環境情報科学論文集
Vol.21(第21回環境情報科学学術研究論文発表会)
選択された号の論文の109件中51~100を表示しています
  • 奥村 清香, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 297-302
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究では,ホスト国の持続可能な発展(以降SD と表記)に貢献するCDM プロジェクトの推進を目的とし,プロジェクトのSD 貢献度算出ツールを構築し,これを用いて具体的なCDM プロジェクト67 件を評価した。その結果,SD 貢献度はメタン関連プロジェクトで高い傾向にはあるが,プロジェクトの種類等から一意に決まるものではなく,個別評価が必要との示唆を得,提案手法の有用性が示された。また,DEMATEL 法を用いてSD 指標を階層構造化することで,指標間の影響関係を体系的に捉えることができ,またDEMATEL 分析結果より重みを算出することで,プロセスを簡略化することができた。
  • アジア5都市の事例から
    川本 清美, 井村 秀文
    p. 303-308
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    廃棄物管理においては,3R(発生抑制,再使用,再生利用)を先進国だけでなく途上国にも推進することが議論されている。中でも,市民の消費活動に由来する都市廃棄物の3Rには,参加が重要である。よって本研究では,途上国の都市廃棄物管理において3R政策を推進するため,市民参加の現状を整理し,今後の課題を検討した。アジア5都市の事例を用い,3Rに関する問題認識,政策策定,実施,管理の段階に沿った分析を行った。今後の課題として,3Rに関するコンセンサスを高めること,現在の参加実態を活用するような仕組みづくり,また分散的に行われている参加を廃棄物管理政策に統合していくステークホルダーの必要性が示唆された。
  • 金岡 省吾, 岩谷 祐子, 市村 恒士, 島田 正文
    p. 309-314
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究は,マーケティング理論の活用,および目標管理型事業運営へと貢献する消費者行動研究の観点から,中心市街地への回遊性創出イベントに対する来街者の評価と回遊性創出の可能性を検証することを目的に実施した。結果として,当該イベント事業は中心市街地への来訪契機となり,中心市街地への回遊性を創出している点を明らかにし,総合評価に影響を及ぼす要因や,次年度以降のイベント事業の見学意向に影響を及ぼす要因を特定化し,さらに,当該イベント事業の総合評価の向上が,次年度以降のイベント事業の見学意向の向上や,駅前中心市街地の利用意向の向上へと寄与することを明らかにした。
  • 真田 康弘
    p. 315-320
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」採択に際して最重要論点の一つとなったのが,「海からの持込(Introduction from the Sea)」に関連する規定と付属書における鯨類の取り扱いであった。これらは鯨類の保護強化を目指す米国のイニシアティブによるものであり,当時最大の捕鯨国であった日本と鋭く対立した。そこで本小論では,制度的相互連関に関する議論を踏まえつつ,事実の経緯を辿るとともに,米国は極めて強く当該規定を推進した一方,結果としては国際捕鯨委員会の規定におおむね即するかたちで決着が図られたことを明らかとするものである。
  • 羅 勝元, 成 炫賛, 井上 堅太郎, 泉 俊弘, 待井 健仁
    p. 321-326
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究は,韓国の地方自治の変遷と環境政策における国と地方の役割分担に着目し,憲法,地方自治法,環境政策基本法,その他5つの環境法に基づく地方の環境保全上の役割に関する条項を調査・分析した。また,京畿道を中心に,地方自治体の条例制定などによる環境政策の現状などについて研究を行った。地方自治が本格化した1990年代半ば以降,広域自治体の環境関係条例の制定,環境汚染物質排出事業所に対する規制権限の委譲,京畿道の取り組み事例などから環境政策における地方の役割は拡大してきている。一方,各広域自治体は環境行政施行体制の強化や環境政策導入の促進などが課題である。
  • 本田 智則, 田原 聖隆
    p. 327-332
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    トリプルボトムラインの概念によると,持続可能な社会を実現するためには,環境問題の解決のみではなく,経済側面や社会側面への対応が必要である。環境側面,経済側面については多くの評価手法が存在するが,社会側面についてはそれを評価する手法が無いだけではなく,何をもって社会影響とするのかについても明らかではない。そこで,本研究では人々が理想とする社会を実現するために求められる保護対象が何かを国際宣言や国際条約に描かれている理想の社会像から導いた。また,得られた保護対象に3675人へのアンケート調査によるAHPを用いて重み付けを行い,効率的な社会影響評価手法の開発に資することとした。
  • 河本 薫, 下田 吉之
    p. 333-338
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    スーパーコンピュータおよびクラスタコンピュータの電力消費量を実測調査し,これら大型コンピュータのエネルギー消費効率の定義について検討した。計測結果から,エアコンや自動車と異なり,大型コンピュータの電力消費量のうち効用(計算量)と比例する部分は小さい。さらに,大型コンピュータの設置台数はその性能に反比例することを考慮すれば,そのエネルギー消費効率は,省エネルギー促進という役割を担った規制指標として有効であるには,最大計算速度と平均消費電力の比率が適切な定義と考えた。なお,最大計算速度には実効値と理論値があるが,理論値を用いたエネルギー消費効率は実態を反映できない場合があり,実効値を使用すべきである。
  • 都市・農村計画制度と環境配慮制度の変遷に着目して
    清水谷 卓, 原科 幸彦
    p. 339-344
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    事業よりも上位の計画や政策策定の段階で実施する戦略的環境アセスメント(SEA)は,持続可能な社会づくりのための一手段であり,特に公共事業の必要性の根拠となる公益性の認定に有効であると考えられているが,我が国では,その本格的な制度導入は現在の課題となっている。本研究は,我が国のSEA制度導入に向け参考となる知見を得るため,イギリスの開発規制の根拠枠組みとなっている開発計画制度の枠組みにおけるSEA制度の特徴を把握し,それぞれの特徴の背景を,伝統のある都市・農村計画制度,および環境アセス等の環境配慮制度の二つの文脈から,考察することを目的とした。
  • 高橋 進
    p. 345-350
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    自然保護政策においては,「保護」や「保全」などさまざまな形態があり,その対象も「自然」から「生物多様性」まで幅広い。本研究は,自然保護政策に多大な影響を持つIUCN の総会決議の分析から自然保護用語の変遷を探り,自然保護概念の変化を検証しようとするものである。分析の結果は,「自然」の「保護」から「生態系」や「生物多様性」などの「保全」へ,さらには積極的に手を加える「回復」などへと変遷したことが判明した。また,資源については,植物の遺伝子資源が注目されるようになってきたことが明らかになった。
  • 市原 純
    p. 351-356
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究は,都道府県における環境関連予算額に影響を及ぼす要因を明確にすることを目的とする。とりわけ,政治的要因である知事の党派性の違いや地方議会内の党派別構成の差異が予算額の決定に対して影響を与えるのか,計量分析により検討する。計量分析の結果,知事の党派性の違いが環境予算額への影響を及ぼすこと(非自民党系知事であることが環境予算額を増加させること)が確認された。一方,地方議会の構成の違いが環境関係予算額に有意な影響を及ぼすことは確認されなかった。また,地域の経済水準として用いた県内総生産の変数は環境関連予算額に有意な影響を与えることが確認された。
  • 練馬みどりの機構を事例として
    田中 聖美
    p. 357-362
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究では,樹林地の保全などのみどりにかかわる活動を,各種団体や行政と連携して行っている「練馬みどりの機構」を対象とし,今後この組織が中心となってネットワーク化を進めるための課題を明らかにした。研究の結果,1)今までに関係のあった団体や,イベント等で接したことのある団体との関係を希薄にせず,定期的に情報交換を行うこと,2)みどりに係わる活動を行っている他の市民団体の活動実態を把握すること,3)みどりに関係のある団体ばかりではなく,みどりに関心のある団体にも積極的に働きかけを行い,団体会員の増加を図る必要性があることなどが主な課題として挙げられた。
  • 平尾 直行, 近藤 健雄, 山本 和清, 片山 義行, 大地 康仁
    p. 363-368
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    平成15年9月に指定管理者制度が施行された。本研究は,平成18年9月までに指定管理者制度を導入した自治体を対象に,指定管理の対象とされた施設数,指定管理者に選定された団体の組織内容,指定管理者の選定基準の3項目を調査分析した。指定管理の対象とされた施設は全国で1964件,指定管理者に選定された団体は全国で1327団体であった。その上で,各種法制度や管理者制約のある沿岸に立地する海の公共施設である308施設に注目し,指定管理者の選定項目の内容を分析し特徴を明らかにした。その結果,海の公共施設は自然条件を熟知しているマリーナ安全管理者,ライフセーバー認定者などの人材が求められているなどの特徴があった。
  • 寧 碧波, 田 偉利, 川上 洋司
    p. 369-374
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究では中国西安市の近年整備された二つの街路空間の事例研究を通して,街路空間利用規制導入後の街路空間の活用形態とその形成経緯・要件などについて考察した。その結果,?@街路整備により副次的に生み出された空間も含め,公共空間としての街路において,人々の多様かつ不可欠活動ニーズに基づいて多様な活用形態が現出している。?A法的に違法でありながら,こうした活用形態が黙認されている背景には,利用者や地区住民,さらには末端の行政組織などが一体となった自主管理体制があり,それによって都市交通の整序化,衛生・環境保全,良好な景観形成への負の影響を軽減させている。
  • 中島 敏博
    p. 375-380
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    様々な環境問題が叫ばれる中で,持続可能な都市に向けた計画立案は重要な懸案である。効率的な都市設計においては,福祉,医療や行政サービスの提供,土地利用誘導などを住民の日常行動に応じて設計することが有効と考えた。そこで本研究では,住民が日常よく使う範囲を日常生活圏として規定し,その実態を町丁目単位の5 地区を対象としてアンケート調査によって把握するとともに,より簡便に日常生活圏を予測するためのモデル作りを行うことを目的とした。住民の日常生活圏は1,800m以内の駅や商業施設の影響を受けて生活圏が形成されることが明らかになった。これらの成果をもとに,影響の強さから2 段階の予測モデルを作成し,住民の日常生活圏域の70%以上を予測することができた。
  • 土田 えりか, 堀 紘子, 藤田 壮, 中山 忠暢, 角田 智彦, 高橋 克則, 坂本 義仁
    p. 381-386
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,都市熱環境改善技術とされる保水性舗装などを都市域へ導入した際の効果算定を行うために,AUSSSM の土壌モデルに内包されている重力透水や飽和含水率等の設定の変更を行い改良モデルを構築した。保水性舗装の実測実験データと改良モデルのシミュレーションデータの比較検証により,再現性の評価を行った。実測実験より得られたパラメータを用いて,境界条件として気象データを与えシミュレーションを行った結果,高い再現性があることが確認できた。この結果により,改良されたモデルを用いて著者らが行った,保水性舗装による都市熱環境のシミュレーションより算出された都市冷却効果には有意性があるといえる。
  • 白 迎玖, 三上 岳彦
    p. 387-392
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,中国・上海において高密度自動観測システムを初めて構築し,長期間にわたって気象観測を実施して得られたデータに基づいて,上海における夏季の都市ヒートアイランド(UHI)の実態を解明することを目的とした。2005 年の観測結果によれば,上海においては,7月のUHI 強度の月平均値の最大値は約4.3℃で,8 月のUHI 強度の月平均値の最大値は約3.4℃であった。また,UHI 強度の時間変化,UHI 強度のピーク値の出現は風向と密接な関連があることも解明された。さらに,UHI 強度のピーク値は,20~22 時と0~3 時に現れると同時に,公園緑地のUHI 緩和効果も同一時間帯に最大になることが確認された。
  • 松永 知仁, 畔柳 昭雄
    p. 393-398
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究は,親水公園のもつ微気候形成効果と線状配置の特性を活用することで,ヒートアイランド現象を緩和するCLP(Cool Linear Park)構想を提案するための基礎的調査である。そのため,水と緑のネットワーク化を進めている東京都江戸川区の親水公園を対象に水辺や緑地等の有する気象緩和効果の実測調査を行った。その結果,親水公園内では水面から近接する樹木等の植栽にかけて低温域を形成するとともに,高湿度の分布が確認できた。また,公園域外の街区では親水公園の風下において公園から約30mの範囲で,風上においても公園から約10mの範囲で効果が確認できた。これら親水公園周辺に形成される微気候形成効果を活かすことでCLP 構想の実現を目指す。
  • 大阪市を対象にした検証例
    大橋 唯太, 亀卦川 幸浩
    p. 399-404
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    都市域のヒートアイランド現象によって増加しつつある熱中症の発症を予報する目的で,数値モデルを利用した熱中症予報システムを構築した。この予報システムは,3 次元メソスケール気象モデル,都市空間内の鉛直1 次元大気モデル,冷房排熱の予測モデルによって構成されている。予報システムの精度検証のため,大阪市を対象にして2004 年7 月25 日から8 月14 日までの計21 日間の熱中症リスク評価を温熱指標WBGT によっておこなった。その結果,評価期間全般について,昼夜ともに定量的なWBGT 値の再現に成功し,一般に広く利用されているメソスケール気象モデルだけを用いた場合に比べて格段に計算精度を向上させることができた。
  • 三角 亘平, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 405-410
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    温暖化問題の解決には,その性質上,政策的かつ国際的枠組みの合意が必要不可欠である。一方で,国内状況はというと,枠組みとしての有力な代替案に欠き,国際会議においてやや後れをとっている印象を拭えない。かような前提を踏まえた上で,本研究においては,国内コンセンサス形成の一助たる提案をすべく,ポスト京都の枠組みとして効果的かつ現実的な具体案を模索した。具体的には,AHPにより提案のあるべき方向性を模索し,クロスインパクト法により最尤シナリオを検討し,さらには効果の検証の一例として鉄鋼部門のCO2排出原単位計算を行った。結果として,汎用性の高いセクトラルアプローチを折衷的に用いる案が有力となった。
  • 呂 正, 松橋 隆治, 吉田 好邦
    p. 411-416
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では1990 年以降中国家庭部門の直接消費,間接消費によって発生したCO2を定量評価した。具体的には,中国の地域間,都市と農村間に差異があるという前提に立ち,中国全体及び各地域の都市部と農村部における家庭部門の直接エネルギー消費,そして化石燃料の直接燃焼によるCO2発生量を推計した。また,中国の産業連関表とエネルギー統計データを利用して,中国の1997 年,2002 年環境問題分析用産業連関表を作成し,それを利用して,各地域家庭部門のカテゴリ別最終消費によって誘発された間接エネルギー需要,そしてそこから発生するCO2を推算し,地域差異などを分析した。
  • 林 希一郎
    p. 417-422
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本稿では,英国を中心に,ドイツ,フランス,オランダで導入されている温暖化対策目的の環境税と既存エネルギー関連税との関係を分析した。この結果,第1に,各国の環境税は,気候変動税(英),鉱油税(1999 年以降増税分)と電気税(独),環境汚染事業総合税(仏),エネルギー税と燃料税(蘭)である。第2 に,英の炭化水素油税は環境税的役割を有する。第3 に,英ではビジネス部門を対象に気候変動税,排出権取引,自主協定の政策ミックスを行っているが,運輸,民生家庭部門は炭化水素油税の環境税的要素を活用している。わが国への示唆は既存税の歴史的変遷,役割などを再評価し環境配慮目的の税制を総合的に検討すべきことである。
  • 温暖化影響データベース
    肱岡 靖明, 高橋 潔, 久保田 泉
    p. 423-428
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では,温暖化抑制のための長期目標合意における温暖化影響研究の役割を検討するために,目標合意に関連する重要な論点について整理した。結果,長期目標合意を支援する影響研究の取り組みとして,多地域・多分野に生ずる個別の温暖化影響知見を集計する必要があるとの見解に至った。これを踏まえ,長期目標への合意に資する影響研究知見を総合化した温暖化影響データベースを開発した。本データベースでは,シナリオ・対象年・全球平均気温上昇の共通データをもつ影響知見を格納し,共通データを軸として複数の分野別影響の度合いを同時に比較,評価することが可能である。
  • 佐藤 拓也, 柳井 重人, 木下 勇
    p. 429-434
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    都市とその近郊として千葉市の都川の流域を研究対象地域として選定し,GIS やAHP 等の統計的手法を援用しながら,緑地の環境保全機能の定量化を行った。また,それに基づき,土地利用規制や各種シナリオの評価について検討した。研究の結果,緑地の環境保全機能の定量化手法の特長と課題などが示されたほか,当該地域の環境保全機能は,中,上流域の水田や樹林地が多く分布する地域で高いこと,1974年に比して環境保全機能は大きく低下する一方,環境保全機能が高い地域でも必ずしも十分な土地利用規制がなされていないこと,緑地の保全はもとより積極的な整備や再生が必要であること等が把握された。
  • 河合 素代香, 平田 富士男
    p. 435-440
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,住民の良好な都市景観へのニーズは高まりつつある。これに対して,もっとも効果的なのが都市域の大半を占める住宅の緑化であるが,日本の都市域における住宅地はそう広くはないため,小規模な宅地でもいかに効率よく緑を確保していくかを考えなければならない。このようなことを検討するにあたり,緑を保全する制度として広範囲に適用されている風致地区制度下では多様な緑化手法によって緑豊かな景観が保持されていると思われるため,風致地区内の小規模な住宅地から有用なデザインを抽出し,アンケートにより評価した。ここから,風致地区内の小規模な宅地においては現行の緑被率に生垣や高木植栽に関する規制を加えることで,まちなみ景観のより一層の向上に資することが分かった。
  • 岩手県滝沢村巣子地区の事例からみる成果と課題
    島田 直明, 田中 貴宏
    p. 441-446
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではGIS を利用した住民参加型のコミュニティ環境地図の事例を報告し,その成果と課題を整理することを目的とした。その結果コミュニティ環境地図は環境情報を視覚化し,参加者の間で共有するためのツールとして,また地域の環境に関するデータベースとして有用であることが理解できた。また本事例では住民でも入力が容易なように簡易GIS が作成された。そのため参加者がスムーズに入力することができ,技術提供によって技術的なハードルを下げることが有効であることを確認できた。今後の課題としてはGIS 普及活動や技術協力のための支援体制づくり,事例の蓄積・公開による周知活動といった社会側面を考える必要であろう。
  • 菊池 佐智子, 輿水 肇
    p. 447-450
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    都市型里山のケーススタディに,農業の活性化や大学と地域の交流を目指した農業公園づくりを展開する神奈川県川崎市麻生区黒川の黒川上地区とその周辺を選定して,丘陵地の特性を微地形スケールと植生の具体的内容を組み合わせ「ランドスケープユニット(Landscape Units:L.U.)」で表現した。面積の値を用いた多変量解析と選好性指数から,作成したL.U.は1)地形改変に伴う微地形と植生からみた都市型里山の現状,2)地形改変に由来する自然と都市住民の関係性を特性として持つことが示唆された。そして,このような特性を持つL.U.は,都市型里山の景観構成要素として景観評価に試用することにより,都市住民の心理評価や文化を包括した都市型里山の構造把握を可能にすることが考えられた。
  • 柳 奈保子, 土田 えりか, 藤田 壮, Wong Looi Fang, 山口 直久
    p. 451-456
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,一般廃棄物の資源循環の実現に向けての施策立案とその評価を目的として,川崎市を対象としたGIS によるデータベースと政策シナリオの評価システムを構築した。家庭系・事業系一般廃棄物の発生量分布の推計,効率的な廃棄物輸送を行うための道路ネットワークを考慮した最適な輸送ルートと収集範囲の設定のプロセスとともに,循環型産業施設と処理施設の技術データを用いて廃棄物発生量を定量的に把握し,廃棄物の収集運搬・施設運転に伴うCO2排出量を評価するシステムを構築した。
  • 柄澤 孝和, 本條 毅, 梅木 清, 林 恩美
    p. 457-462
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年九十九里浜のクロマツ林は衰退しており,その現状を把握することが重要な課題である。本研究では,九十九里海岸クロマツ林の植生変化を1974 年の航空写真と2006 年の航空写真を元に,マルチレベルスライス分類法によって解析した。その結果クロマツ林の減少を確認することができた。特にクロマツ林の中央を通る道に接している部分のクロマツ林の減少が大きいことがわかった。また,1974 年のクロマツ林が2006 年に他の状態へ変化した割合を求めた結果,研究対象地内では変化率が場所により大きく異なり,最も頻度の大きい変化率は20~60%であった。
  • 谷 宏, 小林 伸行, 薗部 礼, 王 秀峰, 一条 博幸
    p. 463-466
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    航空機搭載のレーザ測器を利用した土壌水分計測手法を検討した。用いた航空機搭載型のレーザ測器は,1069nm のレーザパルスを照射し,航空機と反射ポイント間の距離だけでなく反射強度も計測できる。室内において人工光の下で異なる土壌水分の条件で測定した土壌の反射率は,レーザ測器の測定波長である1069nm で体積含水率と直線的関係が得られ,レーザ測器による反射データは土壌水分推定に使用可能と判断した。レーザ反射値のキャリブレーションにより反射強度は一次式で反射率に変換できることが判明したので,これらの関係を利用して土壌水分を推定した。推定値と実測値との関係は,高含水率側でばらつきが大きくなったが,概ね良好な推定値が得られた。さらにレーザ反射値の画像を利用して圃場の土壌水分マップが作成できた。
  • 井上 靖雄, 山本 尚理, 柳沢 幸雄
    p. 467-470
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    画像処理によってアスベスト繊維を自動計数するためのアルゴリズムの開発を行った。画像から計数対象物を認識するために,従来の輝度分布の閾値を設定する方法ではなく,対象物の周辺背景の輝度の差に基づくエッジの概念を応用した。アルゴリズムの実装には,市販の画像処理ライブラリを活用した。数 f/Lから数千 f/Lと広い濃度レンジのサンプルにアルゴリズムを適用したところ,従来の目視による計数方法とよく一致することが確認された。同時に,自動化によって多視野の観察が可能になっただけでなく,計数できる繊維数が増加となったので,統計的な計数誤差の低減につながることも明らかとなった。
  • 野々村 敦子, 増田 拓朗
    p. 471-476
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    都市の高温化は近年,大規模都市だけではなく中規模都市にもみられ,抑制するための対策が急がれている。その一つに,樹林による日射遮断効果や植物の蒸発散による冷却効果など緑地の機能を活用することが挙げられるが,それにはまず,都市の緑地分布の現状把握が不可欠である。本研究では,多種多様な植生が分布する都市において分光反射特性を利用した緑被率推定方法を検討した。地上分光反射率測定を実施し,これまでに緑被率推定のために提案されてきた指数について,活力度が異なる場合でも葉面積率が推定できるか調べた。さらに,Terra/ASTER 衛星データに適用し,人工衛星データを利用した解析の妥当性を明らかにした。
  • 薗部 礼, 谷 宏, 高田 雅之, 王 秀峰
    p. 477-482
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    乾燥化が深刻な問題となっているサロベツ湿原と周辺において,陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されているPALSAR およびAVNIR-2 によるデータを用いて土壌水分を推定した。PALSAR データである後方散乱係数は土壌水分以外に植生と表面粗度の情報も含まれている。そこで,後方散乱係数から土壌水分を推定するために,植生に関する変数として時期的なNDVI の差を組み込み,基準とした日の衛星データとの差を用いることによって表面粗度の影響を除去した。その後,処理された衛星データおよび実測した体積含水率から土壌水分推定モデルを作成した。このモデルを用いて推定した体積含水率と実測した体積含水率の間には相関が見られ,本手法の有効性が示された。
  • GIS によるため池整備事業評価システムの構築
    北野 慎一, 渡邉 正英, 上野 健太, 矢尾田 清幸, 浅野 耕太
    p. 483-488
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は,公共事業の外部経済効果の測定を効率的に行う手段として注目されている便益移転を簡易に行うための便益移転システムを開発することである。事例として,大阪府のため池を対象として実施されたオアシス整備事業を取り上げる。本稿で提案する便益移転法は,1.専門家による便益移転可能なため池の類型化,2.代表ため池の便益評価,3.同じ類型内のため池間での便益移転,という手順をとる。最終的に,この一連の移転プロセスにGIS を利用して地理情報を組み込みシステム化することで,便益移転をより簡易にそしてより精緻に行うことが可能となる。
  • 田中 孝典, 亀野 辰三
    p. 489-494
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    都市におけるヒートアイランド現象緩和のための建築設計ガイドラインにおいて歩行者空間等での地表面温度の上昇抑制,暑熱環境の緩和等の,計画・設計において配慮すべき事項が示されている。本論文は,舗装の熱特性が歩行環境に及ぼす影響について検討を行った。対象とした舗装は多色で自由なデザインを描ける保水性舗装と従来のアスファルト舗装であり,路面温度の測定値と気象データ等を数値解析の入力値として,人体の体温調節系モデルを組み合わせた温熱指標により各舗装の熱特性が歩行者に及ぼす影響の比較と保水性舗装の効果について確認を行った。
  • 高橋 岩仁, 大木 宜章, 坪松 学, 高橋 里佳
    p. 495-500
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,屋上緑化の熱環境緩和効果を検討すべく,実験的手法により緑化の有無による放射熱収支特性を得ることを目的とした。測定は年間を通して行ったが,ここでは特に,屋上緑化の効果が顕著に現れる夏期と,報告例の少ない冬季のデータを用いた解析した。壁面および屋上面からの全放射収支量を計算した結果,緑化有りより無しの上向き放射量が大きく,夏期では約1.4×103kJ・m-2/日の差が生じ,また冬期においても若干ではあるが差が生じた。以上の段階から,放射収支特性の相違が定量的に評価できた。
  • 成田 健一
    p. 501-506
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    小学校の校舎に施工された「緑のカーテン」による,教室の温熱環境改善効果について実測した。「緑のカーテンは」教室の放射環境の改善に大きく寄与しており,窓が開放され気温差が小さい場合にも,体感温度は大きく異なっている。一方「緑のカーテン」は通風阻害というマイナス面もあり,外壁との距離を確保するなど施工上の工夫が望まれる。SET*による評価では,放射環境改善による体感温度の低下は,通風阻害による上昇量の2倍程度と見積もられた。照度については非緑化教室に比べ1/3 程度に小さくなるが,今回は明るさが確保されている非緑化教室でも照明は通常点灯されていたため,照明エネルギーの増大にはなっていなかった。
  • 永谷 結, 梅木 清, 本條 毅, 菅原 広史, 成田 健一, 三上 岳彦
    p. 507-512
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    新宿御苑において約1ヶ月にわたって超音波風速計を設置し,長期間の微気象観測を行なった。得られた風向・風速データから,にじみ出し現象の発生条件や,発生頻度,連続時間などの解析を行なった。にじみ出し現象が18時から翌6時に発生していたのは全観測期間38日間中で28日間であり,一日当たりのにじみ出し現象の平均抽出数は9.64(10分単位)であった。にじみ出し現象発生時の風速平均は苑内南側でおよそ0.2~0.3m/sであった。にじみ出し現象の発生頻度は18時から翌朝6時に高く,その中でも深夜から早朝に高かった。連続時間と発生密度についても深夜から早朝にかけて大きくなる傾向が見られた。
  • 張 世峰, 山本 佳世子, 和泉 潤
    p. 513-518
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は先進事例のビール製造業を取り上げ,ゼロエミッション活動の特性を把握することを目的とした。そのために,アンケート調査によりビール製造プロセスとその各段階における廃棄物の分類状況および再資源化の状況を把握し,さらにヒアリング調査を実施して特性を明らかにした。その結果,(1)ゼロエミッション活動は2 タイプに分類でき,工場の立地地域の特性や行政施策への対応,管理者の意識の影響が異なること,(2)畜産地域に立地する工場では再資源化しやすく,工場の立地特性を考慮したゼロエミッション活動を行う必要があること,(3)ビール会社の用排水原単位の差異は,各社,各工場の取り組みや設備の相違によることなどを明らかにした
  • 長野県中信地区・廃棄物処理施設検討委員会を事例に
    須永 洋平, 原科 幸彦
    p. 519-524
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    公共事業等の計画策定において,市民参加による合意形成の導入が求められている。実際に合意形成を実施するためには,合意に至るまでのプロセス設計が必要である。そこで本研究では,長野県中信地区・廃棄物処理施設検討委員会を事例として,プロセスモデルを用いて実際に行われた合意形成プロセスの挙動を把握し,その特徴を明らかにした。その結果,プロセスは行き来をしながら全体ではモデルのように進むことが確認された。この行き来は,決定事項が多い計画の場合に増加すること,「合意の確認-解決策模索」の間で多いこと,委員発言に対応した結果として行き来が起こることが明らかとなった。
  • 北海道札幌市を事例として
    椎野 亜紀夫
    p. 525-530
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,不法投棄多発地域の空間的特徴を明らかにし,不法投棄抑止に向けた計画策定の基礎資料作成を目的として分析・考察を行った。研究の結果,不法投棄発生場所は市街化調整区域内が多いこと,その中でも特に深刻な不法投棄は市街化区域に隣接するアーバンフリンジエリアに集中的に発生していることが明らかとなった。また不法投棄多発地域内の土地利用を分析した結果,土地利用の構成パターンは1)市街地,2)農地・未利用地,3)樹林地の3 タイプに分けられた。今後の不法投棄抑止に向けた計画策定には,このような多発地域の空間的特徴に関する十分な理解が必要であると考えられた。
  • 山形県長井市「レインボープラン」を事例として
    鶴見 悠史, 中島 正裕, 千賀 裕太郎
    p. 531-536
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    山形県長井市レインボープランは,有機性廃棄物再資源化を基軸とした資源循環型地域システムである。事業開始から約10 年が経過した先進事例であるが,事業の持続性の確保のためには,新たに発生する多様な課題を解決しながら地域システムの運営のあり方を改善していく必要がある。本研究では,当該事例におけるシステムの実態の変容とそのプロセスを把握し,事業の運営課題とその根本的要因を構造的に明らかにすることを目的とした。その結果,システムの実態を課題に合わせて変化させる事業運営が確認された。また一方で近年潜在化した余剰堆肥問題の背景には,運営・社会的要因が存在することが明らかになった。
  • アジア輸出の国内市場への影響
    吉野 敏行
    p. 537-542
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    廃PETボトルの市場を分析した結果,部分的有価市場を形成しているものの,分別収集過程における地方財政の多額な支出に支えられた輸出主導型の価格体系となっている。このような価格体系のもとで,廃PETボトルを特定事業者の再商品化義務から除外することは,廃PETボトルのアジア輸出を拡大し,国内再生処理業者の衰退をもたらす。2006 年の容器包装リサイクル法改正(法10 条の2)は,市町村の指定法人への引渡量を増加させる一定の効果が期待できる。しかし,市町村の独自処理を解消するには,特定事業者の再商品化委託単価に,輸出単価と再商品化事業者の落札単価との差額を課すことが効果的である。
  • 大西 暁生, 森杉 雅史, 石 峰, 韓 驥, 白川 博章, 井村 秀文
    p. 543-548
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    国内有数の穀倉地帯である黄河流域では,中国の人口増加に伴う食糧需要の高まりから,食糧の増産が期待されている。黄河流域の食糧生産は,主に単収(単位面積当たりの生産量)の向上によって支えられてきた。しかし,近年の断流現象に見られるような水不足問題が,食糧生産にとって克服すべき大きな課題として挙げられている。そのため,水資源の有効且つ適正な利用による農業の促進が望まれる。本研究では,包絡分析法(DEA)を用い,黄河流域の地域別農業用水効率性の評価を行った。さらに,得られた効率性の違いがどのような要因によって決定されるのか分析した。以上の結果より,黄河流域の持続可能な食糧生産のあり方を検討した。
  • 三原 真智人, 斉藤 慶一, 金子 綾
    p. 549-554
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    荒川の河口域の右岸は遠浅で干潮時に干潟が現れるが,左岸はコンリートで護岸され水深が深く干潟が現れることのない構造となっている。この両岸間における環境の違いを利用して干潟の水質浄化機能を評価することを目的とし,満潮時と干潮時に両岸の硝酸態窒素濃度を比較した。その結果,満潮時は両岸の硝酸態窒素濃度に違いがみられなかったが,干潮時は干潟のない左岸に比べ,干潟を有する右岸で明らかに低くなった。さらに同時刻・同場所での干潟のたまり水の硝酸態窒素濃度は河川水を大きく下回っており,水質浄化における干潟の重要性を評価できた。
  • 横山 大樹, 嶋 栄吉, 増村 仁美, 堤 聰, 渡辺 一哉
    p. 555-560
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,畜産地域での河川水質の悪化が問題となっており,その実態把握が求められている。そこで本研究では,青森県の畜産地域を事例に,放牧牛の行動が放牧草地からの流出水に及ぼす影響について検討した。その結果,牛の行動は地形条件や気象条件によって影響を受けることがわかった。また,牛群による水みちへの踏み入れは水質へ影響を与え,その影響は,特に懸濁態養分で明らかであった。
  • 松浦 悠人, 嶋 栄吉, 堤 聰, 渡辺 一哉
    p. 561-566
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    水田の横浸透量と水田から流出する水の水質変動の実態を青森県の黒ボク土水田を事例に調査した。その結果,水収支のアウトプットのおよそ半分が縦浸透によるものであり,横浸透の影響はわずかであった。灌漑期間中に流出する窒素の7 割,リンの6 割が代かき期に地表排水として流出していた。収支から,弱排出型の水田と推察された。
  • 鳥居 厚志
    p. 567-572
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    高知県下において1997~2005年に降水の化学性,とくに台風時の海塩負荷量を調べた。台風時の降水は多量の海塩類を含むこともあるが,個々の台風によってはばらつきが大きかった。高知市における年間海塩負荷への台風の寄与率は9年間平均で16.2%であったが,80%近くの年もあり変動が大きかった。海塩負荷量は,海岸から内陸に向かって減少するが,海岸から16km離れた場所でも台風時の影響がみられた。海塩濃度の濃い雨が降っても,渓流水の水質には影響はみられなかった。また海塩負荷量は,台風の進路や風速によって大きく変動することが明らかになった。
  • 藤居 良夫, 鴨志田 孝雄
    p. 573-578
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    地方都市における土地被覆変化の動向を市街地の特性や土地利用規制などとの関係で分析することは,土地利用計画策定の基礎として重要な課題であると言える。本研究では,佐久都市計画区域を対象として,マルコフ連鎖分析,多基準評価,セル・オートマトン分析を利用して,過去2時期の衛星データから将来における土地被覆の予測とその精度検証の方法を示した。また,その方法を用いて,将来の土地被覆の予測を行った。その結果,予測方法の妥当性が確認できた。また,現在までの社会状況や都市開発の傾向が続く場合,将来の市街地はさらに拡大し,周辺の緑被地は著しく減少することがわかった。
  • 熊本市を対象とした地下水保全のための空間的意思決定支援
    永野 亜紀
    p. 579-584
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では地下水保全のための土地利用適性分析を用いた土地利用計画代替案の創出を目的とする。土地利用規制は個人的土地所有権の強い日本において難しい問題とされているが,地利用と水資源といった公共的性格が密接に関わる問題では将来的な土地利用の方向性を住民の意思により決定する事は重要である。本研究では熊本市を例に取り,地下水保全のための業的土地利用についてGISによる土地利用適性分析を行い,AHPを用いた3つの代替案の呈示を行った。GISを用いた代替案の可視化は市民の意思決定に必要であると認識される。
  • 池貝 隆宏
    p. 585-590
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    農薬に関する水道水質管理を的確に行うには,流域における農薬の流出状況を判定できる基礎情報が不可欠である。本稿では,流域別の流出農薬のプライオリティを判別するため,農薬の流出をモデル化し,レベルⅡフガシティモデルを用いて流出可能性を表す時期別の指標値を算出する手法を検討した。この方法を用いて,神奈川県の相模川及び酒匂川の農薬流出状況を評価した。その結果,流域別流出量は農薬流出可能性を表す指標として利用可能であり,ADI あたりの流域別流出量であるRRI 値を用いて流出農薬のプライオリティが詳細に判定できることを示した。
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