日本消化器集団検診学会雑誌
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39 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 超音波集検から得た胆嚢病態
    小野 良樹
    2001 年 39 巻 6 号 p. 481-487
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1980年より現在に至るまでドックを中心に実施している超音波検診よりいくつかの知見を得たので報告する。胆石溶解対象症例はUS上, comet tail, sonolucent stone, を呈するいわゆるコレステロール石であり, 溶解剤, 及びその量はCDCA (300mg/day), UDCA (300mg/day) が妥当と考えられる。溶解期間は6.3ヶ月以内を指標とする。コレステロールポリープは生化学所見に異常が無く正常体格者に好発する。11.5%に増大をみとめるが増大速度は極めて緩除であり増大速度より癌との鑑別は可能である。低カロリー食では胆嚢収縮が軽度であり, 胆嚢診断は十分に実施できた。すなわち270Kcal下の摂食では胆嚢診断の許容範囲と考えられる。
  • 野崎 良一, 高野 正博
    2001 年 39 巻 6 号 p. 488-493
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    欧米では大腸癌スクリーニングとして1年ごとの便潜血検査 (FOBT) と5年ごとのシグモイドスコピー (SCS) を勧告しているが, 検診間隔について十分な科学的根拠は示されていない。初回FOBTとSCS併用検診異常なし62,546人の2回目の検診結果をもとに, 併用検診の効果の持続期間を検診間隔別の大腸癌発見率を指標として検討した。浸潤癌 (粘膜下層浸潤癌と進行癌の合計) は2回目の検診で31例発見された。検診間隔が3年までは間隔が1年と有意な差はなかったが, 4年で有意に高かった。浸潤癌に粘膜内癌を合計した全癌は67例発見された。検診間隔が2年までは間隔が1年と有意な差はなかったが, 3年で高い傾向があり, 4年以上で有意に高くなっていた。以上からFOBTとSCS併用検診の効果は発見目標を浸潤癌とすると3年間, 全癌とすると2年間持続すると考えられた。発見目標を浸潤癌とする場合, 1年ごとのFOBTを続けていくと5年ごとのSCSは不要と考えられた。
  • 水越 仁志, 三浦 正男, 佐藤 正樹, 本井 正勝, 木田 さとみ, 星 健也, 村岡 英夫
    2001 年 39 巻 6 号 p. 494-498
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    老健法にもとずき, H4年度より始まった当協会における大腸集検は, 年々受診者が増加し現在では福島県内71市町村をカバーしている。成績を見ると, 最近では発見癌100例前後, 早期癌率60%であり, より早期の癌の増加にともない内視鏡的治療が著明に増加し, 約半数を占めている。このため救命し得る癌の発見やQOLという点では非常に効果があると見られている。しかしより正確に精度を把握するためにはこれらのデータのみでは不十分であり, さらに精度の指標として偽陰性率の推計を試みた。検診群の全癌数をとらえることは非常に困難なことであるが, 今回の報告では逐年検診率を用いる推計数を利用した。その結果, 集検偽陰性率は29.1%, 部位別偽陰性率では右半結腸に進行癌が多いという結果であった。また前年度要精検者の逐年検診発見例で最も多かったものは未受診で, 受診勧奨の重要さをあらためて感じさせられた。
  • 小野寺 博義, 鵜飼 克明, 鈴木 雅貴
    2001 年 39 巻 6 号 p. 499-503
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    肝細胞がんハイリスク群での管理検診について検討した。管理検診発見群の肝がん症例での最大径2.0cm以下の単結節症例の割合は50.0%, 2.1-3.0cmの単結節症例は15.4%であった。一般外来発見群ではそれぞれ10.5%, 14.0%にすぎず, 3.0cm以下の単結節症例の割合は管理検診発見群と一般外来発見群との間に有意差が認められた。管理検診発見群の10年生存率は15.0%であるのに対して, 一般外来発見群では3.6%で有意差が認められた。最大径3.0cm以下の単結節症例のみで比較しても管理検診発見群の10年生存率は25.4%, 一般外来発見群13.3%であり有意差が認められた。ハイリスク群の管理検診により早期発見が可能で予後の改善もみられることから, 肝がんのスクリーニングシステムを継続していく必要がある。問題点としては厳重な管理検診下にないハイリスク群が存在する点であり, 啓蒙活動が必要である。
  • 田中 宏
    2001 年 39 巻 6 号 p. 504-508
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1992年~1995年まで埼玉県立がんセンターで胃癌の外科的及び内視鏡的切除を行った356症例, 390病変を対象とし, 占居部位別発生頻度につき検討を行った。
    前壁, 後壁, 小弯, 大彎の4つに区分けをした場合, 最も高頻度であったのは後壁の29.5%で次に前壁の26.7%であり, 前壁と後壁の発生頻度は大差のない結果となった。さらに, 体下部から幽門部までを前後壁で比較をしてみると, 後壁が20.4%で前壁は21.5%と, ほぼ同数という結果となった。
  • 藤田 安幸, 石川 茂正, 市川 純二, 大沢 勉, 梶原 功介, 境 秀博, 中島 久元, 原 直, 原 浩, 宮本 繁方, 山岸 俊次
    2001 年 39 巻 6 号 p. 509-516
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1989年から99年までの11年間に, 内視鏡を選択して胃癌個別検診を受けた越谷市地域住民の検診成績から以下の結論を得た。
    全受診者の78.7%が内視鏡による検診を選択しており, 被検者は内視鏡を信頼性の高い検査法として受容していると考えられた。受診者の背景として, 若年層の受診者が多く, ハイリスクグループの受診者が少ないにも拘わらず, 胃癌発見率は0.34% (早期癌0.22%) と, 全国集計の2倍強であった。さらに, X線検査で示現が難点とされている前壁側病変および陥凹性病変の発見率が高く, 内視鏡検診は拾い上げ診断能および質的診断能に優れていると考えられた。また, 全発見癌例の24.6% (うち早期癌85.7%) は前年度の受診者であり, 逐年検診の必要性が示唆された。
    以上の成績より, これからの胃癌検診システムの1つとして, 「内視鏡検査の選択が可能な個別検診法」は有力な選択肢の1つになり得ると考えられた。
  • 2001 年 39 巻 6 号 p. 518-540
    発行日: 2001/11/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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