日本暖地畜産学会報
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61 巻, 1 号
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研究紹介
原著論文(一般論文)
  • 中村 好德, 金子 真, 小林 良次
    2018 年 61 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/19
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    周年放牧肥育された褐毛和種去勢雄牛4頭を用いて,枝肉庫内での約3週間(18日間)の枝肉熟成 (左半丸:処理なし,右半丸:熟成処理)が枝肉歩留,部分肉重量と肉質に及ぼす影響を比較した.脱水に伴う減少量は1.9 kg であり枝肉重量は1%減少した.部分肉に分割後の減少量は12.5 kg であり部分肉重量は5.9%減少した.部分肉重量は16部位中9部位で有意に減少した.肉質に及ぼす影響を調査したところ,リブロース(胸最長筋)では破断強度の有意な低下,核酸関連物質のうちヒポキサンチン(Hx)含量の有意な増加,遊離アミノ酸総量の有意な増加(約2.4倍)とK 値の有意な上昇が見られた.一方,そともも(半腱様筋)では水分含量の有意な減少,Hx 含量の有意な増加,遊離アミノ酸総量の有意な増加(約2.2倍)とK 値の有意な上昇が見られた.可食部における衛生検査において異常は見られなかった.

  • 小高 真紀子, 小川 みどり, 福田 和正, 横山 敦史, 小山 太, 浅田 研一
    2018 年 61 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/19
    ジャーナル フリー

    豚抗酸菌症の原因菌Mycobacterium aviumM. avium)は培養・分離が難しく診断が遅れる.このため,養豚場の材料から豚抗酸菌症を迅速かつ簡便に診断する方法を見出す目的で, MGIT 培地と前処理(MGIT法)による培養を検討するとともにPCR(IS901)法とPCR-RFLP(hsp65)法による同定方法を比較した.

    MGIT 法によるM. aviumの検出限界値は約2×102CFU /敷料1g,陽性判定期間は培養後10日以内であった. 野外株38 株を用いた両方法によるMycobacterium avium complexの同定結果は33株で一致し,残り5株はPCR-RFLP (hsp65)法で同定できなかったが,PCR(IS901)法ではM. aviumと同定できた.

    以上の結果から,養豚場における豚抗酸菌症診断としてMGIT法による菌分離とPCR(IS901)法による同定が有効と考えられた.

  • 髙山 耕二, 溝口 由子, 大島 一郎, 中西 良孝
    2018 年 61 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/19
    ジャーナル フリー

    本研究では,茶園におけるガチョウ雛の除草利用の可能性を検討した.試験地内にガチョウを放飼した試験区(0.9 a)と放飼しない対照区(0.3a)を設け,試験区には24日齢のガチョウ雛4羽(平均体重570g)を2014年5月24日から7 月4 日の44 日間放牧した.なお,ガチョウには養分要求量の50%相当量の補助飼料を給与した.ガチョウは活発な食草行動を示し,イヌムギ(Bromus catharticus Vahl)とシロツメクサ(Trifolium repens L.)を好んで採食し,その一方で茶の葉や幹の採食は観察されなかった.放飼後44日目における裸地率は,対照区に比べ,試験区で有意に大きかった(P < 0.05).放牧終了時の植物現存量についても,対照区の330 kgDM/10aに対し,試験区で43 kgDM/10aとなり,両区間で有意差が認められた(P < 0.05).放飼開始後22および44日目におけるガチョウの体重は1,506 および2,073g に増加した.

    以上より,茶園でのガチョウ雛放飼による除草効果は顕著であり,茶園で飼養可能であることが示された.

  • 石垣 元気, Pattama NITTHAISONG, 明石 良, 福山 喜一
    2018 年 61 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/19
    ジャーナル フリー

    ローズグラスとブラキアリアグラスの2草種(ルジグラスおよびパリセードグラス)の踏圧耐性について,条播した材料草の1番草刈取り後に総重量約2.7t トラクターの前後の片側車輪で計3回の踏圧を行い,その後の形態的特性および2番草乾物収量を調査した.草丈および茎径は,ローズグラスおいて踏圧区で有意に低下し,出葉速度は,パリセードグラスにおいて踏圧区で有意に低下した.踏圧条件下での分げつ再生率は,ローズグラスが最も高い値を示した.新分げつ発生率は,踏圧の有無に関係なくルジグラスおよびパリセードグラスがローズグラスよりも有意に高い値であった.2番草乾物収量は,草種間に有意差は認められなかったものの,ローズグラス<ルジグラス<パリセードグラスの順であった.これらのことから,ルジグラスおよびパリセードグラスは,1年生利用の2回刈りを想定した場合,大型機械による採草利用に十分適用できるものと考えられる.

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