山階鳥類研究所研究報告
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32 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • オスはいつメイトガードをやめるか?
    濱尾 章二
    2000 年 32 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    一夫多妻を目指すオスにおいて,第2メスを誘引する行動が第1メスのメイトガードに影響するかどうかを,コヨシキリを材料にして1997年に埼玉県で調べた。メスの受精可能期にはその後の時期よりも,オスがメスの5m以内にいる時間が長く,またオスーメス間の距離も近かった。オスはメスの動きを追尾したが,メスはオスを追尾しなかった。オスによるなわばり侵入は,独身オスのなわばりよりも営巣メスがいるなわばりに対してよく起きていた。ある侵入オスは,つがいオスがいない時にそのなわばりの受精可能なメスに求愛した。これらのことはつがい外受精の起こる可能性を示唆している。オスの中には,つがいメスの産卵期にさえずりを再開して一夫多妻を目指すものがいたが,この場合さえずりを再開するとメイトガードをしなかった。さえずりを再開した3羽のオスのうち2羽は,初卵産下日にメイトガードをやめ,明らかに受精可能なメスが防衛されない状態に置かれた。これに対して,さえずりを再開せず一夫一妻のつがい関係を維持した3羽のオスは,受精可能期を通してメスをガードした。第2メスの誘引をはかることは,第1メスのメイトガードを制限する要因になっていると思われる。
  • 高木 昌興
    2000 年 32 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    大洋島である大東諸島南大東島で繁殖するモズLanius bucephalusは1973~74年頃に増加し始めた隔離個体群である。このモズ個体群の羽色および翼式,外部形態計測値を記載し,島内の分布状況,個体群性比,繁殖生態について調べる目的で,1998年1~2月,4~5月に調査を実施した。過去の調査でモズとアカモズL.cristatusの1亜種lucionensisとの交雑の可能性が指摘されていたので,現在生息しているモズのいくつかの形質をアカモズと比較した。羽色および形態から,現在南大東島に生息しているモズは,モズだけの特徴を持っていると判断された。モズは島内の代表的な環境すべてに生息し,1kmあたりの個体数は雄で2.1個体,雌では1.6個体であった。南大東島では1月下旬から産卵を開始し,4月上旬まで産卵が行われることが明らかになったが,それ以降産卵が行われるかどうかは不明である。モズは6種の樹木に営巣したが,畑と畑の間の防風樹として植栽されている常緑照葉樹のテリハボクが営巣場所として最も多く,全体の65%(13/20)を占めた。全樹種をまとめた巣の平均地上高は252cmであった。
  • 浅川 満彦, バルス V., テノラ F., 村田 浩一
    2000 年 32 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    先に日本で飼育されているコウノトリ(Ciconia boyciana)から検出されたThelazia(Thelaziella)sp. について最終的な同定をする目的で,走査電子顕微鏡を用い形態を観察した。その結果,この種は T.(T.)aquillina と同定され,その微細構造に関していくつかの形態学的新知見を得た。
  • 1.カツオドリ Sula leucogaster の表層筋肉写生図
    黒田 長久
    2000 年 32 巻 1 号 p. 31-33
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    カツオドリ1個体の皮下表層筋肉を写生し図示した。胸部の皮下には海綿状空気層がある。腿内面の2ケ所に気嚢があり,後翼張筋 m. tensor metapatagialis は4本の紐状筋が円錐形の気嚢を形成している。大胸筋は主部 proprius,側方部 lateralis,深部 profundus のほか,中部 medius が側方部の上に密着(独立せず)した状態の筋層として存在する(Kuroda1961参照)。
  • 渡辺 朝一
    2000 年 32 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 2000/05/31
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    An American Golden Plover Pluvialis dominica, in non-breeding plumage, was observed feeding with 24 Pacific Golden Plovers Pluvialis fulva at Okubo rice field, Urawa, Saitama Prefecture, central Honshu, on 4 April 1987. It was photographed, and confirmed to be the first record of this species from Honshu, Japan.
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