日本暖地畜産学会報
Online ISSN : 2185-1670
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66 巻, 1 号
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一般論文
  • 遠山 牧人, 後藤 裕司, 手島 茂樹
    2023 年 66 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル フリー

    通常,黒毛和種繁殖雌牛の分娩は牛舎で行われている.一方,放牧地分娩は省力的ではあるものの,一般的な手法として認識されていない.そこで本研究は,黒毛和種繁殖雌牛において,放牧地分娩が牛舎分娩の代替技術となり得るかについて検証することを目的とした.黒毛和種繁殖雌牛を放牧地で分娩させた放牧区と牛舎で分娩させた牛舎区に区分し,産子の死産率および分娩後の受胎率を比較した.両区ともに妊娠期間の延長が確認されたが,分娩状況は概ね正常であった.死産率は放牧区4.8%,牛舎区7.0%であったが,両区の間に有意差は認められなかった.分娩後の受胎率は放牧区60.8%,牛舎区63.2%であったが,両区の間に有意差は認められなかった.以上の結果から,放牧区と牛舎区の間に分娩状況および繁殖成績の差は認められなかった.したがって,黒毛和種繁殖雌牛の放牧地での分娩は牛舎での分娩の代替技術となり得ることが示唆された.

短報論文
  • 中村 南美子, 大牟田 愛, 落合 晋作, 秋元 哲, 鈴木 真理子, 河合 渓, 秋山 雅世, 赤井 克己, 中西 良孝, 髙山 耕二
    2023 年 66 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,飼育アマミノクロウサギを用いて柵上部の折り返し長さと角度が跳躍ならびに登攀による侵入の防止に及ぼす影響について検討した.高さ50,75および100cmのワイヤーメッシュ柵(目合い:縦4cm×横5cm)を飼育個体にそれぞれ3日間提示したところ,高さ50cmでは跳躍による侵入がみられた.次に,上部に10,15および20cmでそれぞれ45°および90°の折り返しを設けたいずれも高さ50cmのワイヤーメッシュ柵(目合い:縦5cm×横4cm)を同様に提示したところ,跳躍による侵入はいずれの柵においても防ぐことができなかったが,登攀による侵入は15または20cmで45°または90°の場合に防止することができた.これらの結果から,上部に長さ15cm以上,角度45~90°の折り返しを設けた高さ75cm以上の柵はアマミノクロウサギの跳躍と登攀による侵入の防止に有効である可能性が示された.

  • 加藤 奈々, 岡村 咲野, 川西 夏菜, 中島 悦子, 土居 幹治, 松下 昇平, 吉金 優
    2023 年 66 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル フリー

    国産七面鳥肉の需要拡大が望まれている.国産七面鳥肉の特徴を数値化するために,その一般成分, ミネラル含量,味覚センサー分析,遊離アミノ酸およびイミダゾールジペプチド(IDP)を分析した.国産七面鳥肉は,鶏肉に比べ高タンパク質,低脂質であった.国産七面鳥モモは,鶏肉に比べ鉄やタウリンが多く含まれていた.国産七面鳥ムネやササミは,鶏肉に比べ遊離アミノ酸が低く,味覚センサー分析における旨味も低かった.一方,国産七面鳥ムネやササミは,アンセリンやカルノシンなどのIDPが多く含まれていた.国産七面鳥肉の心臓,砂肝,およびレバーには,IDPはほとんど含まれなかった.国産七面鳥ムネやササミのIDP含量は,米国産七面鳥肉よりも高く,魚類や哺乳類と同等もしくはそれ以上含まれていた.以上より,国産七面鳥肉は高タンパク質,低脂質という特性に加えて,モモには鉄やタウリン,ムネやササミにはIDPを多く含有するという特性を見出すことができた.

  • 中村 南美子, 小出 圭史, 落合 晋作, 秋元 哲, 鈴木 真理子, 河合 渓, 秋山 雅世, 赤井 克己, 中西 良孝, 髙山 耕二
    2023 年 66 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,農地へのアマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)の侵入防止に有効な物理柵の開発に向けた基礎的知見を得ることを目的とし,アマミノクロウサギの通り抜け防止に有効な柵の網目サイズ(隙間)について検討した.飼育アマミノクロウサギ2頭(個体AおよびB)に正方形または長方形(縦長もしくは横長)の隙間(入口)を設けた仕切り板を最大60分間提示した.個体Aは一辺が12cmの正方形の隙間を通り抜けたものの,一辺が8cmの場合には腰部までしか通過せず,通り抜けに失敗した.長辺を12cmとした縦長または横長長方形の隙間についても,個体Aは短辺が8cmの場合にいずれも通り抜けに失敗した.一方,個体Bは正方形および長方形のいずれの隙間においても,一辺が4cmの場合に通り抜けを断念した.以上より,アマミノクロウサギの通り抜けによる侵入を防ぐことができる物理柵の網目サイズは一辺が4cm以下であることが示された.

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