昆蟲.ニューシリーズ
Online ISSN : 2432-0269
Print ISSN : 1343-8794
4 巻, 4 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 吉川 貴浩, 井出 幸介, 窪田 康男, 中村 好宏, 武部 寛, 草桶 秀夫
    原稿種別: 本文
    2001 年 4 巻 4 号 p. 117-127
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2018/09/21
    ジャーナル フリー
    ゲンジボタルのミトコンドリアND5遺伝子をコードする塩基配列を用い, 地域個体間の遺伝的類縁関係を調べた.108地域から得られた307個体について909bpの塩基配列を調べたところ, 131のハプロタイプが検出された.次に, 塩基配列に基づき, 分子系統樹を作成したところ, これらのハプロタイプは大きく4つのグループに分けられることが明らかとなった.これらのグループのうち, グループIとIIの分布はフォッサマグナ地帯を境界として東日本地域と四国を含む西日本地域に分かれた.本州における両者の分布は, ほぼフォッサマグナを境に, 発光間隔が約2秒間隔の西日本タイプと約4秒間隔の東日本タイプに分かれることと一致した.九州では, 中央構造線を境に, 南側のグループIIIと北側のグループIVに分かれた.
  • 清水 徹, 川崎 建次郎, 日本 典秀
    原稿種別: 本文
    2001 年 4 巻 4 号 p. 129-141
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2018/09/21
    ジャーナル フリー
    分布北限付近で行った採集調査および耐寒性についてのヒメハナカメムシ類4種間の比較研究の結果をもとに, タイリクヒメハナカメムシOrius strigicollis (Poppius)の北方分布を制限している要因について考察した.本種の北方分布は冬の低温に制限されており, 基本的に1月の最低気温が-1℃を切らず, 冬期を通じての冬日(最低気温が0℃を切る日)日数が50日以内になる海岸部と都市部に分布していた.耐寒性試験の結果, タイリクヒメハナカメムシ休眠個体の0℃における生存期間が, この種よりも北にまで分布するナミヒメハナカメムシやコヒメハナカメムシの生存期間よりも短く, タイリクヒメハナカメムシの北方分布が冬の長さによって制限されていることが示唆された.関東平野においては, 都市の温暖化(ヒートアイランド)によって本種の分布が都市部に拡大している可能性が示唆された.冬日日数50日を指標にして日本列島全域における過去および現在のタイリクヒメハナカメムシの分布を推測し, 日本列島における都市温暖化が本種の分布に及ぼす影響についても考察した.
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