日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
10 巻, 2 号
10巻2号(通巻22号)
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
表紙・目次
原著
  • 大川 裕美子, 藤原 けい子, 千葉 安子, 山尾 竹子, 石山 功子, 村上 貴久, 日下 貴文, 奥山 茂樹
    1994 年 10 巻 2 号 p. 1-9
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     57才男性の低位脊髄損傷患者に,排便管理の容易化と褥創感染の防止を目的にストーマ造設を行い,排便,食事,日常生活,及び褥創の4点に関して,術前と術後1年目の状態を比較検討した。その結果,排便時間の大幅な短縮と,2日毎の定期的な排便習慣を得ることができた。食事については,摂取量は増加し,間食も可能になった。日常生活では,便失禁への不安が無くなり対人恐怖も解消されるなど,身体的,精神的にゆとりが生まれ,Quality of Life(QOL)の明らかな改善がみられた。褥創に関しては,便との接触が断たれたことにより,術中,術後の創管理が容易となり,術直後からの経口摂取も可能となったが,ストーマ造設がただちに褥創の治癒へとはつながらなかった。ストーマ造設へ至る過程でのインフォームドコンセントが,ストーマ管理へ取り組む患者の姿勢を左右する,極めて重要な要因であることが解った。
  • 川倉 恵美, 小林 伴子, 天田 雅子, 深町 早苗, 中村 純一, 竹之下 誠一
    1994 年 10 巻 2 号 p. 10-16
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     ストーマを造設するという事はボディーイメージの変化も著しく精神的動揺や不安も多岐に渡る。その為,入院中のストーマ造設患者に対しての精神面に於けるケアは,退院後のqulity of lifeの向上を考えるうえでも非常に重要である。しかしながら実際の看護現場での患者の不安に対してのケアは困難であり難しい。そこで今回我々は,ストーマ造設患者6症例に対し,STAI不安調査を実施した。その結果曖昧である不安を数値としてとらえることができ看護介入に効果的に利用し,個々に合ったケア導入時期を見いだすことができた。
  • 西出 薫, 竹内 孝子, 高末 真知子, 野口 徹
    1994 年 10 巻 2 号 p. 17-24
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     排液量700~800㎖/日の空腸瘻患者に対するガーゼ処置法およびパウチを貼布して管理する方法(以下パウチドレナージ法)のコスト面における比較検討を行った。
     1日当たりの物品費および人件費の総経費はガーゼ処置のみの時期の2,746円に対し,パウチドレナージ法では皮膚障害の改善前が1,686円~1,280円,改善後は486円であった。パウチドレナージ法の中でも適切なパウチングを施行し,皮膚障害がない状態で管理した方がコストの削減率もより高かった。
     以上の事から,パウチドレナージ法による瘻孔管理は,ガーゼ処置に比較して皮膚管理面のみならず経済性の面においても優位性が高い事が示唆された。
  • 大滝 修司, 宮島 信宣, 宇野 剛ー, 酒井 滋, 石川 泰朗, 加納 宣康, 山川 達郎
    1994 年 10 巻 2 号 p. 25-31
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     近年腹腔鏡下手術手技の普及はめざましく,胆囊摘出術をはじめ,虫垂切除術やヘルニア根治術,胃あるいは大腸手術にも応用され,良好な結果が報告されつつある。
     今回我々は3症例に対して腹腔鏡下に人工肛門造設術を試みた。その結果①小さい創で腹腔内全体を検索できる。②利用したい大腸が癒着などで引き上げられない場合、それを剝離し人工肛門を造設できる。③術前皮膚上にマーキングした人工肛門造設部位に大腸の的確な部を誘導できる。④人工肛門周囲に余分な手術創がないので,それによる漏れも少なく,その結果皮膚炎も最小限に抑えることができる。などの点で非常に有用であると思われた。
  • 江里口 和代, 天野 基子, 織田 宏美, 松山 ひろ子, 久富 瑞穂, 荒木 靖三, 磯本 浩晴, 掛川 暉夫, 岩崎 昌子
    1994 年 10 巻 2 号 p. 33-38
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     1988年~1993年までの6年間に大腸全摘術を施行した12症例を対象に,大腸全摘術後の治療食を考案し,提供した大腸食摂取患者6例と,大腸食未摂取患者6例について術後早期における排便量,排便性状を比較検討した。その結果,大腸食摂取患者は未摂取患者に対して術後の排便量は少なく,さらに便性状は早期に泥状から軟便へ移行した。以上より,大腸食は一時的イレオストーマ閉鎖術までの時間を短縮することができ,大腸全摘術後の治療食として有用性が高いと考えられた。
  • 藤原 恵子, 村上 トム子, 吉川 宣輝
    1994 年 10 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     ストーマ静脈瘤よりの大出血を繰り返す症例を経験した。本症例は既往に肝硬変,肝癌を持っており,キュアな面では最終的には硬化療法が有効であった。ストーマケアにおいては,粘膜,皮膚保護を目的とした装具の選択とケアの方法,出血時の対応,生活指導を行うことで異常な出血は見られなくなり,同時に悲観的な言動もなくなり患者の不安軽減につながった。
     以上より出血性ストーマ静脈瘤のケアポイントを,1. 静脈内圧の上昇を軽減する,2. ストーマ粘膜,周囲皮膚の保護,3. 出血時の対応と対処方法の早期患者指導,4. 基礎疾患に対する精神看護,と要約する。
  • 大城 美智子, 宇野 由紀子, 矢永 洋子, 村田 きよみ, 平川 道子, 荒木 靖三, 磯本 浩晴, 掛川 輝夫
    1994 年 10 巻 2 号 p. 45-50
    発行日: 1994年
    公開日: 2024/02/29
    ジャーナル フリー
     当病棟では,これまでに,看護婦教育の一環として,独自にストーマケアの講義及び実技指導を行ってきた。今回,新人看護婦を対象に,コロストーマの社会復帰用装具交換に関する教育評価を行った。その結果,勤務体制などの影響から看護婦全員が均等にケアに携わる事ができないため,看護婦各自の経験回数に差が生じ,またそのことにより観察力や判断力を強く要求される技術面での修得が不充分になりがちなことが明らかとなった。
     そこで,技術修得面を補足する目的で,写真入りのストーマケアの要点を簡潔にまとめ新人看護婦指導用アトラスを作成したので報告する。
研究会報告
地方会抄録(地域研究会記録)
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