本研究では，大麦を主原料とした配合飼料が子ヤギの育成に利用可能か否かを調べた．実験1 では，雄ヤ ギ6 頭 ( 日本ザーネン種×ヌビアン種, 2.4 才齢) を供試した．3 週間に亘り，アルファルファヘイキューブの 給与量を徐々に減少させ，大麦の給与量を1 日に50 g ずつ飽食に達するまで増量した．大麦50％給与時の第 一胃液性状及び第一胃収縮頻度は正常であり，鼓張症やアシドーシスは観察されなかった．実験2 では，雄ヤ ギ12 頭 ( 日本ザーネン種×ヌビアン種, 3 カ月齢) が2 区 ( 対照飼料区 (CFG), 大麦配合飼料区 (BFG)) に6 頭 ずつ配置された．CFG にはコーン43% 配合飼料を，BFG には大麦43% 配合飼料を給与した．各配合飼料及 びアルファルファヘイキューブは，個別に1 日2 回給与した．乾草と飲水は自由摂取させた．3-12 カ月齢ま で，体重及び体各部位のサイズを月1 回測定した．12 カ月齢時に屠畜し，枝肉及びロース肉の性状を分析した． 各配合飼料及びアルファルファヘイキューブは，給与量全量が採食された．乾草採食量は，CFG と比較して BFG が4 カ月齢までは有意に少なく、5 カ月齢以降は有意に多かった．BFG における動物の成長速度及び枝 肉重量は，CFG より有意に大きかった．BFG のロース肉は，CFG よりγ - アミノ酪酸やカルノシンを多く含 んでいた．本研究の結果は，大麦がヤギ育成用飼料の主原料として利用できることを示している

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牛の子宮肥大は，単胎・双胎の妊娠による生理的な場合，または子宮蓄膿症・子宮水腫・子宮腫瘍・子宮筋炎・ 子宮外膜炎の病理的な場合に起因する．しかし，実際の臨床現場での類症鑑別は複雑であるため，適切な診断 と治療が非常に困難である．6 種類の子宮肥大を経直腸超音波検査で診断し，病理的な場合は適切な治療を実 施し，予後を検討した．病理的な26 例の内訳は，子宮蓄膿症12 例，子宮筋炎4 例 (3 例は治癒し妊娠)，子宮 水腫4 例，子宮腫瘍3 例( 解体後の病理組織学的検査により，すべてリンパ肉腫と判明) であった．通常，子 宮筋炎の予後は不良とされているが，超音波診断に基づき，プロスタグランジンF2α (PGF2α )，安息香酸エス トラジオールおよびポビドンヨードの注入で治療した結果，治癒し妊娠させることができた．本研究から迅速 かつ適切な診断が重要であることがわかり，携帯型超音波診断装置は，子宮肥大の類症鑑別を行う上で非常に 有用であることが確認された．

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　高温環境で生き残るために，泌乳ヤギは採食量を減少させることで体熱産生を抑制する．熱産生量の減少は， 泌乳成績の低下をもたらす．本研究は高温環境下における乳量及び乳質の低下を改善する有効な冷房時間を明 らかにするために行われた．15 頭の日本ザ－ネン種ヤギ (2 才齢, 2 産, 分娩後70 日, 体重46.1 ± 2.8 kg) が3 群 (2HC, 4HC, 6HC) に5 頭ずつ配置された．各動物は不断給水で，粗く砕いたアルファルファヘイキューブ を残食する量及び自家配合飼料300 g を1 日2 回給与 (9:30, 17:30) された．搾乳は1 日2 回 (9:00, 17:00) 行われた． 2HC 群の動物は高温環境 (32°C, 80%) に暴露開始後11 から16 日まで，午前及び午後の給飼に合わせて2 時間， 冷房 (20°C, 80%) された．4HC または6HC 群の動物は高温環境 (32°C, 80%) に暴露開始後11 から21 日まで， 午前及び午後の給飼に合わせてそれぞれ4 または6 時間，冷房 (20°C, 80%) された．2 時間冷房は乳量及び乳 質の低下を改善しなかった．4 時間冷房は乳量の低下を改善したが，乳質の低下は改善されなかった．6 時間 冷房は乳成分生産量及び乳質の低下を有意に改善した．結果は，高温環境における泌乳ヤギの乳量及び乳質の 低下を改善するためには，午前及び午後の給飼後6 時間冷房する必要があることを示している．

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　本研究はブラキアリア属の有性系統とアポミクシス系統との交配系統個体群において，乾物消化性に優れる 系統個体を選抜するため，葉の水分含量（LWC）と葉の形態形質から選抜指標を構築し，高いインビトロ乾 物消化率（IVDMD）を示す選抜個体を評価することを目的としている．最初に，49 交配系統のそれぞれ5 個 体の展開葉から第５葉までの分析試料につき，IVDMD，LWC，葉幅（LW），葉身長（LL）及び葉形態比（LR; LW/LL） の測定値を基に，IVDMD を目的変数とし，1 形質あるいは複合形質の説明変数からそれぞれ回帰式 を求め，選抜指標とした．その結果，LWC-LW index（0.31 LWC + 0.10 LW），LWC-LR index（0.30 LWC + 0.06 LR），及びLWC-LW-LR index（0.30 LWC + 0.07 LW + 0.04 LR）の決定係数R2 はそれぞれ0.35，0.35 及 び0.39 となり，LWC，LW 及びLR 単独については0.27，0.14 及び0.14 となった．次に，これらの選抜指標 の妥当性を評価するため，別の45 交配系統において，上述のそれぞれの形質の測定を行い，LWC-LW index， LWC-LR index 及びLWC-LW-LR index により，ブラキアリア属の交配系統のうちから，IVDMD の高い系統 個体を選抜することが可能であることが示された．

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　‘ 周年放牧肥育技術’ で飼養した褐毛和種と黒毛和種去勢雄牛（各3 頭）の肉質比較を行い，褐毛和 種については熟成による肉質の変化を調査した．リブロース（胸最長筋）における肉質（破断強度，pH，水分含量， 色調，過酸化物価，大腸菌群数，一般生菌数，遊離アミノ酸含量，タウリンならびにカルノシン含量）を調査した ところ，黒毛和種は褐毛和種に比べて過酸化物価が有意（P < 0.05）に低かった．また，褐毛和種について熟成方 法（冷蔵および氷温熟成）が肉質に及ぼす影響について調査したところ，遊離アミノ酸含量は冷蔵および氷温熟成 後に有意（P < 0.05）に増加したが，カルノシン含量は冷蔵熟成後のみ有意（P < 0.05）に減少した．

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本研究は，National Center of Biotechnology Information (NCBI) のSingle Nucleotide Database (dbSNP) に 登録されている GH 遺伝子 (dbSNP rs41923484, rs134687399), SST 遺伝子 (rs17870997), GHRH 遺伝子 (rs380969504), GDF8 遺伝子 (rs383271508, rs137528458) およびLEP遺伝子 (rs29004487, rs29004488, rs29004508) 多型と成長および枝肉形質との関連性を明らかにすることを目的とした. 宮崎県家畜改良事業団において 2005 年から2013 年までに現場後代検定を受検した黒毛和種去勢牛(n=280) の生後9, 14, 20, 28 ヵ月齢時に体重, 体高, 胸囲および腹囲を経時的に測定し, 屠畜後に枝肉調査を行った. 遺伝子多型の有意差は最小自乗分散分 析およびTukey-Kramer のHSD 検定を行った. 本研究で取り上げた遺伝子の中で, GH遺伝子, GHRH遺伝子, GDF8 遺伝子 (rs137528458) およびLEP 遺伝子 (rs29004508) 多型において, いくつかの成長および枝肉形質と 有意差が認められ (p < 0.05), 成長および産肉能力における育種改良の遺伝子マーカーとして利用できる可能性 が示唆された.

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破砕（破砕区）および解砕処理（解砕区）されたモウソウチクのサイレージ化特性を水分無調整（試験1） および水分65% 調整（試験2）で検討した．試験1 では，貯蔵後3 ヵ月間の乳酸菌数，pH および有機酸含量の変化， 試験2 では，貯蔵後1 ヵ月目の発酵品質を調査した．試験1 で，破砕区のpH はほぼ一定で，乳酸菌数は経時的に 減少した（P < 0.05）．一方，解砕区のpH は低下し，乳酸含量は増加した（P < 0.05）．解砕区は貯蔵後3 ヵ月目 で高乳酸菌数，高乳酸含量および低pH を示した（P<0.05）．試験2 で，解砕区のpH，酢酸含量およびアンモニ ア態窒素濃度は低かった（P < 0.05）が，乳酸含量および発酵品質は両区同等であった．以上の結果より，破砕お よび解砕処理モウソウチクのいずれも，水分調整により乳酸発酵が促進されるものの，解砕処理の方がより乳酸菌 の生育に有利であることが示唆された．

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子牛育成において単飼から群飼へと飼養環境が大きく変化する時期の成長停滞などに対する甘草給与 の効果について検討した．本試験は3 ヵ月齢の日本黒毛和種子牛を甘草給与区および無給与区に配置して行い，甘 草は1 日1 回朝の給餌時に給与した．給与期間は飼養環境を移行する前後10 日間とした．給与前後の体尺値，一 日当たりの増体量（DG），血中IGF-1 およびGH 濃度について測定した．体尺値は給与区および無給与区に有意差 はみられなかったが，給与区でDG が上昇傾向にあった．血中IGF-1 濃度は給与区および無給与区に有意差はみら れなかったが，給与区で平均値が高くなった．血中GH 濃度は給与区が無給与区に比べ高い傾向がみられた（p < 0.05）．子牛を単飼から群飼へ移行する前後に甘草を給与した場合，子牛の低栄養状態を予防する傾向がみられた ことから，飼養環境の変化によるストレスを緩和した可能性が示唆された．

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褐毛和種雌牛（熊本系）において，ストレス感受性にも関与すると考えられているオキシトシン受容 体（OXTR）遺伝子のプロモーター領域に認められた多型（D，S）と，ストレッサー負荷時の気質スコアとの関 連性を検討した． 　ストレッサーとして採血および体重測定テストを行い気質スコアを比較したところ，D がS より高い値を示す 傾向であったが有意差は認められなかった．気質スコアと月齢との関係においては，D で高い負の相関が認められ た（体重測定テストの気質スコア合計：r2 = 0.7755，採血および体重測定テストの気質スコア合計：r2 = 0.6685）． 以上の結果より，OXTR 遺伝子プロモーター領域に認められた多型のうち，D は月齢が高いほど気質スコアが低 くなることが明らかとなった．OXTR 遺伝子のプロモーター領域の2 塩基繰り返し配列に基づく多型は，OXTR の機能に対して影響を与えている可能性が推察された．

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カンショ焼酎粕ケーキ（SDC）を発酵TMR の原料として有効利用するため，発酵TMR の主たる粗 飼料源の違いが発酵TMR の発酵品質，タンパク質ならびに繊維画分に及ぼす影響について検討した．SDC，トウ モロコシサイレージ，イタリアンライグラスサイレージ，圧ぺんトウモロコシ，圧ぺん大麦，ビートパルプおよび 大豆粕を供試し，トウモロコシサイレージの全量を飼料用イネホールクロップサイレージに置き換えたところ，こ れらの発酵TMR のV-SCORE は80 点以上であり，発酵品質は「良」であった．発酵に伴うTMR 中のタンパク 質画分は貯蔵日数よりも飼料構成による影響を受けた．しかし，繊維画分にはこれらの影響は認められなかった． 以上より，SDC を混合した発酵TMR の発酵様相やタンパク質画分の変化は，貯蔵期間よりもむしろ主たる粗飼 料源に左右されることが明らかとなった．

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2006 年12 月から2011 年10 月までに分娩した鹿児島県内の牛群検定終了データのうち搾乳日数が240 日以上で泌乳持続性の明らかな初産から6 産までの4,990 記録を分析に供した．分析では一泌乳期の評価形質を対 象に，母数効果として分娩年，産次，分娩月，変量効果として個体の育種価，誤差を取り上げた．泌乳持続性に及 ぼす産次の影響は，初産で正の効果を及ぼし，2 産以降低下し4 産で最も大きな負の効果を及ぼした．また，泌乳 持続性に及ぼす分娩月の影響は，6 月から9 月までは正の効果を及ぼし，10 月から5 月までは負の効果を及ぼした． また，育種価を個体の出生年別に平均した県内雌牛群の泌乳持続性の遺伝的趨勢は2001 年から2009 年まで－ 0.105 から0.068 の範囲にあった．

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離乳後の褐毛和種および黒毛和種去勢雄牛を各3 頭用いて，‘ 周年放牧肥育技術’ で飼養して産肉能力 を調査した．夏期はパリセードグラス放牧地を，冬期はイタリアンライグラス放牧地を用いた周年放牧に補助飼料 としてトウモロコシサイレージ，麦焼酎粕濃縮液，イタリアンライグラス乾草ならびに食塩を給与し国産飼料自給 率100% で生産した．平均出荷日齢および平均出荷体重は褐毛和種848 日齢および747 kg，黒毛和種862 日齢お よび629 kg であり肥育素牛を用いた場合より出荷体重は低かった．褐毛和種は黒毛和種よりも，と畜時体重，枝 肉重量，枝肉歩留，部分肉重量ならびに牛枝肉格付評価におけるバラの厚さが有意（P < 0.05）に高かったが，枝 肉重量に占めるヒレの割合が有意（P < 0.05）に低かった．

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カンショデンプン粕とカンショ茎葉の飼料特性とサイレージ利用について調査した。カンショデン プン粕の高消化性繊維含量は23.3％で消化性は高いが，1.18 mm 以下の粒度の細かい区分が21.9％と多く物理性 は低かった．カンショ茎葉の異なる品種毎の飼料成分は，平均で水分は85.9％～ 88.6％，CP は11.2％～ 13.5％， NDFom は33.2％～ 35.0％，ADL は5.5％～ 6.9％であった．また，品種により生育期間の違いによる成分の変動が あることが確認された．また，カンショ茎葉サイレージの発酵品質は，乾燥焼酎粕を水分調整資材として用いるこ とで，乳酸生成が促進され，ビートパルプ，無添加に比べて良好となった. 今回の試験により，カンショデンプン 粕とカンショ茎葉の飼料特性の一部とサイレージ利用が明らかとなり，その有効活用が可能であることが示された．

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離乳後の褐毛和種去勢雄牛3 頭および黒毛和種去勢雄牛3 頭を用いて，‘ 周年放牧肥育技術’ で飼養し 増体量と血液性状を調査した．夏期はパリセードグラス放牧地を，冬期はイタリアンライグラス放牧地を利用し， 補助飼料としてトウモロコシサイレージ，麦焼酎粕濃縮液，イタリアンライグラス乾草ならびに食塩を給与し，国 産飼料自給率は100% であった．周年放牧に要した面積（7 牧区の合計）は54.2 a/ 頭であり，平均滞牧日数は22 日間で推移した．周年放牧肥育牛の体重増加は平均1 日当たり褐毛和種0.83 kg/ 日および黒毛和種0.65 kg/ 日で あり，平均出荷日齢および平均出荷時体重は褐毛和種848 日齢および747 kg，黒毛和種862 日齢および629 kg であっ た．また，周年放牧肥育期間中における供試牛の血液性状は品種間で一定の相違は見られなかったが，尿素窒素お よび総コレステロール濃度などは季節間で相違を有することが明らかになり，特に冬期における供試牛の高い尿素 窒素濃度はイタリアンライグラス放牧草における粗蛋白質含量の高さに影響を受けたと考えられた．

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