宮崎県内の黒毛和種繁殖牛飼養農家で,無処理の杉ノコクズを主要な粗飼料とする飼養法が普及しつつある.本研究では,この飼養法におけるノコクズの粒度が採食・反芻,粗飼料因子(RVI),ルーメン液性状,血液性状に及ぼす影響について調査した.3頭の黒毛和種繁殖牛を用い,約1カ月間の試験期間の前半を対照区,後半を処理区とした.対照区では通常のノコクズを,処理区では5 mm篩を通したノコクズを,それぞれ濃厚飼料と3:4で混合して給与した.両試験区ともローズグラス乾草を1日1頭当たり0.5 kg補給した.
その結果,反芻期数,平均反芻時間,採食終了から反芻開始までの時間,RVIは試験区間に有意差が認められなかった.また,反芻時間は両試験区とも十分に確保された.ルーメン液性状,血液性状についても,両試験区ともに特に問題はなかった.以上のことから,このような飼養法においては,ノコクズの粒度に特に留意する必要はないと考えられた.
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