日本消化器集団検診学会雑誌
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41 巻, 6 号
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  • 回顧と未来予測
    中澤 三郎
    2003 年 41 巻 6 号 p. 533-536
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
  • 科学的視点からみたがん検診の再評価と将来展望
    久道 茂
    2003 年 41 巻 6 号 p. 537-545
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    科学的視点とは, 当該事象を論理的に, かつ合理的に分析・評価することで, がん検診の目的と目標にてらして, 理に適っているかどうかをみるものである。日本では特にそうであるが, 世界中の多くの国では, 近年の医療費の増大を大きな問題としている。最新の医療技術を採用すべきかどうかは, 限られた資源の合理的な有効利用と適切配分, 新技術によって得られると期待される保健と医療の質の向上のために, 医療技術の注意深いしかも科学的な評価は不可欠であると考えるようになった。わが国におけるがん検診の今後の展望を考えるとき, この科学的視点は欠かせない。公的費用を使うにしろ, 個人負担になるにせよ, 国民は, がん検診に関する情報開示と説明責任を求めることは必定である。そのときにこそ, 科学的根拠に基づいた論理, 証拠, コストパフォーマンスが求められる。本学会の責任は, それらに答えるような研究成果をどう積み上げるかに掛かっている。
  • 胃がん撲滅へ向けて-25年間のがん検診のあゆみ
    磨伊 正義
    2003 年 41 巻 6 号 p. 546-559
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    昭和50年初頭, 検診事業の体系化と精度管理向上をめざして石川県対がん協会 (現, 石川県成人病予防センター) は, 県内の専門家から成る胃読影委員会を発足させ, 撮影方法, バリウムの選択, 濃度, 読影基準, 予後追跡調査, など検診の核になる基本線を確認し, 県内の統一をはかった。その結果, 昭和61年から平成13年の13年間に延べ人数54万人の検診を行ない, 発見胃がん数は947人に達し, 発見率も0.246-0.170%, 平均0.170%で, 早期がん比率も前半の56.2%から66.8%, 平成12年度には 81.8%に達した。石川県では10年前より県費による「がん検診診断精度強化事業」が推進されており, 更なる診断精度向上を図ってきた。その中で逐年検診により発見された進行胃がんの中には集検間隔の1年をすりぬける症例があり, それが発育速度が速く, 予後も悪い。いわゆる生物学的悪性度の高い胃がんが全体の5%程度存在し, 検診の大きな隘路となっていることを指摘してきた。一方, 都市部の車検診は受診率の低迷に悩んでいるのも事実であり, 金沢市でも以前は1%台と低迷していた。この受診率アップのため平成4年から金沢市医師会は, 金沢市の委託事業として各医療機関での直接撮影による個別検診をスタートさせた。この個別検診は地域住民への利便性をもつ反面, 実施施設間の撮影精度の格差は否めない。読影には一次医療機関の医師, 専門医 (学会認定医) による二次読影, 本学会指導医による最終レフリー (三次読影) を行ってきた。平成5年より平成13年までの9年間の総受診者は73,835人 (受診率14.4%), 要精検率5.6%, 精検受診率88.5%で発見がんは171例 (がん発見率0.23%), 早期がん比率は53.8%であった。今後の課題としては検診医療機関の教育, 早期胃がん比率の上昇, ペプシノゲンの導入, 一次検診へ内視鏡の導入など, 現在試験的に施行中である。
  • 同所指摘癌と比較して
    原田 明子, 西田 博, 辰巳 嘉英, 谷 知子, 松本 貴弘
    2003 年 41 巻 6 号 p. 560-566
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    間接X線を用いた胃がん集団検診において正診を妨げる要因を求めるために, 胃がん集団検診を契機に発見された胃癌症例 (同所指摘96例, 異所指摘28例) で, 部位, 長径, 深達度, 肉眼型, 組織型の比較を行った。同所指摘を困難にする要因として, U領域小弯, 小さな長径 (10mm以下), 浅い深達度 (m癌), 平坦型 (II型) 早期癌が考えられた。また, 異所指摘例では無示現病変が76.9%も占め, U 領域は進行癌を含む多くの病変が無示現になっていた。以上より, 同所指摘率を向上させるためには読影よりも撮影の改善が必要で, 軽微な粘膜異常まで描出されるような付着性の高いバリウムやローリング方法を導入し, 死角のない良好なU領域の画像が得られるような撮影体位やその組合せを工夫しなければならない。
  • 加藤 忠, 岡田 正典, 小林 世美
    2003 年 41 巻 6 号 p. 567-573
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    過去7年間に経験した大腸癌206例 (無症状145例, 有症状61例) を対象に, 便潜血検査の有用性を検討した。内視鏡生検診断後に内視鏡治療を施行した750例 (1406病変) を対象に, 内視鏡診断能を検討し, 早期癌57病変における生検診断率を検討した。無症状群の96%は便潜血発見群で, このうち 85%は早期癌, 64%が内視鏡切除例であったが, 有症状群では各々28%, 20%であった。内視鏡検査の見落とし率は長径5mm以上で4.3%, 1cm以上で2.1%で, 早期癌も2例あり, 見落とし例は1cm未満の平坦病変, S状, 上行結腸病変に多く, 部位別見落とし率は盲腸で高かった。早期癌の術前生検診断率は60%で, 偽陰性例のうち3例はsm癌であった。便潜血検査は無症状の大腸癌の早期発見に有用で, 内視鏡検査での見落としの可能性には留意が必要である。
  • 西田 博, 谷 知子, 原田 明子, 松本 貴弘, 辰巳 嘉英
    2003 年 41 巻 6 号 p. 574-581
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    過去に精検 (全大腸内視鏡検査) を受診し「病変なし」と診断された者がその後の検診で便潜血陽性となった場合, 新たに早期がん等の病変を指摘されるリスクが, 全く精検受診歴のない者と比較して低下するか, logistic回帰分析を用い検討した。早期がんについては診断前1, 2, 3年以内の受診歴でオッズ比は0.17 (0.04-0.70), 0.13 (0.04-0.42), 0.10 (0.03-0.31) であった (括弧内は95%C. I.)。1, 2年以内のオッズ比が3年以内のそれよりも大きい値をとる原因として以前の精検での見逃しの可能性が考えられた。検診のターゲットを早期がん及びそれ以上の進展病変とするならば, 過去に「病変なし」の全大腸内視鏡による精検受診歴があるならば検診間隔延長の可能性が示唆された。ただし, そのためにはこれまで以上に精検に対する精度管理が求められると考えられる。
  • 須田 健夫, 小西 文雄, 中野 真, 蓮見 直彦, 翁 伯東, 田畑 育男, 松沢 良和, 増田 治仁, 臼倉 潔
    2003 年 41 巻 6 号 p. 582-587
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    平成5~12年度に旧大宮市で実施した大腸癌個別検診で発見された165例の進行癌を分析し, 検診の対象年齢, 受診間隔と一次検診の留意点について検討した。受診者実数は67,684名, 男女比は約1:2 であった。発見進行癌は男88例, 女77例で, 男女差は早期癌に比して明確ではなかった。【対象年齢】一次検診陽性反応適中度より男55歳以上と女50歳以上は有効性が高く, 女49歳以下は進行癌を対象にした効率性に疑問がもたれた。【検診間隔】複数回検診者の進行癌は82.2%が2年以内に発見されており, 発見率の高い男55歳以上, 女50歳以上は逐年で, それ以下は隔年検診でも見逃しは多くないと思われた。【留意点】検診回数にかかわらず初回陽性時の精検で146例, 885%が発見され, その重要性が示唆された。同時に便ヘモグロビン測定値1000ng/ml以上の症例が119例, 72.1%であり, 該当する受診者には充分な注意が必要である。
  • 魚谷 知佳, 村 俊成
    2003 年 41 巻 6 号 p. 588-597
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    大腸癌検診における免疫学的便潜血反応検査の有効性はほぼ確立し, 地域および職域検診に定着してきている。しかし精検受診率の低いことは問題であり, 特に職域検診ではその傾向が顕著である。われわれは職域検診の精検受診率の向上を目指し, 受診勧奨すべき大腸癌危険群を免疫学的便潜血定量値より検討した。平成11年度から13年度までの当施設の大腸癌検診受診者73,955人を対象に検討したところ, 進行癌症例の52%, 早期癌 (sm癌) 症例の54%が免疫学的便潜血定量 (2日法) の合計値が 1500ng/ml以上を示し, 早期癌 (m癌) 症例やその他の良性疾患と有意差を認めた (p<.05)。また便潜血定量合計値が1500ng/ml以上では, 大腸癌の陽性反応的中率は11.7%であった。大腸癌発見率は男性では女性の1.5倍高く, 45才から増加傾向を示したが, 職域検診での精検受診率は60歳を越すまでほとんど増加していなかった。以上より, 要精検者のうち45才以上, 免疫学的便潜血定量 (2日法) の合計値が1500ng/ml以上の症例を大腸癌危険群と考え, この危険群に対し平成15年度より職域検診において新たに積極的な受診勧奨を試みている。
  • 舩坂 好平, 岡村 正造, 大橋 信治, 瀬川 昂生
    2003 年 41 巻 6 号 p. 598-604
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1991年から2000年までの10年間に当院で内視鏡的粘膜切除術 (EMR) または外科手術により治療された早期胃癌684例を, 年齢別に区分し比較することで, 高齢者胃癌の特徴を検討した。
    高齢者では分化型腺癌が多く, IIC病変の割合が減少していた。また大きさ, 深達度, 脈管侵襲ともに壮年者より進行した状態で発見されていた。発見契機としては検診よりも医療機関での一般診療の際に施行された胃X線検査, 内視鏡検査によるものが有意に多くみられた。今回の検討で, 高齢者の早期胃癌は検診での発見例が少なく, 医療機関の一般診療による検査での発見が多いことより, 現行の検診体制では限界があるのではないかと思われた。さらにEMR症例に限れば高齢者胃癌の初回拾い上げ検査はほとんどが内視鏡検査であった。
    検診対象の高齢化に対応すべく, いかに各個人に応じた検査方法の振り分けを行うか, 検診受診者数が多数であることの問題を解決するため, 患者をどのように絞込み, 内視鏡検診へ移行していくか, そして新たな検診対象者を開拓していくか, 等の課題が明らかとなった。これらを克服するため, 個別検診が重要となってくるのではないかと考えた。
  • 2003 年 41 巻 6 号 p. 606-622
    発行日: 2003/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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