ウシの
EDG1遺伝子は脂肪交雑責任遺伝子の候補として研究が進められており,
EDG1の1塩基置換(+166A/G)が大分系統の黒毛和種集団で脂肪交雑と相関を持つことが報告されている.そこで,
EDG1の1塩基置換と佐賀県で生産された黒毛和種の種雄牛と繁殖基礎雌牛の枝肉形質の育種価推定値との関連性について検討した.また,QTL解析に利用している佐賀県産種雄牛の糸晴栄の去勢息牛についても枝肉形質との関連性を検討した.種雄牛と繁殖雌牛の遺伝子型は
AA 14頭,
AG 14頭,
GG 5頭であった.分散分析の結果,遺伝子型の効果は牛脂肪交雑基準(BMS)では1%水準で有意であり,ロース芯面積では5%水準で有意であった.BMSでは
GG型が
AA型や
AG型よりも有意に大きなBMSの値を持つことが示された.去勢息牛229頭の1塩基置換の遺伝子型は,糸晴栄が
AA型で,去勢肥育牛では
AA型 100頭,
AG型 129頭であったが,分散分析の結果では,遺伝子型の効果はすべての枝肉形質において有意性が認められなかった.
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