日本乳酸菌学会誌
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最新号
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総説
  • 坂本 光央
    原稿種別: 総説
    2023 年 34 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル フリー

    研究材料となる微生物を我々はさまざまな方法で分離・培養する。分離された微生物株は、さまざまな方法を使用して多相分類学的なアプローチによって特徴付けられる。その結果、新種と判断された場合は、種の記載をし、新たな学名を提案する。単純なプロセスではあるが、初めての場合は戸惑うことが多いと思う。本稿では、これらの過程を円滑に進めるために意識したいコツや注意したいポイントなどについて解説する。

  • 市川 夏子, 黄地 祥子
    原稿種別: 総説
    2023 年 34 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル フリー

    微生物を安全に取り扱うには、利用する微生物の危険度を予め把握しておく必要がある。近年、次世代シーケンス技術の急速な発展に伴いゲノム配列を用いて遺伝子レベルでの安全性の推定が求められてきている。また、全ゲノム配列の分類への応用が進み、分類体系の再編成や学名の変更が行われている。そのような状況の中で利用する微生物の安全性はゲノム配列の情報を用いて判断することが求められている。NITE では、微生物の安全で適切な利用を支援するため、ゲノム配列から毒素等の有害性機能に関わる遺伝子を検出し有害性を推定するツールである MiFuP Safety と、最新の学名を整理し微生物の危険度分類や取扱に関する情報を一元化したデータベースである微生物有害情報リストを提供している。本稿ではこれらのツール・データベースについて構築に至る背景や使い方について解説し、最近のリニューアルについても紹介する。

  • 片倉 啓雄
    原稿種別: 総説
    2023 年 34 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル フリー

    安全は最も大切な価値の一つであり、許容できないリスクがない状態と定義されている。社会に提供される製品やサービスには、安全性・利便性・経済性が求められるが、これらはトレードオフの関係にあり、そのより良いバランスを追求するのが科学者(技術者・研究者)の役割である。そのためには安全が確信できない時は危険であることを前提に行動する必要がある。また、人々の安全に対する価値の多様性と、自発的か否かによって許容できるリスクのレベルが異なることを考慮しなければならない。法やルールは後追いであるのに対して、科学者は新規性を重視し、ルールがない世界を開拓する。このため、得られた知や利便を社会実装する際に生じる様々な問題を予測して回避する責務を負う。さらに、それに必要なルールを提案する責務を負い、Kohlberg が言う脱慣習レベルの倫理意識が求められる。社会の安全・安心に貢献することはwell-being を得るために最も重要な要件を満たし、私たち科学者自身のwell-being につながる。

  • 牧野 磨音, 坂本 光央, 清水 謙多郎, 門田 幸二
    原稿種別: 総説
    2023 年 34 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2023/03/24
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル フリー

    RNA-seq 解析の目的の多くは、比較する状態または群間で発現の異なる遺伝子(DEG)の同定である。ほとんどのプログラムは R のパッケージとして提供されており、その入力は、カウントデータとよばれる各行が遺伝子、各列がサンプルからなる数値行列である。本稿では、なぜ負の二項分布とよばれる統計モデルが DEG 検出目的でよく用いられるのかについて、数式を交えて解説する。また、このカウントデータの性質を説明する手段としてよく用いられる平均-分散プロットについて、データの前処理から ggplot2 による描画まで述べる。

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