神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集
  • 奥 英弘
    2020 年 37 巻 3 号 p. 263
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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  • 神前 あい
    2020 年 37 巻 3 号 p. 264-273
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

     甲状腺眼症に対する消炎治療の効果と限界を検討した.ステロイドパルス治療単独では60-75%,放射線治療単独では44-53%,両者併用では66%に治療効果がみられた.初診時に複視のみられた症例のうち最終的に斜視手術に至った症例は16.5%であった.とくに第一眼位で複視のあった症例では30.3%は斜視手術が必要であった.上眼瞼後退は消炎治療が効果的で手術症例は1%未満であった.視神経症に関しては消炎治療後に眼窩減圧術に至る症例は22.3%で,特に治療前に矯正視力が0.1未満の重症例では,58.3%と半数以上であった.甲状腺眼症の複視と視神経症に関しては消炎治療の限界があり外科的手術が必要な症例がみられた.

  • 木村 亜紀子
    2020 年 37 巻 3 号 p. 274-279
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

     甲状腺眼症の斜視に対する術式決定の考え方を呈示した.頻度の高い上下斜視,特に下直筋が罹患筋の場合を中心に述べた.下方視で上下偏位が少ないため,下方視で複視が生じないように目標眼位を設定する必要がある.罹患筋が片眼の下直筋で上下偏位が高度な場合は患眼の下直筋後転と反対眼の上直筋後転を選択し,両眼の下直筋が罹患筋の場合,顎上げの頭位異常と正面視での上下斜視の矯正を目的に,左右差をつけた両眼の下直筋後転を行い,外方回旋偏位の合併があれば下直筋鼻側移動術を併用する.最近では,甲状腺眼症の斜視に対するボツリヌス治療の有効性も報告が相次いでおり,斜視手術とボツリヌス治療を併用することにより,さらに甲状腺眼症の斜視に対する治療成績が向上するものと期待される.

  • 高橋 靖弘
    2020 年 37 巻 3 号 p. 280-284
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

     醜形は甲状腺眼症の合併症の一つであり,眼周囲の軟部組織の容積が増えたり,眼周囲組織が拘縮したりすることによって引き起こされる顔貌の変化を指す.手術の最終目標は,出来る限り顔貌を正常の状態に近づけることである.本稿では,甲状腺眼症における醜形に対する手術のうち,上眼瞼眼輪筋後脂肪切除術,baggy eyelid修正術,及び眼球突出に対する眼窩減圧術について,概要を述べる.

  • 三村 真士
    2020 年 37 巻 3 号 p. 285-292
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

     甲状腺眼症は病期や程度により多彩な症状を呈する炎症性疾患である.この炎症が原因となって,視機能障害や中顔面の形貌変化に起因した精神的な障害を引き起しうるが,炎症コントロールをもってしても改善できない形態変化に対しては外科治療が適応となる.CTやMRIなどの画像検査が発達する1980年代以前は,外科治療による合併症の多さが治療に踏み切る妨げとなることが多かったが,手術手技自体の向上に加えて近年では画像診断の向上およびナビゲーションシステムや内視鏡などの治療支援装置の発展,治療材料の進化による恩恵を受け,より安全にかつ効果的な外科治療を行えるようになり,現在では炎症コントロール目的にさえ外科治療を行うまでに発展してきている.眼窩および眼瞼を含めた眼窩周囲組織の外科治療を用いて,視機能のみならず,中顔面の形貌変化をできるだけ発症以前に近づける工夫が日々なされている.

原著
  • 田原 映理, 木村 亜紀子, 岡本 真奈, 大北 陽一, 笠間 周平, 五味 文
    2020 年 37 巻 3 号 p. 293-297
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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     複視で当科を初診した抗ガングリオシド抗体が陽性であった症例の眼球運動障害の特徴と予後について検討した.対象は,抗ガングリオシド抗体のいずれかが陽性であった24例(男性10例,女性14例,平均年齢42.3±23.0歳)で,抗GQ1b抗体のみ陽性のA群,抗GQ1b抗体とそれ以外の抗ガングリオシド抗体が陽性のB群,抗GQ1b抗体が陰性のC群に分類した.A群は3例,全例外転神経麻痺を呈し,自然寛解した.B群は10例,90.0%が外転神経麻痺を呈し,全外眼筋麻痺も2例含まれたが,70.0%で自然寛解した.C群は11例,外転神経麻痺は45.5%,自然寛解は45.5%で,11例中6例(54.5%)で斜視が残存し,4例に斜視手術を要した.男女比はそれぞれ,1:2,7:3,1:10で,C群で有意に女性の占める割合が多く(P=0.007),C群は積極的な治療後も,斜視が残存する危険性が高かった.

症例報告
  • 三原 顕, 石川 裕人, 木村 亜紀子, 岡本 真奈, 五味 文
    2020 年 37 巻 3 号 p. 298-302
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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    目的:箸外傷による末梢性動眼神経麻痺の一例を経験したので報告する.

    症例:初診時7歳男児.友人との喧嘩で箸が右眼にあたり直後より眼瞼下垂,眼球運動障害を認めたため,当院に紹介受診.外眼部所見からは穿刺部位は不明であったが,右眼の結膜充血・眼瞼下垂・中等度瞳孔散大・上転障害・内転障害を認めた.右裸眼視力は1.2であり内眼部に特に異常を認めなかった.右動眼神経麻痺の診断のもと,CTにおいて右眼窩内の内眼角下方に高吸収領域と気泡が描出された.感染予防目的で抗生剤を投与し,受傷後2週間で対光反射の正常化を認め,2か月後に眼瞼下垂の改善,4か月後には眼球運動制限も改善した.

    考案:治癒までに4か月を要した小児の末梢性外傷性動眼神経麻痺を経験した.視力は保たれており視神経障害は考えにくく,受傷経路は,箸が眼窩内側から眼球赤道部を超えて刺入し,動眼神経下枝(瞳孔線維)の直接損傷と眼窩内浮腫や炎症の波及による圧迫性障害による上枝の間接損傷をきたしたと考えられた.明らかな外傷を認めない場合でも確定診断に画像検査が有用なこともあり注意が必要である.

  • 細川 満人, 小野 恭子, 熊瀬 文明, 戸島 慎二, 望月 夕子, 藤井 聖子, 岡野内 俊雄
    2020 年 37 巻 3 号 p. 303-310
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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    目的:陳旧性前部虚血性視神経症(AION)の診断にOCT angiography(OCTA)が有益と考えられた症例を経験したので報告する.

    症例1:62歳,男性.16か月前に右眼の急激な上方視野障害を自覚.初診時視力右(1.0),左(1.5).GPで右眼上方に深い暗点を伴う水平性視野障害があり,視神経乳頭の色調は蒼白.FAは早期の脈絡膜充盈遅延を認めるも後期は有意な所見無し.OCTAで扇型の放射状乳頭周囲毛細血管(RPC)の密度減少を認めた.

    症例2:75歳,男性.15か月前に右眼の急激な下方視野障害を自覚.初診時視力右(0.4),左(0.6).GPで右眼鼻下側に深い暗点を伴う水平性視野障害があり,視神経乳頭所見から緑内障を合併していると考えられたが,急激な視野障害を説明できなかった.FAは有意な所見無し.OCTAで扇型のRPC密度減少を認めた.

    結果:急性の水平性視野障害からAIONが疑われるも眼底所見,FAは有意な所見が無かった.OCTAで視野障害と対応するRPC密度減少を認め,陳旧性AIONの可能性があると考えられた.

    結論:陳旧性AIONの補助診断にOCTAが活用できる可能性がある

  • 眞弓 京, 浅田 洋輔, 横山 利幸
    2020 年 37 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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     76歳,男性.初診5か月前にマントル細胞リンパ腫と診断され化学療法施行するも奏効しなかった.左上眼瞼腫脹を主訴に初診.左上眼瞼に2 cmの腫瘤,眼球運動障害と高眼圧を認めた.眼瞼腫瘍生検術を施行し,病理診断検査の結果マントル細胞リンパ腫の転移の診断となる.経過中に上眼瞼腫瘍の急速な増大と対光反射減弱を認め眼窩への浸潤が予測された.画像検査にて数日で腫瘍は上眼瞼から眼窩に波及し,圧迫性視神経症を来した.化学放射線治療後,上眼瞼腫瘍は著明に縮小,対光反射は改善した.マントル細胞リンパ腫は今回の症例の様に稀ではあるが急速な増大を認め,腫瘍による圧迫性視神経症を来すことがあり,早期診断早期治療介入が必要である.

  • 田沢 綾子, 植木 智志, 清河 慈, 羽入 貴子, 畑瀬 哲尚, 福地 健郎
    2020 年 37 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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     眼球運動制限を伴う固定内斜視を呈する強度近視性斜視に対する術式として上外直筋結合術の効果は確立されている.一方,画像上眼球の筋円錐からの脱臼がみられるが眼球運動制限を伴わない強度近視性斜視に対する上外直筋結合術の効果についての報告は少ない.我々は眼球運動制限を伴わない強度近視性内斜視に対して上外直筋結合術を施行し,術後約6年間経過観察を行うことができた症例を経験した.画像上両眼に筋円錐からの脱臼がみられたが,程度のより強い右眼に上外直筋結合術を施行した.術後,内斜視は改善したが術眼が上斜視となり僚眼の下直筋後転法を施行した.経過良好だったが上外直筋結合術施行から5年後に水平性複視が増悪し,プリズム組込眼鏡装用で複視は改善した.本症例の経過と既報から眼球運動制限がなく両眼に眼球の脱臼がみられる強度近視性症例では,両眼の上外直筋結合術を計画するのが良いと考えられた.

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入門シリーズ117
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  • Nisa Filipa Pinho da Silva, Luísa Oliva Teles Malheiro, Luís Miguel Me ...
    2020 年 37 巻 3 号 p. 339-344
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/30
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     Carotid cavernous fistulas(CCF)are abnormal vascular communications between the carotid artery and cavernous sinus. We report a case of a patient previously diagnosed with bilateral openangle glaucoma that presented to the emergency department with a 6-month history of redness in the right eye. Glaucoma’s therapy optimization was proceeded upon a right intraocular pressure elevation(IOP)of 32 mmHg. One month later, he presented with proptosis, chemosis, and ophthalmoplegia in the right eye, leading to the diagnosis of ipsilateral dural CCF. These fistulas can present with subtle and progressive symptoms, requiring a high degree of suspicion. Embolization treatment, when indicated, is effective in rapidly reversing the ocular manifestations, including IOP elevation.

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