本研究は,成人女性を対象に,月経周期の各期(卵胞期・黄体期・月経期)の違いにおける下肢のむくみの発生について明らかにすることを目的とした.8名の成人女性を対象に,座位姿勢負荷を行い,その前後に下腿体積,下腿周囲径,下肢・下腿インピーダンス値を測定し,下腿のむくみ感などの主観申告を評価した.座位姿勢負荷にかかわらず,下腿体積は卵胞期より月経期が有意に大きく(p<0.05),下腿周囲径(膝蓋骨中心10 cm下方部位)は卵胞期より黄体期が有意に大きかった(p<0.05).下肢インピーダンス値(20 kHz, 100 kHz)は,卵胞期より黄体期(20 kHz:p<0.05, 100 kHz:p<0.05)および月経期(20 kHz:p<0.01, 100 kHz:p<0.05)が有意に低値であった.下腿のだるさ感,重たさも卵胞期より黄体期,月経期で自覚が強い傾向を示した.以上のことより,黄体期および月経期は卵胞期より下肢に水分が貯留し,形態的に増大すること,また主観的にも下肢のむくみ感が高まることが示され,成人女性の下肢のむくみに月経周期の違いが関連するということが明らかとなった.
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