日本乳酸菌学会誌
Online ISSN : 2186-5833
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33 巻, 1 号
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総説
  • 生井 楓, 下里 剛士
    原稿種別: 総説
    2022 年 33 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 2022/03/14
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    我が国では、特定保健用食品制度を背景に機能性食品の概念が浸透し、なかでも乳酸菌やビフィズス菌を利用した多彩な機能性ヨーグルトが店頭に並び、人々の関心を集めている。一方で、乳酸菌により健全な腸内生態系を維持するためには、個体や特定の集団に適した菌株を使用する必要があることが指摘されている。本総説では、昨今の乳酸菌研究を取り巻く課題を受け、乳酸菌組換え体による有益タンパク質のデリバリーシステムの開発研究と、リボソーム工学を乳酸菌の育種技術として適用した成果について解説し、今後の展望について論じる。

  • 片倉 啓雄, 一瀬 涼, 神原 大樹
    原稿種別: 総説
    2022 年 33 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2022/03/14
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    乳酸菌は嫌気的に回分培養することが多いが、この環境では乳酸菌は著量の乳酸を副生するため、高密度に培養することは難しく収率も低い。乳酸菌が乳酸を生産するのは、ATP を得るために解糖系で消費する NAD+ をlactate dehydrogenase(LDH)で再生するためであるから、LDH 以外の NAD+ 再生系を利用するか、NAD+ 消費を伴わない系で ATP を得られれば乳酸生産を抑制できる。しかし、これらの代替経路は、解糖系での NAD+ の消費を十分に補えないことに加えて、その多くはグルコースで抑制される。従って、乳酸生産を抑制するには、代替経路の能力に見合う糖を徐々に流加し、代替経路を脱抑制することが重要である。代替経路のうち、酸素を電子受容体として NAD+ を再生する経路は炭素を浪費せず菌体収率の向上が期待できる。好気条件で流加培養を行い、更に、ヘムやメナキノンの添加によって呼吸鎖の形成をサポートすれば、高収率・高密度に乳酸菌を培養することができるだろう。

  • 寺本 華奈江
    原稿種別: 総説
    2022 年 33 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2022/03/14
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry, MALDI-MS)は臨床微生物検査を中心に様々な分野に普及し始めている。本稿では、MALDI-MS の特徴、MALDI-MS による微生物分析を行う際のコツを概説する。さらに、リボソームタンパク質をバイオマーカーとして用いた MALDI-MS プロテオタイピングの例として、Lactococcus lactis および 2021 年に L. lactis から別の種に移った L. cremoris の亜種レベルの分類を紹介する。

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