[目 的]鎖肛やヒルシュスプルング病など先天疾患による排泄機能障害児は、大腸がんの治療などのためストーマを造設した成人と比較すると、長期間にわたってその障害に対処しなければならない。障害の重症度が高い場合には、障害を抱えたまま乳幼児期、児童期、思春期へと発達を遂げていく。本研究では、ストーマをもつ小児が、人生においてこのような移行を経験するとき、その受容は各発達段階においてどのようなものであるかについて検討をおこなった。
[方 法]ストーマを造設した成人1名に対してインタビューを実施し、回想的分析を行い、各発達段階でのストーマ受容について調査した。対象はヒルシュスプルング病のため乳児期よりストーマを造設した20代の男性である。
[結 果]本研究で、乳児期よりストーマを造設した小児の、ストーマ受容の心理的特徴は、発達段階によって依存期、自立期、同調期の3期に分けられることが示唆された。依存期ではストーマは世話をする母親のものであるという意識であったが、自分自身でストーマの管理をするようになる自立期以降、ストーマ患者はストーマに関わる問題に自分で対処するようになった。この過程は、両親らによるサポートや友人とのかかわりによって出来たものであった。
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