最近注目されている電子メディアが学術情報流通において果たす役割に関して考察した。その際, 電子メディアの持つ技術的利点にのみ注目するのではなく, 科学者達による独特な性質をもつ科学コミュニケーションの観点から考えた。医学, 心理学, 物理学, 歴史学分野における日本の研究者の電子メディア(電子メール, メーリングリスト, WWW, 電子雑誌)利用状況調査を引くことで, 研究者は全般的には電子メディアを利用しているが, 電子雑誌の利用に関しては分野による差が大きいことを示した。出版杜・学会による学術雑誌を中心とする既存学術情報流通システムに対して, 電子メディアを利用することによって初めて可能となるオープンアクセスな流通のあり方の提案に関しても検討した。
抄録全体を表示