MEDCHEM NEWS
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最新号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
巻頭言
創薬最前線
  • 小池 哲央
    2024 年 34 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    再生医療とは、患者自身の細胞・組織または他者の細胞・組織を培養等加工したものを用いた医療と定義されており、希少疾患や難病等、これまで有効な治療法がなかった疾患の治療ができるだけでなく、慢性疾患や高齢化に伴う疾患に対しても効果が期待でき、医療費の抑制等の経済効果も大いに期待されている。今後市場が拡大していくことが期待されるが、ますます再生医療を普及させ、実用化を促進するためには、安定して高品質な再生医療等製品を低価格で提供する必要があり、課題が山積みの状況である。それらの課題の克服のため、当社でのロボットを活用した事例等、再生医療の実用化に向けた取り組みを紹介する。
WINDOW
  • 高橋 明彦
    2024 年 34 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    近年、「多様性」もしくは「ダイバーシティ」という言葉がさまざまな媒体で取り上げられており、我々の創薬の現場においてもその重要性が広く認識されている。一方で、「多様性」という言葉についてはさまざまな意味で使われており、多様性とは何か、また多様性がどのように創薬に貢献できるかという点については、各個人で意見が異なると思われる。筆者は幸運にも2019年4月から約1年半、米国で研究生活を送る機会を得た。この海外での研究生活において学んだ「多様性」について、以下に私見を記したい。拙文ながら、皆様の研究生活に少しでもお役に立つことができれば幸いである。
DISCOVERY 2023年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
  • 山元 康王, 佐藤 篤史, 諸熊 賢治, 宮代 昌彦, 鈴木 毅
    2024 年 34 巻 2 号 p. 74-79
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    メラノコルチン1受容体(MC1R)作動薬は、メラニン形成の促進や炎症および線維化を抑制することが期待される。実際に合成ペプチドであるafamelanotideが、皮下インプラント製剤として赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)に対して欧米で承認されている。筆者らは患者さんの利便性を大きく改善する経口剤を目指し、強力なアゴニスト活性と薬物動態および安全性を両立する化合物の創出に挑戦した。多くの試行錯誤の結果、「カルボン酸の導入」「ピロリジン環へのF原子導入」「イミダゾールアミドから三級アミドへの変換」のブレイクスルーを経てMT-7117を見出した。本剤は2024年4月現在、EPPおよびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)に対して国際共同第3相臨床試験を、全身性強皮症(SSc)では第2相臨床試験を実施中である。
  • 小松 徹, 渡邉 力也, 水野 忠快, 本田 一文, 坂本 眞伍
    2024 年 34 巻 2 号 p. 80-87
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    生体内には数千種類を超える酵素が存在し、これらの活性異常が疾患と関わる例が数多く知られている。一方で、疾患と機能の関わりの理解が進んでいない酵素は数多く存在し、筆者らは、がんをはじめとする疾患における酵素活性の変化を網羅的に解析し、疾患と関わる活性異常を新たに見出すことを目指す「enzymomics(enzymeのomics)」研究を進めてきた。近年、翻訳後修飾、タンパク質間相互作用などによって多様な分子種を生成するタンパク質の解析において、個々の分子種「proteoform」の違いを区別して機能解析を行うことの重要性が示唆されているが、疾患と関わるproteoformレベルの機能異常を見出すことが可能な方法論として、1分子レベルのタンパク質機能解析を可能とする技術を用いて、疾患と関わる血中の酵素活性異常を見出すことを目指した研究についてご紹介させていただきたい。
DISCOVERY 2023年度 日本薬学会 医薬化学部会 BMC/BMCL賞 受賞
  • 進藤 直哉, 田中 雄大, 谷川 敦哉, 王子田 彰夫
    2024 年 34 巻 2 号 p. 88-92
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    コバレントドラッグは標的タンパク質と不可逆的に結合し、強く持続的な薬効を示す。近年、システイン残基を狙ったコバレントドラッグ創薬が隆盛だが、標的可能なタンパク質は限られている。コバレントドラッグ創薬における“Beyond cysteine”は重要な課題であり、特にプロテオーム中に豊富に存在するリジン残基を狙うことで、大幅な標的拡大が期待できる。しかし、生体内での高い安定性とアミン選択性を兼ね備えた求電子基の欠如が、リジン標的創薬の障壁となっている。筆者らは、新たなアミン反応性求電子基として、2-シアノアレーンスルホンアミド(CNS)を見出した。CNSは優れた水中安定性を示し、環鎖互変異性を伴う新規な機構で化学選択的にアミンをラベル化する。本稿では、CNSの反応性プロファイルや、熱ショックタンパク質90のLys58を狙ったコバレントドラッグへの応用について紹介する。
  • 南條 毅, 松元 彩香, 大下 拓真, 竹本 佳司
    2024 年 34 巻 2 号 p. 93-96
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    異常アミノ酸や大環状骨格等の特異構造を多く含むペプチド化合物は、中分子創薬における一大モダリティとして近年大きな注目を集めている。その多彩な誘導体を供給できる化学合成法の実現は重要な研究課題であり、特に伸長後のペプチド鎖に対する直接的な構造改変が実現できれば、すでに手元にある親ペプチド化合物を基に迅速な誘導体供給が可能となる。しかし、既存の手法は変換の足掛かりとして側鎖の反応性官能基を利用するものがほとんどであり、高い特異性が期待できる反面、適用できる基質は限られていた。本稿では筆者らが最近開発を進めている、ペプチド主鎖を構成するアミドを反応の足掛かりとすることでアミノ酸残基の種類に依らず変換できる「N-クロロペプチド法」について紹介する。
SEMINAR
  • 伊藤 肇
    2024 年 34 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    メカノケミカル有機合成は、従来の有機合成とは異なり、反応容器としてボールミルなどの粉砕機を用いる。この方法は、反応溶媒の大幅な削減、反応速度の向上、容易な操作、難溶性化合物の反応が可能になるなどの利点がある。筆者らは過去 5年間で、パラジウム触媒によるクロスカップリング反応のほか、難溶性化学物の反応開発、Grignard試薬などの有機金属化合物の合成、高速なBirch還元、圧電材料を用いたメカノレドックス反応の開発などの成果を上げ、メカノケミカル有機合成の有用性を示した。
Coffee Break
REPORT
  • 駒谷 優弥
    2024 年 34 巻 2 号 p. 106-108
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
    14th Asian Federation for Medicinal Chemistry (AFMC) International Medicinal Chemistry Symposium(AIMECS 2023)が、2023年6月25日から28日までの4日間、韓国・ソウルにて開催された。今回は“New Era of Medicinal Chemistry: Challenges and Opportunities”が主題であり、さまざまなモダリティに関する講演が設定され、基礎から応用まで、幅広く創薬化学の知見を深めることができた。本レポートでは、参加報告として、学会の概要と現地の様子、発表内容について紹介する。
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