日本消化器集団検診学会雑誌
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40 巻, 6 号
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  • 須古 博信
    2002 年 40 巻 6 号 p. 505-513
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    昭和39年, 熊本県下最初の胃集団検診の実施から現在の総合健診に至る, 当院消化器集団検診の38 年間のあゆみとその成績を報告した。
    全期間の平均がん発見率は, 胃0.15%, 大腸0.13%, 腹部超音波検診0.07%であり, 胃・大腸では, 早期癌比率が高かった。近年, 消化器集団検診受診者の減少が著名となる一方, 人間ドック受診者数は伸びており, この現象は, 老人健康保険法の非適用とは無関係であり, 検診方法や検診施設が受診者に選別されていることが推測された。
    当院集団検診及び病院の消化管がん治療の分析より, 今後は, 精度管理はもとより, 検診成績, 治療結果の公開や「検診の質」の科学的管理が求められ, 疾病管理の観点から, 今後の集団検診を展開すべきと考察した。集団検診も受診者への「情報開示」を進め, 受診者に安心と納得のできる検診を考えていくべきであろう。
  • 久道 茂
    2002 年 40 巻 6 号 p. 514-520
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    新世紀のがん検診は, 科学的な根拠に基づく評価方法を用いながら発展させるべきである。(1) 新しい検診方法 (技術) の開発,(2) 適切な対象者, 受診間隔の設定,(3) 集団か個別か, 選択できる種々の検診項目の提供,(4) 一次予防との効果的組み合わせ,(5) 費用効果分析と費用負担の明確化,(6) 評価の研究の重要性,(7) 倫理上の問題点など, が今後考えて行くべき課題である。この中で重要な項目は, 評価の研究と倫理上の問題点である。がんの原因を探るにしても, 検診の有効性を評価するにしても, 科学的研究手法に基づく, つまりEBM (Evidence-based Medicine) の活用が重要となる。そのためには, 疫学の基本, 疫学的手法を知ることが大切である。疫学の科学性と倫理性について考察した。論じた言葉に, EBM, RCT, 三た論法, バイアス, インフォームド・コンセント, 不安病, 疫学を益学に, などがある。
  • 後藤 裕夫, 加藤 淳一郎, 星 博昭
    2002 年 40 巻 6 号 p. 521-526
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    近年, 一般外来での上部消化管X線検査の激減により, 若年の医師がX線検査の撮影, 読影に携わり, 読影力を向上させる機会が著しく制限されている。このため, 胃がん検診のX線読影医の育成が懸念される状況である。そこで, 岐阜県において集団, 施設, ドックなどで胃がん検診に携わる38施設にアンケート調査を行い, 胃がん検診X線読影医の現況を調査した。
    その結果, 33施設・99名の読影医から回答が得られた。年齢は26~69歳, 平均42D歳で著しい偏りはみられなかった。専門科目は消化器内科が69名で最も多く, 加入学会は消化器内視鏡学会85名, 消化器病学会81名, 内科学会79名に対し消化器集団検診学会は22名と少なかった。45歳以上の階級に比して45歳未満ではX線検査の施行数が少なかった。35~44歳の中堅層で読影をやりたくないとする率が最も高く, 若年層に与える影響が懸念された。
  • 茂木 文孝, 今井 貴子, 河村 修, 岡村 信一, 草野 元康, 関口 利和
    2002 年 40 巻 6 号 p. 527-532
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    胃がん検診では発見治癒させることが困難な進行の早い胃癌の実態を調査した。
    平成4年度から11年度までの逐年検診受診者から発見されたseあるいはsi癌の前年度の間接レントゲン写真を見直し, 異常を指摘できない症例を進行の早い胃癌とした。
    進行の早い胃癌 (16例, M: 7, F: 9) は逐年検 (診発見胃癌 (523例) の3.1%であった。50才台前半と70才前半に多く, 4型胃癌が50%を占めていた。未分化型癌12例はM, U領域小弯やU領域大弯などに多く, また分化型癌4例はUに多く認められ1例は噴門部癌だった。胃切除術ができたのは75%で, 女性は男性に比べて根治度Cの比率が高かった (F: 45%, M: 14%)。
    進行の早い癌は現状の胃がん検診では発見治療が困難だが, seあるいはsi癌には前年度の間接写真に描出されていた症例が過半数に認められたことから, 一層の注意を払って間接写真の読影に取り組む必要がある。
  • 由良 明彦, 高橋 一江, 安藤 幸彦
    2002 年 40 巻 6 号 p. 533-541
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    上部消化管内視鏡検査をgold standardとし, 間接X線撮影法 (XP法) と血清ペプシノゲン測定法 (PG法) の同時併用を一次スクリーニング検査とした職域胃集団検診 (胃集検) を実施した。その結果, 総受診者数ス322名のうち一次スクリーニング検査による各要精検率はXP法単独9.8%, PG法単独19.8%, 両検査方式4.3%であり, 精検受診率はいずれの場合も90%を超えるものであった。発見された胃がんは22例であり, そのうち両検査によるものは5例であり, 同様にXP法単独では4例, PG法単独では13 例であった。よって, 両検査方式の同時併用による職域胃集検は意義があると判断された。また, 受診者1,670名を対象に血清抗Helicobacter pylori抗体測定法 (HP法) を前述の一次スクリーニング検査に加えて検討したところ, HP陰性かつPG陽性を示すものが最も胃がんの高危険群と判定された。
  • 大月 和宣
    2002 年 40 巻 6 号 p. 542-546
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    非肥満者の脂肪肝例 (F群98例) と生活習慣病の関連について非脂肪肝例 (N群213例) と比較検討した。男性ではF群はほぼ正常値内ながらも総コレステロール, LDL-コレステロール, 中性脂肪, 空腹時血糖, 尿酸値が有意に高値であり, HDL-コレステロールは有意に低値を示し, 女性ではF群は HDL-コレステロールのみN群より有意に低値であった。男性において高脂血症, 耐糖能異常の割合もそれぞれF群70.0%, N群349% (p<0.0001), F群32.2%, N群17.8% (p=0.01) とF群は高率であった。脂肪肝発症を目的変数とし背景因子を説明変数としたロジスティック回帰分析ではBMIのみが有意で (p<0.0001), 相対危険度は1.76であった。以上より非肥満者における脂肪肝例は, 普通体重でもより適正な体重調節が必要と考えらた。
  • 吉岡 律子, 三原 修一, 一二三 倫郎, 川口 哲, 中橋 栄太, 佐渡 美智代, 小山 和作, 長野 勝弘
    2002 年 40 巻 6 号 p. 547-553
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    当センターの一次腹部超音波検査にて発見された胆嚢癌118例について検討した。超音波上の併存所見 (胆石・胆泥・胆嚢腫大・総胆管拡張) を合併している例は非合併例より胆嚢癌が存在している確率が高い。特に胆泥と胆嚢腫大は癌の合併率が高く癌が頚部に存在することが多いため, 超音波検査の際に十分に注意して胆嚢頚部を観察するとともに他の画像診断を併用した精査を施行すべきである。また, これらの併存所見は胆嚢癌が発見される以前から高率に認められており, これらの所見がみられた時はその時点で癌が発見されなくても厳重な経過観察が必要である。
    胆嚢癌を高率に合併する膵胆管合流異常の発見契機となる所見の一般成人での合併率は, 胆嚢壁肥厚例は男性に多く総胆管拡張例は60歳以上の高齢者に多いことから, 合流異常症例を効率よく発見するためには“女性の胆嚢壁肥厚例”と“60歳以下の総胆管拡張例”を重点的に精査すべきと思われる。
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    2002 年 40 巻 6 号 p. 554-564
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    Screening surveillance for colorectal cancer using immunological fecal occult blood tests has been actively conducted to achieve early detection and treatment. In our facilities, we have conducted screening tests for colorectal cancer on employees since 1988. In this study, we examined the cases of colorectal cancer and adenoma detected by the screening, and compared the one-day method with the two-day method, barium enema examination with colonoscopic study in diagnostic effectiveness, and assessed the usefulness of annual screening tests. 1) Immunological fecal occult blood tests; the detection rate of the one-day and two-day method were both 0.14%, yielding no difference. 2) The agreement rate of the results between barium enema and colonoscopic examination was low in the proximal colon. 3) The more annual screening tests each individual underwent, the less frequently colorectal cancer was detected. At the fourth time or later, no advanced cancer was detected. Furthermore, no colorectal cancer including early cancer was detected in the individuals who underwent six consecutive screening tests. Taken together, annual screening tests were useful, but further reviewing is warranted to employ barium enema examination as the first scrutinizing test.
  • 2002 年 40 巻 6 号 p. 565-578
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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