女性心身医学
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巻頭言
特集 第31回日本女性心身医学会研修会報告
原著
  • 野田 久美子, 三浦 淳, 櫻井 秀彦
    2021 年 26 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    【目的】日本人若年女性における自己の体型に対するボディイメージ,ボディイメージによる減量行動への影響,BMI,ボディイメージ,減量行動による月経不順への影響を明らかにすることを目的とした.【方法】15~39歳の女性に対し,現在の身長,体重,自己の体型に対するボディイメージ,過去3カ月における減量行動,月経不順の有無,簡易うつ病尺度(QIDS-J)による質問項目についてWebアンケートを行った.得られた回答からボディイメージ別のBMIの分布,BMI·ボディイメージと月経不順発現割合の関係,減量行動へのボディイメージの影響と月経不順への減量行動の影響について統計的に分析した.【結果】解析対象は3,274名だった.年齢,BMIの中央値はそれぞれ26歳,20.1 kg/m2であり,BMI 18.5 kg/m2未満の対象は21.5%だった.自己の体型を「ちょうどよい」と評価する群はBMI 17~21.9 kg/m2に多かった.月経不順の発現割合はBMI 18.5~21.9 kg/m2,自己の体型を「ちょうどよい」と評価する群で有意に低かった(P<0.01).また,ボディイメージは減量行動実施への関連因子だった.減量行動のうち主食制限が月経不順発現の独立変数だった(OR:1.580, 95% CI:1.186-2.106, P<0.01).【考察】日本人若年女性の「ちょうどよい」ボディイメージはWHOの普通体重と比べてやや低BMI側にあることが示された.また,体型をBMI18.5~21.9 kg/m2にコントロールし,「ちょうどよい」というボディイメージを持つ状態が月経不順の発現に対して低リスクであること,ダイエットのために行う主食制限は月経不順の発現リスクとなることが示唆された.

  • 野村 由実, 荒木 智子, 吉岡 マコ, 杉田 正明
    2021 年 26 巻 2 号 p. 153-164
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,新型コロナウイルス感染症流行下における産後女性の健康増進を目的としたオンラインプログラムについて精神的・身体的側面から効果検証を行った.【方法】産後セルフケアオンライン教室に参加する産後1年未満の女性のうち研究同意が得られた研究参加者142人の中で,4回のプログラムおよび4回のアンケート調査を完遂した71人を対象とした.プログラムはストレッチ・筋力トレーニング・参加者間の対話・セルフケアで構成された.オンラインビデオ会議システムを介して週1回75分,4回行い,母親と乳児は自宅から参加した.評価指標は身体症状,セルフケアの行動変容,主観的健康感(WHO Subjective Well-being Inventory)に関する23項目を設定し,プログラム実施前(ベースライン),実施直後,終了後1カ月,終了後3カ月の4時点でwebアンケート調査を行った.【結果】身体症状(慢性的な疲労を感じる,肩がこる,腰が痛い),主観的健康感(陽性感情,陰性感情,自信,至福感,精神的コントロール感,身体的不健康感),セルフケアの行動変容(セルフケア実施頻度,腰や関節の痛みへの自覚,疲労の予測,肩や体のこりに対する予防・調整,腰や関節への痛みに対する予防・調整,疲労に対する予防・調整)において経時的変化が認められた.陽性感情はベースライン(41.6±5.9)から1カ月後(43.5±6.2)まで有意に高まり(p=0.002),3カ月後(41.4±6.8)にはベースラインの水準に戻っていた(p=0.000).陰性感情はベースライン(49.7±5.8)から3カ月後(53.8±6.4)にかけて有意に低下した(p=0.000).【考察】運動と対話で構成されたオンラインプログラムは,身体症状の改善,主観的健康感の向上,セルフケアの継続,健康への意識や取組の変化など,母親の心身の健康増進に寄与した.

  • 三上 由美子, 井村 真澄
    2021 年 26 巻 2 号 p. 165-179
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    本研究は,初めての子を持つ日本人夫婦に対して,親への移行期における夫婦関係の良好さを支援するプログラムを開発し,その効果を検証することを目的とした.研究は比較群を持つ事前事後テストデザインとし,無作為化のない準実験研究であった.対象者は関東圏内2施設で健診を受けている第一子妊娠中(34週以降)の日本人夫婦とした.プログラムは先行研究を参考に120分の出産前クラスとし,夫婦内の相互作用・コミュニケーションを促しながら先を予測した役割モデルの提示(情報提供)や役割リハーサル,役割を明確化させる夫婦間の話し合いの場を提供するものとした.予備的な調査を経て洗練させた後,介入効果を維持増幅させるために出産後にもカードの送付による情報提供を追加し,プログラム完成版とした.このプログラムを介入として,介入前(妊娠期)と出産1か月後,3~4か月後の夫婦関係指標(夫婦関係の調和性尺度,親密な関係尺度日本語版の下位尺度love·maintenance·ambivalence·conflict,心理的サポート尺度)を調査し,対照群80名,介入群72名の合計152名を分析の対象とした.対照群女性において,出産後3~4か月の各夫婦関係指標にネガティブな変化がみられたが,介入群ではほとんど時期的な低下がみられず,夫婦関係の良好さが維持されていた.反復測定分散分析で「時期」と「介入」の交互作用が確認されたmaintenanceおよび心理的サポートについて,性別を統制した重回帰分析を行ったところ,介入は出産前の指標や性別に関わりなく,出産後3~4か月のmaintenance(β=0.152,p=0.022,adj R2=0.346)および出産後3~4か月の心理的サポートに肯定的な効果を有した(β=0.172,p=0.018,adj R2=0.234).一方,性別が女性であることは,出産前の指標や介入にかかわらず,夫婦関係の良好さ指標に否定的な効果を有した.

研究報告
  • 鷲尾 弘枝
    2021 年 26 巻 2 号 p. 180-188
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    2019年12月に,「母子保健法の一部を改正する法律」が公布され,妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援体制を整備することは,現在,日本社会の急務である.本研究では,我々の先行研究を基に,経産婦は,初産婦に比較して,オキシトシン分泌の早期増加によって,出産後は気分が安定し,不安や心配,困っていることが少ないのではないかと仮説を立て,妊産婦10名を対象として,不安の程度と唾液オキシトシン量の変化を妊娠初期から産後1年まで縦断的に調査し,仮説検証を行った.対象者に十分説明し,同意を得た上で,毎月1回以上,質問紙調査,唾液採取を行い,唾液オキシトシンはELISA法で測定した.データ解析は,EXCEL統計2012 for windows version 1.14を使用し,唾液量および唾液オキシトシン値は,平均±標準偏差で表した.グループ間の相違は Repeated Measures ANOVA,多重比較はTukey-Kramerを用いた.P<0.05,Effect size(η2)<0.05は有意であるとみなした.2群の相関はピアソンの相関係数の検定を用いた.初産婦・経産婦ともに,唾液オキシトシン量と不安には負の相関があり,初産婦においては,オキシトシンの分泌が遅く,不安がある割合が高かったが,オキシトシン量が多い出産直前には不安のある割合が低かった.一方,経産婦はオキシトシンが妊娠早期から増加し,出産直後から産後2週間頃に不安のある割合が低かった.経産婦におけるオキシトシンの早期分泌は,初産婦に比較して,うつ病や自殺を減らす一助になっている可能性が示唆された.また,初めての母乳哺育に不安を持ちやすい初産婦の特徴を踏まえ,不安やうつ症状を軽減するためにも,オキシトシンの分泌を促す母乳育児支援を早期から行っていくことが重要である.

  • 青木 真里, 安田 孝子
    2021 年 26 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    【目的】カーディフ妊孕性知識尺度日本語版(Cardiff Fertility Knowledge Scale-Japanese version:以下,CFKS-J)を用い,高校生のライフプランと妊孕性知識の現状を把握した.【方法】対象は普通科高校生486名とし,無記名自記式質問紙調査を2016年6~7月に実施した.調査内容は基本属性,希望するライフプラン,妊娠・出産に関する情報源,希望する教育者,CFKS-Jであった.【結果】30歳までに挙児希望のある者は355名(88.4%)であった.CFKS-Jの正解率の平均値は全体41.9(±20.7)%であった.CFKS-Jの正答率はインターネットを情報源とする者が高かった(p<0.01).一方,全体の73.7%が情報源を学校としており,全体の66.2%が助産師・医師からの教育を希望していた.【結論】学校で教諭とともに助産師・医師などの外部支援者が専門的な立場から協力し合い,集団指導や個別的な対応を充実させることで高校生に対し効果的な教育ができると考えられた.

  • 山蔦 圭輔
    2021 年 26 巻 2 号 p. 196-207
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    本研究では,一般女子学生の摂食障害予防を目的とした心理教育プログラムの開発と効果検証を行うことを目的としたものであった.本研究は試験的に実施された.ここでは,CBT-E(enhanced cognitive behavior Therapy)を踏まえた心理教育プログラムが開発された.心理教育プログラムは,知識教育セッション(1週間)と介入セッション(1週間)から構成された.解析の対象者は,介入群3名(平均20.33±0.58歳),統制群4名(平均21.25±1.89歳)であった.解析の結果,介入セッションの前後で,「腹囲」,「臀部」,「太もも・脚」の不満足感,全身のふくよかさ不満足感が低減した.また,介入セッションの前後で,むちゃ食いの頻度が低減した.今後,こうした予備的試行が蓄積されることで,精度が高く簡便な一般女子学生に対する予防プログラムが開発されることが望まれる.

  • 吉岡 郁郎, 窪田 文香, 藤森 美音
    2021 年 26 巻 2 号 p. 208-213
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー
総説
  • Mariko MAKINO
    2021 年 26 巻 2 号 p. 214-222
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    The aim of this study was to identify relapse of Eating Disorders (EDs) during pregnancy and after delivery as well as postpartum depression in women who had complete remission of EDs. Of the 1,008 patients with EDs who visited outpatient clinic between 1994 and 2004, 55 experienced ED remission and pregnancy. Of these, 25 (21 with BN and 4 with AN) consented to participate in this study. They were interviewed every 2 weeks both during pregnancy and after giving birth. The eating Attitudes Test-26 (EAT-26) and Edinburgh Postnatal Depression Scale (EPDS) were used as reference scales for diagnosing the EDs and postpartum depression, respectively. A two-sided unpaired test was used for the statistical analysis. Sixteen participants (67%) experienced ED relapse during pregnancy and 12 (50%) relapsed after birth. Twelve had postpartum depression. Among the participants who did not have postpartum depression, there were no low-body-weight infants. This study revealed that recurrence of EDs and the occurrence of postpartum depression were higher in this population, indicating the need to closely monitor EDs during pregnancy and after birth.

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