日本暖地畜産学会報
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56 巻, 2 号
日本暖地畜産学会報
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
総説
原著論文(一般論文)
  • 平山 琢二, Muslah Uddin Ahammad, 高橋 誠, 和田 浩二, 及川 卓郎
    2013 年 56 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    産卵鶏への秋ウコンおよびクルクミンの給与が卵質に与える影響について調査する目的で,産卵鶏4羽に 秋ウコン粉末(試験1)およびクルクミン粉末(試験2)を市販配合飼料へ混合し給与した.その結果,秋ウコン粉末およびクルクミン粉末のいずれを給与した場合でも全卵重量,卵黄割合および卵白割合に変化は認められなかった.しかし,秋ウコン粉末を給与した場合,卵黄のエタノール抽出液の吸光度(430nm)およびヨークカラー値が給与前に比べ高くなった.一方,クルクミン粉末を給与した場合,いずれの測定項目においても試験期間を通して変化は認められなかった.さらに,試験1および2のいずれにおいても卵黄へのクルクミンの移行は認められなかった.しかし,秋ウコン粉末を産卵鶏に給与した場合に,クルクミンの卵黄への移行は認められなかったものの,卵黄の色調が増すことが示唆され,卵黄のヨークカラー値の上昇はクルクミンの移行に関連性がないことが認められた.
  • 梶谷 祐介, 井戸田 幸子, 石井 康之, 福山 喜一
    2013 年 56 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    本試験では,給与飼料が異なる3 群の黒毛和種牛由来の糞原料に副資材として,ノコクズを組み合わせた 肥育牛糞+ノコクズ区,ノコクズ牛糞+ノコクズ区,放牧牛糞+ノコクズ区およびノコクズと形状を合わせるために約 10 cm に細断したローズグラス乾草を,放牧牛糞と組み合わせた放牧牛糞+ローズ区の計4 堆肥区を設置し,堆肥の無機化の程度とそれらの施用が暖地型牧草の成長に及ぼす影響を追及することを目的とした.培養試験で得られた堆肥の窒素(N)無機化率は,肥育牛糞+ノコクズ区で高く,次いで放牧牛糞+ノコクズ区,ノコクズ牛糞+ ノコクズ区,放牧牛糞+ローズ区の順であった.2 回刈り栽培の植物体諸形質は,このN 無機化率の高さにほぼ呼応し,2 番草の草丈,1,2 番草のSPAD 値,乾物重および全N の含有率,蓄積量および利用率は,肥育牛糞+ノコクズ区で最も高く肥効に優れること,家畜飼養内容が堆肥の質と栽培植物への肥効に影響を与えることが示された.
  • 橋元 大介, 岩元 禎, 川口 雅彦, 中西 良孝
    2013 年 56 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    米ぬか(以下,RB)または米胚芽由来の脂肪酸カルシウム(以下,CSFA)添加飼料が黒毛和種去勢牛 の産肉性,理化学特性ならびに官能特性に及ぼす影響を明らかにするために肥育試験および肉の官能評価を行った.黒毛和種去勢牛(9 ヵ月齢)11 頭を供試し,15 ヵ月齢まで同一の肥育前・後期用配合飼料を粗飼料とともに給与した後,16 ヵ月齢以降,肥育後期用配合飼料(以下,C)を給与する対照区(4 頭),C にRB を原物当たり8.0% 添加するRB 区(3 頭)およびC にCSFA を原物当たり1.5% 添加するCSFA 区(4 頭)に割り当てて,28 ヵ月齢までの12 ヵ月間,各飼料を給与した.供試牛の飼料摂取量および発育,枝肉格付成績等の産肉性に各区間差はみられなかった.また,牛肉脂肪中の不飽和脂肪酸(以下,USFA)および一価不飽和脂肪酸(以下,MUFA)割合は対照区よりもRB およびCSFA 区で高く,脂肪融点が低くなる傾向が認められた(P <0.1)が,RB 区とCSFA 区の間で差はみられなかった.さらに,対照区と比べてCSFA 区の牛肉は香りと風味が良く,総合的に美味しいと評価された.以上から,黒毛和種去勢牛の飼料へのRB またはCSFA 添加は,産肉性に影響を及ぼさないものの,牛肉中のUSFA および MUFA 割合を高める傾向をもたらし,特にCSFA 添加の場合には食味性を向上させることが示された.
  • 及川 卓郎, 平山 琢二, 加藤 和雄
    2013 年 56 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    牛の産肉能力に効果をもつQTL 遺伝子の情報を元に異なる血縁個体群の遺伝子情報を利用する改良モデ ルを設定し、数値シミュレーションにより選抜効果を比較した。そこでは、選抜指数法から世代当りの選抜反応および年当りの選抜反応を算出した。改良対象の量的形質は、胸最長筋のオレイン酸の割合とし、実験対象遺伝子はSCD 遺伝子とした。世代当りの改良量は、半きょうだいと後代の情報を組み合わせた選抜モデルが顕著に高く、次いで親と選抜個体の半きょうだいの表現型値を組み合わせた選抜システムの改良量が高かった。遺伝子型情報を利用した組み合わせ選抜の中では、選抜個体の遺伝子型および表現型と半きょうだい個体の遺伝子型と表現型を組み合わせた選抜システムの改良量が高かったが、表現型選抜で実現される改良量と比べるとその有効性は低いものであった。しかし、年当りの改良量をみると、世代間隔が長い後代の表現型値を利用した選抜モデルの効率は低下し、世代間隔の短い遺伝子型選抜システム、つまり個体とその半きょうだいの表現型値と遺伝子型を組み合わせた選抜システムの改良量が高かった。本研究で設定した遺伝的条件下では、遺伝子型選抜の有効性は世代間隔の短縮化にあることが明らかになった。
原著論文(短報論文)
  • 主税 裕樹, 大島 一郎, 髙山 耕二, 中西 良孝
    2013 年 56 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国における山羊の飼養上の問題点の解決と合理的な飼養技術の確立に向けた基礎的知見を得る目的 で,山羊飼養者を対象としてアンケート調査を実施し,山羊の飼養目的,飼養規模,給与飼料および放牧管理上の問題点などを明らかにした. 調査対象者402 名のうち,有効回答数は109 名(27%)であった.山羊の飼育目的は除草利用および乳生産が多く,次いで伴侶動物としての利用,教育利用および肉生産であった.1 戸当たりの飼育規模は10 頭以下が過半数を占め,51 頭以上は6.4%と少なかった.放牧のみは3.6%と少なく,舎飼い中心であった.舎飼いの飼育密度については,4.1 ~8.0 ㎡/ 頭(37.1%)が最も多く,次いで2.1 ~4.0 ㎡/ 頭(25.8%),8.1 ㎡/ 頭以上(21.4%)および2.0 ㎡/ 頭(15.7%)の順であった.給与飼料の自給率は56.8%と比較的高かった.放牧対象地は野草地が最も多く,牧柵資材としては金網が過半数を占めた.また,放牧管理上の問題点としては,脱柵が最も多く,柵の破損,山羊の頸や肢にロープが絡まることなども挙げられた. 以上より,わが国における山羊の利用目的は多様であり,小規模な舎飼い中心であることが判明するとともに,舎飼い時の適正飼育密度および放牧時の脱柵防止対策に関する情報蓄積が必要であることが示唆された.
原著論文(技術報告)
  • 神谷 裕子, 野中 最子, 田中 正仁, 神谷 充, 服部 育男, 林 義朗, 板谷 真積, 西岡 俊一郎, 浜本 修
    2013 年 56 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    大麦焼酎の製造過程で発生する麦焼酎粕を固液分離した後,液体部分を加熱濃縮した麦焼酎粕濃縮液につ いて,化学成分,ウシにおける消化率および栄養価を明らかにした.麦焼酎粕濃縮液の乾物当たり粗蛋白質含量は40.1%,粗脂肪含量は3.3%,可溶性無窒物(NFE)含量は49.9%,粗繊維含量は0.9%,カルシウム含量は0.1%,リン含量は1.0%およびマグネシウム含量は0.2%であった.麦焼酎粕濃縮液の消化率は,粗蛋白質で79.8%,粗脂肪で 66.0%,NFE で95.4%,粗繊維で75.0%であり,乾物当たりのTDN 含量は84.9%であった.
  • 中村 好德, 金子 真, 莟 博行, 山田 明央, 小林 良次
    2013 年 56 巻 2 号 p. 175-177
    発行日: 2013/10/03
    公開日: 2014/01/06
    ジャーナル オープンアクセス
    牛枝肉格付評価を用いて周年放牧肥育牛と慣行肥育牛の肉質を識別できるかどうかについて検討した.褐 毛和種去勢雄牛の周年放牧肥育牛14 頭(2 等級のみ)と慣行肥育牛計149 頭(2 等級:33 頭,3 等級:89 頭および 4 等級:27 頭)を用いて,牛枝肉格付評価における肉質等級について比較したところ,脂肪交雑等級などの9 項目において,周年放牧肥育牛と慣行肥育牛の各等級間に有意差(P<0.05)が認められた.また,2 等級同士の比較でも,BMS No.,BCS No. およびBFS No. のいずれの項目においても周年放牧肥育牛と慣行肥育牛に有意差(P<0.001)が認められ,判別分析による正答率は92.9%であった.これらのことから,生産基準や肉質評価基準などとともに,周年放牧肥育牛を評価する補助的な手段として,現行の牛枝肉格付評価を用いることは可能であることが示唆された.
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