豚抗酸菌症の原因菌Mycobacterium avium(M. avium)は培養・分離が難しく診断が遅れる.このため,養豚場の材料から豚抗酸菌症を迅速かつ簡便に診断する方法を見出す目的で, MGIT 培地と前処理(MGIT法)による培養を検討するとともにPCR(IS901)法とPCR-RFLP(hsp65)法による同定方法を比較した.
MGIT 法によるM. aviumの検出限界値は約2×102CFU /敷料1g,陽性判定期間は培養後10日以内であった. 野外株38 株を用いた両方法によるMycobacterium avium complexの同定結果は33株で一致し,残り5株はPCR-RFLP (hsp65)法で同定できなかったが,PCR(IS901)法ではM. aviumと同定できた.
以上の結果から,養豚場における豚抗酸菌症診断としてMGIT法による菌分離とPCR(IS901)法による同定が有効と考えられた.
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