日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
11 巻, 1 号
11巻1号(通巻24号)
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
表紙・目次
連載講座
  • 進藤 勝久
    1995 年 11 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     研究したことを論文にまとめる前に,何故に論文を書くのか,誰がそれを読んでくれるのか,何をどの様に書くのか,どの雑誌に投稿するのか,そしてその雑誌はどんな顔つきをしているのかを十分に検討することが重要である。さらに執箪する前には投稿規定を熟読し,序章,研究目的,対象と方法,結果,考察,結論,終章,文献など一定の論文書式に則って科学的,具体的に記述する。ただし,論文形態には原著,短報,総説,症例などいろいろあるので,各々の特徴にあった書き方が求められる。いずれにせよ,他人に理解してもらえるような自己表現でありたい。
原著
  • 村田 節子, 藤川 由美子
    1995 年 11 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     創傷ケアの考え方は従来のガーゼドレッシング法から皮膚の細胞周期を考え再生の環境を整える方向へと変化している。その中で,ストーマ用品の皮膚保護剤も創傷ケアヘと広く応用されている。今回,放射線障害の第Ⅲ度皮膚炎に対し,ストーマ用品を用い,良好な結果が得られた。
  • 柴崎 真澄, 七海 慶子, 蘆野 吉和, 武藤 淳, 大井川 健, 菅野 明弘, 井上 晴之, 工藤 志津子
    1995 年 11 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     腹会陰式直腸切断術時のストーマ造設の際の皮膚切開の大きさと出来上がったストーマの大きさ・高さおよび形状との関連を,皮膚切開を直径24~26mmで行なった群(A群)19例と直径20mmで行なった群(B群)47例とで比較検討した。
     ストーマサイズはA群では大半が直径30~35mmに分布し,B群では大半が直径25~30mmに分布していた。ストーマの形状が円形のものはA群では31.6%,B群では56.6%であった。ストーマの高さはA群では8mm以下のものは,36.3%であるのに対しB群では,8.4%にすぎなかった。なお,ストーマの高さが低い例は両群とも肥満の人が多い傾向が認められたが,B群ではその影響が比較的少なかった。
     ストーマ造設時の皮膚切開の大きさはストーマの大きさ・高さおよび形状と密接な関連があり,比較的小さい切開を行なうことにより円形であまり大きくない,しかも高さのあるセルフケアしやすいストーマが出来ることが証明された。しかし,肥満者では,ストーマが上下につぶれ易く高さも低い傾向があり術後のウエイトコントロールの指導も大切であると痛感した。
  • 藤本 由美子
    1995 年 11 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     抗腫瘍剤の及ぼす影響は消化器のみならず,骨髄抑制,免疫能の低下,皮膚病変,神経障害などストーマ管理上問題となることが多い1)
     今回,造血器系悪性疾患に対する抗腫瘍剤投与により,ストーマ粘膜およびストーマ周辺に強度の浮腫,潰瘍形成などの変化をきたしたコロストミーのケアを経験し,次のような化学療法中のストーマケアの指標を得た。
     造血器系悪性疾患に対する化学療法中のストーマケアは,抗腫瘍剤による全身への影響を念頭に,装具による機械的剌激の軽減,ストーマあるいは皮膚の2次感染の予防,さらに潰瘍を形成した場合は,その部分の圧迫の軽減を重視した装具の選択とケアも工夫,および患者の教育が重要である。
  • 判澤 恵
    1995 年 11 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     1987年2月から1993年8月までの間にストーマ装具販売店で行っているストーマケア相談室における相談内容を分析した。来訪者は155名でコロストーマ106例(66.3%),イレオストーマ5例(3.1%),尿路系ストーマ43例(26.9%),その他6例であった。
     来訪理由は①排泄物の洩れ44名(21.9%),②装具の選択42名(20.9%),③スキンケア27名(13.4%)などが多かった。
     来訪者の56.8%が術後1年未満で相談内容は局所管理に関して,術後3年以上経過例では腸脱出,傍ストーマヘルニアなど晩期合併症が主であった。以上の結果から①退院指導の徹底,②退院後のフォローアップの充実を図るなどの重要性を認識した。
  • 鈴木 謙一, 木崎 徳, 渡部 隆二, 折笠 精一, 金藤 博行, 襟川 政代, 中嶋 康彦, 石川 廣晴
    1995 年 11 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     ウロストーマ患者7例と尿道留置カテーテル患者2例に,クランベリージュース(50%,320g/日)を連日10日間飲用させ,尿pH および尿路感染に対する効果を検討した。尿路へのカテーテル留置の有無にかかわらず,膿尿および細菌尿に改善効果はみられなかった。尿pH は,カテーテル留置群(高度尿路感染例)5例では2例のみ低下したが,他は不変かむしろ上昇した。カテーテル非留置群(軽度尿路感染例)では4例中3例で尿pH の低下がみられ,投与前7.9±0.75,投与後6.6±1.18と平均でも1.3の低下がみられた。また尿pH 8.5を示した尿管皮膚瘻症例の接触性ストーマ周囲皮膚炎が,クランベリージュース(50%,320g/日)10日間の飲用によりpH 5.0に低下するとともに皮膚炎も軽快した症例を紹介した。
  • 永栄 幸子, 俵 智恵美, 足立 汲子, 早川 幸子, 福井 美香, 松浦 治代
    1995 年 11 巻 1 号 p. 43-57
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     Ostomy Visitor (OV) 制度についてのオストメイトの認識とOVによる面談効果について調査を行った。烏取県内の198名のオストメイトに対してオストメイトの必要性に関する認識を質問紙により調査した。また,22名のオストメイトに対してはOVとの面談前と面談4~6週間後にQuality of Life Index (QLI) を用いてQLIの変化を測定し,検討した。
     その結果,オストメイトがOVとの面談を望む時期は心身が回復し,心理的にもストーマを受け入れられる退院後が最も多かった。OVとの面談の結果,オストメイトのQLIは心理的Well-Beingが最も上昇し,術後1年以内の人のQLIが最も変化した。以上より,個々のオストメイトの面談目的と時期を医療者が明確にし,OV制度を導入することによってQOLの向上に寄与することができる。
  • 筧 善行, 寺地 敏郎, 岡田 裕作, 吉田 修, 南出 成子, 鳶巣 賢一
    1995 年 11 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     我々医療側の術式の説明は患者側に十分な理解と納得が得られているだろうか。医学的に見ても選択の余地が複数ある場合に,我々は患者側に公平な情報を提供しているだろうか。これらの問題点を明らかにするとともに,各術式を施行された患者のQOLが手術後経時的にどのように変化するかを調査・解析するために,尿路変向患者に対する前向きQOL調査票を作成した。対象は,骨盤内悪性腫瘍に伴って膀胱の摘出術(直腸や子宮の合併切除症例を含む)を受け,尿路変向を施行された患者とした。調査票は患者の精神・身体的な問題などからなる「一般的」QOL調査票と,各術式に関連した質問及び術式に対する理解度や満足度などを尋ねる「術式別」QOL調査票から構成される。術前に「一般的」QOL調査のみを行っておき,術後3, 6, 12ケ月後に「一般的」および「術式別」の調査を行う。平成6年7月より多施設共同研究として開始している。今回はこの調査票の作成経過と,過去に尿路変向を受けた69例を対象に本調査票を使って行った予備調査の解析結果を報告した。
  • 佐々木 廸郎
    1995 年 11 巻 1 号 p. 69-84
    発行日: 1995年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー
     日本の人工肛門をめぐる研究の歴史を医学中央雑誌の第203巻から316巻(昭和40年からの10年間)の,論文を抽出し検討を加え報告した。結果はこの時期がストーマリハビリテーションの日本における黎明期であったことを示していた。
地方会抄録(地域研究会記録)
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