日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
16 巻, 1 号
16巻1号(通巻39号)
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
表紙・目次
学会総会報告
第17回学会シンポジウム[ストーマリハビリテーション―今世紀の総括と今後の展望]
  • 大村 裕子
    2000 年 16 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     日本ストーマリハビリテーション学会が始まってからの抄録からこれまでのストーマリハビリテーションの総括と今後の展望を探った。まず、第1回から16回日本ストーマリハビリテーション学会総会を前期、中期、後期の3期に分け、各研究領域の進歩、発展状況を知るために、それぞれの演題を、3段階の達成レベルから分類した。レベル1は治療やケアの紹介、アンケート調査、症例報告など、レベル2は実際におこなっている治療あるいはケアなどに対する問題点、解決課題が明確に指摘されている研究、レベル3は解決課題が分析され、解決の糸口が示されている研究とした。
      1 .ストーマ排泄管理の進歩、発展状況は領域によって異なっていた。
      2 .多くの課題解決は21 世紀に残されている。
  • 安田 智美, 水上 由紀, 山本 克弥, 八塚 美樹, 小林 祐子, 梶原 睦子, 田澤 賢次
    2000 年 16 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     構成成分からみた皮膚保護剤の特性を明らかにするため、皮膚保護剤の吸水時間・緩衝作用・貼付試験による剥離力と形状変化を調査した。その結果、皮膚保護性の高い皮膚保護剤は、カラヤ系、CMC系の皮膚保護剤で、吸水時間も短く緩衝作用を認めた。また、形状変化が少なく長期使用が可能な皮膚保護剤はSIS系の皮膚保護剤であった。しかし、同じ分類でも製品間に差があり、特性も異なる製品が認められた。
     以上のことから、皮膚保護剤の特性は含まれる成分や配合割合が関係しているのではないかと考えられる。
  • 大木 繁男, 池 秀之, 山口 茂樹, 木村 英明, 大田 貢由, 市川 靖史, 藤井 正一, 杉田 昭, 嶋田 紘
    2000 年 16 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     stomaを造設する上で最も重要なことは、合併症を起こさないようなstomaを造設することである。理想的なstomaの形態および造設法について報告する。理想的なstomaとは、1.stoma site markingとして適した位置、2.形状が円形、3.直径3.5cm、4.突出型(高さ1.0~1.5cm)、5.stoma の頂点に排出口がある、6.stomaと接する皮膚面に陥凹がない。7.腹直筋筋膜前鞘に確実に固定されている、ことである。腹部皮膚の切除では皮膚切除後の拡張を考慮して出来あがりが直径3.5cm のものとしなければならない。腸管を確実に筋膜に固定するために腹壁に腸を通過させる前に腹直筋に8針固定糸を置き、その後に腸を貫通させ腹壁に固定する。突出型にするには余裕を持って腸管を腹壁外に十分に引き出し、皮膚からのstomaの高さを調節しながら1.0~1.5cm にする。以上の方法で20例にcolostomyを造設したところstomaに関与する合併症はなかった。
  • 丸岡 正幸, 長山 忠雄
    2000 年 16 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     尿路変更手術は浸潤性膀胱癌では治療上必要不可欠の手術であり、他臓器の癌が尿路に浸潤移転したために行う尿路変更手術もある。尿路変更術を受けた例はその管理を生涯続けるので、少しでもQuality of life(QOL)を高くする努力は医療者にとり必要である。回腸導管は長期間安全にストーマ管理が可能である。尿管皮膚瘻は無カテーテル尿管皮膚瘻術式を全例に試みているが、有カテーテルとなる症例も存在する。有カテーテル例では長期留置α型カテーテルが無カテーテルに次いでQOLが良い。またカテーテル留置例はウイング型固定盤を用いQOLを高めている。尿管ステント留置例はQOLが高く、経皮的腎瘻造設術も生命予後からは優秀な治療手段である。
  • 渡辺 成
    2000 年 16 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     わが国における医療者に対するストーマリハビリテーション教育を総括し、それに基づき現在抱えている問題を抽出し、将来進んでいくべき道を展望した。これからの教育は、1)どういう人をどの位育てたいのかを再認識する、2)科学的な研究を推進させるような教育を目指す、3)教育を担う人を積極的に育てる、4)集団教育中心から個人教育へ、5)医師に対する教育をさらに推進する、6)教育を受けた看護職の方をどのように活用すべきかを検討する、7)訪問看護婦さんに対する教育、8)ボランティア精神に依存する体質からの脱却、9)医療経済の変革への対応、が課題となると考えられる。
  • 内藤 春彦
    2000 年 16 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     10年間にわたるストーマリハビリテーション北海道講習会受講者のアンケート調査を行い、受講生の現状と講習会の意義を検討した。受講生の65.4%は積極的にストーマケアに取り組み、74.1%がスタッフとして働き、約半数が配置転換を経験しており、この際ストーマケアを希望し配置部署をきめたものが10%前後おり、54.7%がストーマ関連の勤務場所に働いていた。所属施設でのストーマ告知は79.4%になされており、サイトマーキングはすでに受講前から行われているものが45.7%あり受講を契機に方法が変わったとの回答が多かった。ストーマ外来は56%がありで10年前の全国版調査の2倍になっていた。患者会出席、研究会出席などは全国版より大幅に悪く、北海道の特殊性と思われた。
症例報告
  • 津田 恭子, 真田 弘美, 片田 真理子, 北山 幸枝, 小西 千枝, 干場 順子, 西村 元一, 須釜 淳子, 佐々木 和弘, 高橋 哲也 ...
    2000 年 16 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     日頃臭いを気にしている4名のオストメイトを対象とし、私たちが考案した消臭剤付きストーマ袋の消臭効果を評価した。消臭剤付きストーマ袋は直径1cm、厚み0.3cmで、0.3mlのスーパーバニッシュが入った消臭包が上方に左右3包ずつ、計6包ついたものである。評価は4段階の自己採点方式とし、消臭包をつぶした数と消臭包をつぶした時間の関係をみた。その結果、消臭剤付きストーマ袋は、有形便に対し便処理5分前に消臭包を1包つぶすと、高い消臭効果が得る可能性がある。
  • 喜田 恵治, 三木 佳子
    2000 年 16 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2000年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル フリー
     回腸導管の粘膜皮膚接合部より出血を繰り返していた出血性ストーマ静脈瘤の症例を経験した。本症例に対し、硬化療法と経皮経肝静脈塞栓術(PTO:Per-cutaneous transhepatic obliteration)を行った。PTOは腸間膜静脈造影を施行し、ストーマ静脈瘤につながる側副血行路を確認し塞栓術を行い、その前後で硬化療法を行った。このPTOと硬化療法の併用がストーマ静脈瘤からの出血防止に効果的であった。ストーマ管理は、出血を誘発しないように、ストーマおよびストーマ周囲の皮膚保護を行い、排便時の怒責を避ける指導を行った。なお血管造影で得られた所見からストーマ静脈瘤の栄養血管は局所の回腸動脈より粘膜を介して供給されるのではなく、直接回腸静脈の逆流によることが判った。
短報
研究会報告
地方会抄録(地域研究会記録)
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