女性心身医学
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21 巻, 2 号
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巻頭言
特集 第22回日本女性心身医学会研修会報告
原著
  • 秋月 百合
    2016 年 21 巻 2 号 p. 178-185
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/27
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    【目的】不妊女性の精神的健康への関連因子については様々報告されているが,患者の個人属性や不妊および治療特性の抑うつへの影響については,一貫した知見の蓄積は得られていない.本研究は,不妊女性への心理的援助の一助とするため,不妊症女性患者の抑うつの実態と関連要因を検討することを目的とした.【方法】2010年11月から2011年1月にかけ,関東圏内の医療機関Aに通院する女性患者300名を対象に,郵送法による質問紙調査を実施した.説明変数として個人属性,不妊および治療特性,医療満足,開示態度,ストレス等をたずね,結果変数として,CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)の日本語版を使用し抑うつを測定した.【結果】206名から回答を得た(回収率68.7%).CES-D得点は13.19±9.56(平均±SD)であり,cut-off pointを超える割合は31.5%であった.重回帰分析の結果,年齢,性生活の負担感,身体の不調による負担感,開示態度がCES-Dと有意水準5%で有意な関連を示し,年齢が高くなるにつれ抑うつが低くなり,性生活および身体の不調に負担を感じるほど抑うつが高くなり,不妊および治療の事実を周囲に開示することに抵抗を感じる人ほど抑うつが高くなる傾向を示した.【考察】CES-D得点は,国内外を問わず一般成人女性より高い傾向が示唆された.抑うつの関連要因として,年齢,治療期間,不妊原因については先行研究と異なる結果が得られたことから,測定方法や検定方法を統一した上でさらに検討を続けていく必要がある.本結果から,精神的健康レベルだけでなく,患者の背景やストレス認知を把握した上で,個別的な精神的ケアにあたることの重要性が示唆された.

研究報告
症例報告
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