日本乳酸菌学会誌
Online ISSN : 2186-5833
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25 巻, 2 号
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総説
  • 藤原 大介
    2014 年 25 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2014/07/05
    公開日: 2015/07/03
    ジャーナル フリー
    ウイルス感染防御機能を制御する免疫系の司令塔的な役割を果たす細胞としてプラズマサイトイド樹状細胞が注目を集めている。本研究では、プラズマサイトイド樹状細胞活性化効果を有する乳酸菌株を探索した。マウス骨髄細胞由来プラズマサイトイド樹状細胞を用いたスクリーニングにより、Lactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805 がこの効果を有することを見出し、作用機序として本菌株がプラズマサイトイド樹状細胞に認識され、活性本体であるDNA がTLR9 依存性の活性化反応を引き起こすことが示唆された。また、本乳酸菌を用いたヒトにおけるpDC に対する作用についても紹介する。
  • 瀬川 修一
    2014 年 25 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2014/07/05
    公開日: 2015/07/03
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクスは腸管恒常性維持に寄与し、ヒトの健康に有益な効果をもたらす。我々は保存乳酸菌ライブラリーからTh1/Th2 バランスの改善を指標としてLactobacillus brevis SBC8803 株を選抜し、この乳酸菌株のⅠ型アレルギー抑制作用、アルコール性肝障害抑制作用、腸管保護作用を評価してきた。今回我々は、L. brevis SBC8803 株の培養液から腸管バリア機能を増強する物質を分離・精製し、その化合物を同定した。活性の評価は、細胞保護作用が報告されている誘導性熱ショックタンパク質HSP27 のCaco2/bbe 株における発現を指標として行った。培養液を硫安沈殿、DEAE 陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、HPLC により分離・精製した結果、生理活性物質としてポリリン酸が同定された。ポリリン酸キナーゼによりATP から合成されたポリリン酸は酸化ストレスによる腸管バリア機能の低下を抑制した。また、DSS 投与マウスへのポリリン酸の注腸投与はマウスの生存率を延長し、大腸における炎症性サイトカインの発現亢進を抑制した。本研究からポリリン酸が腸管保護作用を有することが明らかとなった。今後、ポリリン酸を大量に産生する菌株の選抜や改良などによって、より効果の高いプロバイオティクス食品を開発できると期待している。
  • 門田 幸二, 孫 建強, 湯 敏, 西岡 輔, 清水 謙多郎
    2014 年 25 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2014/07/05
    公開日: 2015/07/03
    ジャーナル フリー
    次世代シーケンサー(以下、NGS)は、モデル生物や非モデル生物を問わずゲノム解析やトランスクリプトーム解析(以下、RNA-seq)、そして菌叢(microbiome)解析など幅広く利用されている。データ解析手法も多数提案されており、目的にもよるが乳酸菌程度のゲノムサイズであればノートPC で自在に解析できる環境を構築可能である。しかし現実には、データ解析環境の構築自体が多くのユーザにとって乗り越えることのできない壁である。また、たとえその壁を乗り越えて解析できたとしても、利用しているプログラムをよく理解しないまま実行ボタンを押し、得られた結果の解釈で戸惑う研究者も多い。そこで本連載では、NGS データ解析を最小限の労力で自在に行えるようになりたい実験系研究者向けの全般的な情報提供を目的とし、筆者らが平成16 年度より実施している大学院教育プログラムの中から、NGS 解析周辺の講義内容を中心に基礎から応用まで幅広く述べる。第1 回は、全体のイントロダクションを行う。ウェブサイト(R で)塩基配列解析(URL:http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html)中に本連載で述べるリンク先を掲載してあるので効率的に活用してほしい。
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