適中度は有意に上昇し, 進行癌の発見率, 早期癌比率には差を認めなかった。以上のことから要精検率は進行癌の発見率から6.73%へ, また早期癌を含めた発見率から9.56%までに抑制でき, 10%を越える要精検率は適正ではないことが示された。
  • 三重 浩子, 草野 健, 塗木 冬実, 竹元 千代美, 林 芳郎, 渋江 正, 瀬戸山 史郎, 新牧 一良, 伊東 裕治, 有馬 貞三
    2003 年 41 巻 4 号 p. 399-407
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    間接X線胃集検の効率化のために, 要精検率の低減がどこまで可能か, また適正な要精検率はどのように設定できるかを, 偽陽性例の現状分析から検討した。偽陽性例の検討は精検結果に信頼の措ける高精度精検地区の精検結果を中心に行った。
    過去10年間の鹿児島県胃集検実績における偽陽性率には殆ど変化のないことから, 2000年度の成績を対象とし, 「異常なし」と「局所病変のない慢性胃炎」を偽陽性とした。
    その結果, 「がん」のみをチェックすると要精検率は0.12%となり, 「要処置病変」全てでは0.92%となるが, 偽陽性例を全て除外すれば5.49%で, 要精検率の理想値0.12%と5.49%の間にあるといえた。同時期の施設内視鏡検診の生検実施率は, 10.9%であり, 間接X線の要精検率5.49%は許容できる値と考えられた。今後さらに読影能と示現能の向上により要精検率低減は可能と予想された。
  • 鈴木 康元, 渡辺 豊
    2003 年 41 巻 4 号 p. 408-414
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1992年から1998年までに当センターで初めて大腸癌スクリーニングのためのTCS (以下, S-TCS (スクリーニングTCS) と略す) を受けたのは31, 070例で, この中から発見された浸潤癌1, 017例を対象として浸潤癌をターゲットとしたS-TCSの効率的な実施法について検討した。その結果,(1) 大腸癌の存在を疑わせるような主訴を有する男性については40歳以上, 女性については30歳以上の症例に対し最初のS-TCSを行うのが効率的,(2) S-TCSは1回行うだけでもかなり満足のいくスクリーニング効果が得られる,(3) 初回のS-TCSでm癌または腺腫が発見された場合, 男性は3年後に2回目のS-TCSを行うのが効率的で, 女性の場合は2回目のS-TCSの効率的な実施時期を特定することは不能,(4) 初回のSTCS でm癌または腺腫が発見されなかった場合は, 男女とも2回目のS-TCSは5年後でも充分,(5) 3回目のS-TCSは男女とも当分の間必要ない, と考えられた。
  • 瀬川 昂生, 岡村 正造, 大橋 信治, 小林 世美
    2003 年 41 巻 4 号 p. 415-419
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    愛知県健康づくり振興事業団の平成3年から12年までの10年間の間接撮影による胃がん検診の成績に基づいて, その適正な要精検率について検討を行った。その結果, 要精検率が高くなるとともに胃がんの発見率および早期胃がんの比率が高くなっていたが, 胃がん発見率が0.07~0.09%であった年の要精検率を比較すると, 8.6~12%の間にあり, 要精検率を多くしてもがんの発見率の伸び率は高くなく, 全国集計の要精検率である10%代は一つの目安であると考えられた。今後は撮影技術および読影技術を高めてさらに要精検率を低くして, 的中率を上げる努力が必要であると考える。
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