山階鳥類研究所研究報告
Online ISSN : 1883-3659
Print ISSN : 0044-0183
ISSN-L : 0044-0183
20 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 黒田 長久
    1988 年 20 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1983-85年の間行われた11回の日本-北米間北太平洋往復海鳥洋上調査からコアホウドリDiomedea immutabilisとクロアシアホウドリD.nigripesの年を通しての洋上分布を比較した。観察総時間2976時でコアホウドリは2963羽,1回当り22.1羽,クロアシアホウドリは1472羽,1回当り7.9羽となり,前者は集中分布性,後者は分散分布性を示した。これはコアホウドリのイカ主食性とクロアシアホウドリの魚主食性を反映すると思われた。前者の集中は太平洋中部と西北海域にみられ,後者はハワイ-北米間(前者の出現しない)の東南海域に広く分散していた。従って水温記録はコアホウドリ2~26°C,クロアシアホウドリ3~29°Cの範囲を示した。なおコアホウドリは夜間性(暗視適応)の高いことが知られている。この研究はトヨタ財団助成金により,トヨタ自動車輸送船に同乗して実施された調査の一部である。
  • 中村 浩志, 輪湖 義治
    1988 年 20 巻 1 号 p. 21-36
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1.コガラの貯食行動に関する調査を,自然状態での群れ行動の観察および餌付けにより,長野県菅平高原で行った。
    2.コガラは4月から8月にかけ,鱗翅目や膜翅目昆虫の成虫や幼虫を食べており,これらが餌内容の88%以上を占めていた。秋の9月以後は,種子食へと変化し,冬の間は秋に貯蔵した貯蔵餌の採食が,全体の7割以上を占めていた。
    3.貯蔵は繁殖期にも行われているがきわめてわずかであった。貯蔵は,8月以後の秋の時期に活発に行われ,最盛期の10月には取った餌の86.3%が貯蔵されていた。冬から春先には,積雪により貯蔵ができなくなるため,ほとんど行われていなかった。
    4.貯蔵は,ほとんど樹上に行われており,53.9%が針葉樹,残りが広葉樹に行われていた。コガラは,アカマツ,ミズナラ,ダケカンバといった樹皮がむける性質の樹木に好んで貯蔵し,逆にミズキ,ブナなど幹がすべすべした樹木はさける傾向があった。
    5.貯蔵場所は,樹皮のすき間が最も多く,全体の67.9%を占めていた。その他は,枝の割れ目,マツカサのすき間,幹についたコケ•地衣類などで,いずれもすき間に貯蔵が行われていた。
    6.8月以後は,複合家族群が形成された。繁殖した個体は,群の行動圏全体に広く貯蔵しており,繁殖した場所など,個体による特定地域への貯蔵場所の集中はみられなかった。
    7.群の個体間には,明確な順位が存在したが,貯蔵量は必ずしも順位とは関係していなかった。しかし,雄の方が雌より,若鳥より成鳥の方がやや多く貯蔵していた。
    8.貯蔵期間は比較的短く,全体の74%が貯蔵した日から6日間以内に消失した。しかし,貯蔵物の移し替えが頻繁に行われており,秋に貯蔵された餌は,秋から冬を通しコガラの重要な餌となっていた。
    9.コガラの貯食行動の特性についての考察を行った。
  • 桑原 和之, 小林 美奈子, 鈴木 康之
    1988 年 20 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    From April, 1985 to March, 1986, Black-headed Gull Larus ridibundus, Bonaparte's Gull L. philadelphia (a straggler), Herring Gull L. argentatus, Slaty-backed Gull L. schistisagus, Black-tailed Gull L. crassirostris and Mew Gull L. canus were observed at the mouth of Tama-river, which forms the boundary between Tokyo-Metropolitan and Kanagawa Prefectures. The main species were Black-headed and Black-tailed Gulls in this estuary. The Black-headed Gull was dominant in winter whereas the Black-tailed Gull replaced it from July to September. Other four species occurred only in small numbers.
  • Monisha Mukherjee
    1988 年 20 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    この研究では,キムネコウヨウジャク Ploceus philippinus におけるエピネフリンepinephrineの睾丸への著しい退化作用を確認した。また,duvadilanとの共用による睾丸の活性回復は擬交感神経的なアミンの血管収縮作用を証明する。同様な睾丸の反応はFSH-生殖腺刺戟ホルモンとエピネフリンの共用の後でもみられた。
  • Joysree Banerjee, Dhananjay Pal, Asok Ghosh
    1988 年 20 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,自己および他の個体の籠におけるドバトの雄の行動について観察した。また,この際ホルモンのどのような相互作用が働くかを調べた。主な結果は次のようである。
    1.なわばりをもつ個体は常に争いに勝った。
    2.雌雄の認知はいろいろな動作が信号となる。
    3.雄の求愛となわばり行動は共にテストステロンに依存している。
    4.雌ではなわばり行動はない。
  • ブラジル マーク
    1988 年 20 巻 1 号 p. 51
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    ミツユビカモメRissa tridactylaの日本南限は北九州と鳥島だが,筆者は沖縄県西表島で1983年1月3日に成鳥1羽を目撃した。
  • ブラジル マーク
    1988 年 20 巻 1 号 p. 52-53
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    筆者は,1987年7月12日,小笠原諸島父島出港2時間以内の北帰航路でオオシロハラミズナギドリPterodroma externa cervicalis1羽を100m以内の矩離で確認した。これは名古屋への迷鳥記録(1962年)以後日本領海初記録となる。小笠原航路は海鳥観察に好適で他に7種を記録した。
  • マーチンス ロッド
    1988 年 20 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    1980年3月8日から5月14日の間,日本主島および属島の鳥類を調査した。シロハラミズナギドリsp.,アカアシミズナギドリ(冬記録),チシマウガラス,アカツクシガモ,カンムリウミスズメ,ヒレンジャク、カヤクグリ,シラガホオジロの記録についてのべた。
  • 黒田 長久
    1988 年 20 巻 1 号 p. 57-70
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    The homeostasis (Cannon, W. B. 1932) denotes the "dynamic stability" widely applicable in biological phenomena of physiological (originally proposed by Cannon), morphological, ecological, genetic, as well as developmental aspects. Its mechanisms are related with all sorts of intrinsic adaptive inter-relationships among parts and between parts and whole (endoadaptations), under extrinsic influential factors (exoadaptations).
    The homeostasis comprises mechanisms of "balance" (phenomenal stableness), "equilibrium" (functional stability), "compensation" (adaptive organic relations), and "stability" (constancy under varying external factors), and it involves self-regulatory mechanisms which contribute to the persistence of dynamic stability. It also involves the developmenal "genetic canalyzation or assimilation" of Waddington (1942), and evolutionary "stabilizing selection" or "stasigenesis" (Schmalhausen 1941) as well as "normalizing selection" (Waddington 1942), and functional "rationalization" (Rensch 1960).
    In this paper, the homeostasis is discussed under the items of: 1. Physiological homeostasis (originally by W. B. Cannon, 1932, "The wisdom of the body") 2. Genetic homeostasis (to be referred to Lerner, 1954, "Genetic homeostasis") 3. Genetic stability (Hardy-Weinberg law, 1908) 4. Homeostasis in population genetics (cf. Mayr 1963) 5. Genetic inertia (Darlington & Mather 1949) 6. Morphological homeostasis (cf. Rensch 1960, Mayr 1963, Kuroda 1954, "character-complex", "habit-forms", "compensatory adaptation" etc.) 7, 8, 9, Ecological homeostasis (various aspects, to be referred to Trojan 1984, "Ecological homeostasis") 10. Homeostasis of coexistence (exemplified by birds vs. mammals) 11. Homeostatic aspects in human society as compared with animal world 12. Climatic homeostasis (dynamic stability of short and long term climatic cycles).
feedback
Top