日本におけるMonosporascus cannonballus POLLACK and UECKERによるメロン黒点根腐病の多発要因を明らかにするため,九州〜関東地域から収集した分離菌株の形態的特徴,病原性,種子伝染の可能性,乾燥土壌中における生存期間について検討した。その結果供試菌株はいずれもM. cannonballusとほぼ同様の形態的特徴を示した。また,供試菌株はメロンに強い病原性を示した。枯死した発病株5株の根,茎,果実および種子から本菌の分離を行ったところ,根および地上10cm以内の茎から分離されたが,それ以上の茎,果実および種子から本菌は分離されなかった。1〜5年間室内に保存した土壌に植え付けたメロン株は,いずれも萎ちょうし,根の褐変がみられ,本菌が分離された。本菌はウリ科作物に広く病原性を示すが,従来の栽培形態では顕在化することがほとんどない状態で全国に分布していたが,近年,感受性の高いメロン類の普及と連作により,関東〜九州の西南暖地で特に問題になり始めたと考えられる。
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