交通工学論文集
Online ISSN : 2187-2929
ISSN-L : 2187-2929
9 巻, 3 号
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論文 (1) 基礎・応用学術研究
  • 榊原 肇, 大口 敬
    2023 年 9 巻 3 号 p. 1-10
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    筆者らは、1 リンク 2 交差点の単純な系統制御における最小遅れ時間とこれを与えるオフセットを既に定式化した。本論文はこれを拡張し、15 交差点で構成される路線を直進車両のみが走行する場合について系統制御を考察する。クリティカル交差点を起点に系統効果の低い位置に存在する基軸交差点を提案し、路線を基軸交差点だけで再構築した各リンクに対して最小遅れ時間の理論式を適用して得られる路線の(基軸理論最小)遅れ時間を、路線で実現可能な下限値とすることを提案する。路線をクリティカル交差点で分割して一方向優先オフセットを組合せて実現できる(優先適用)遅れ時間を考えると、路線全体で実現可能な最小遅れ時間は、基軸理論最小遅れ時間と優先適用遅れ時間との間に存在し、この最小値を与えるオフセットパタンが多数有ることを示す。

  • 清水 祥貴, 深堀 清隆
    2023 年 9 巻 3 号 p. 11-23
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    駅前広場内の各空間の面積算定は,利用者数に応じた環境空間の考え方が用いられてきたが,近年では特に歩行空間としての機能的な質の向上を図ることが重んじられ,多様な機能が求められている.本研究では駅前広場の屋根に着目し,東京周辺の 81 の駅前広場を対象に,評価指標の定義と広場形態及び屋根形態から要因分析を行った.また屋根配置のデータを用いてクラスター分析を行い,駅前広場タイプ別に屋根の繋がり等の整備水準を評価した.その結果,小規模な駅前広場では駅舎側に機能を集約し効率的な整備とすること,大規模な駅前広場ではロータリー周縁の屋根・商業施設の庇下空間を活用し,屋根の繋がりや滞留空間を効率的に創出することが重要であることを示した.

  • 渡邊 芳樹, 谷口 綾子, 張 詠皓
    2023 年 9 巻 3 号 p. 24-36
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    高齢ドライバー向け認知機能検査の結果通知の場面において、メタメッセージの存在が懸念されている。本研究では、メタメッセージを緩和させるべくデザイン・レイアウトを変更した結果通知書の効果計測の為、65歳以上の高齢ドライバー2,000名を対象として、事前アンケート/模擬認知機能検査/結果通知書の提示/事後アンケートから成るWeb調査実験を行った。第一に、メタメッセージの影響を受け易い個人属性について探索的に分析した結果、女性や年齢が高い人ほど、「運転に対する自信」や「運転の自己評価」の点数が増加していた。このことは、調査設計者の意図せぬ副作用と言える。第二に、メタメッセージ緩和策を講じた改訂案結果通知書は、旧版結果通知書と比して検査後の「運転に対する自信」を有意に減少させる効果を有していることが示された。

  • 海野 遥香, 藤田 蓮土, 橋本 成仁, 氏原 岳人
    2023 年 9 巻 3 号 p. 37-46
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    2020年に国土交通省により公表された道路ビジョンでは2040年に目指す道路像として「安全性や快適性が確保された歩車共存の生活道路」が挙げられている。また、近年自動運転車両の開発研究が盛んに行われていることから、今後、歩行者と自動運転車両がすれ違う場面が増加することが考えられる。自動運転車両が普及するためには、歩行者とすれ違う場面において、乗車中の人が安心して乗車できることが重要であると言える。そこで本研究では、歩車がすれ違う場面に着目し、自動車のどのような挙動がドライバーに不安感を与えるのかを調査し、不安感が発生する際の速度と歩車間距離を定量的に示した。さらに、減速挙動のうち、減速度と最終速度に着目し、不安感に与える影響を明らかにした。

論文 (2) 事例研究・調査報告研究・システム開発など
  • 三浦 詩乃, 三牧 浩也, 中村 文彦, 北崎 朋希, 大森 啓史, 湯川 俊一
    2023 年 9 巻 3 号 p. 47-60
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    企業の自己判断でリモートワークの継続・縮小・取りやめを選択しやすくなったコロナ禍第6波時点に着目し、本研究は、東京都心3区のオフィスワーカーの働き方と通勤形態の特徴を明らかにすること、コロナ禍収束後に向けた同ワーカーの通勤形態に関する意向およびその通勤圏に立地する企業の総務・人事担当者の方針から、ピーク時通勤を望まないワーカー層の意向の実現における課題を提示すること、これらを総括して通勤形態の変化の定着可能性を明らかにすること、を目的とした。企業の働き方施策の実態とそれらに対するワーカーの満足度に基づく分析結果から、意向が全て実現すればオフィスワーカーのピーク時の鉄道通勤が従来の52-73%で定着しうること、既存の働き方施策推進のみでは10時以降のオフピーク時移動量の増加に至らないことを明らかにした。

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