日本地球化学会年会要旨集
2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
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古気候・古環境解析の地球化学
  • 鈴木 和博, 浅原 良浩, 三村 耕一, 田中 剛
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1E24 05-24
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    1. 研究背景・研究目的
    本研究の目的は(1)コノドント化石を鳥羽市神島石灰岩体から見出し,その堆積年代を決定すること,(2)そのSr同位体組成変化を,すでに明らかになっている豊橋市石巻山石灰岩体,田原市蔵王山・衣笠山石灰岩体のそれと比較して,堆積当時の日本列島近辺の古地形を推定すること,である.
    鳥羽市神島は三重県志摩半島と愛知県渥美半島との間の小島で,島の中央部を神島断層が貫き,北西部の三波川変成コンプレックスと,南東部の秩父帯付加コンプレックスに分かれている.
    2.試料・Sr同位体分析・コノドント化石による年代決定
    神島の南東部の石灰岩体から,市教育委員会の採集許可を得て石灰岩試料を採集した.海岸の石灰岩柱から採集した4試料のSr同位体比(87Sr/86Sr)を測定したところ0.7073-0.7075の範囲であった.石灰岩体の年代決定のため試料からコノドント化石の抽出作業を実行中である.
ポスター発表(第一日)
Geofluids:地球内部流体とその役割
  • 本多 剛, 石川 剛志, 廣野 哲朗, 向吉 秀樹
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: Geofluids:地球内部流体とその役割
    セッションID: 1P01 15-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    地震時の断層滑りに伴う摩擦発熱は,断層自体の溶融やそこでの間隙水圧の温度上昇を引き起こし,さらにこれらは断層面における摩擦強度を著しく低下させる.そこで,本研究では地震時のメルトや高温流体の発生に着目し,高知県久礼OST (out of sequence thrust),愛知県足助剪断帯,中国Fuyun断層に付随する溶融起源のシュードタキライト(Mukoyoshi et al., 2006; 酒巻ほか., 2006; Lin., 1994など)の微量元素・同位体分析を実施した.
  • 熊谷 仁孝
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: Geofluids:地球内部流体とその役割
    セッションID: 1P02 15-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    水は地球内部の現象に様々な影響を与えている。沈み込み帯では、水は含水鉱物として沈みこむ海洋プレートと共に沈み込み、やがてマントルウェッジへと放出される。マントルウェッジへ放出された水は様々な過程を経て地表へ運ばれるのであるが、この間にマグマの生成や溶解した物質の移動などをもたらす。これらの現象やマントル中の水の移動経路には水の性質が関わっており、水の性質を知ることは重要である(Kawamoto et al., (2004) J. Chem. Phys.)。水は分子間の水素結合のネットワーク構造により特異な性質をもち、この構造が変化することで水の性質も変化する。このためある温度圧力での水の構造を調べることで、その地球内部の温度圧力に対応した水の性質の理解へつながると考えられる。そこで本研究では分子シミュレーションを用いて様々な温度圧力条件での水の構造を調べ、その結果を報告する。
火成岩の地球化学
  • 神市 智之, 日高 洋, ナットマン アラン
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 火成岩の地球化学
    セッションID: 1P03 16-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    西南グリーンランドNuuk地域はNE-SW系の走向をとる3つのテレーン(Akia,Akulleq,Tasiusarsuaq)に大別される.始生代中期のプレート運動によって、Akulleqテレーンは他の2つのテレーンとの衝突後,現在も地表に部分的に露出した状態を保っていると考えられている.Akulleqテレーンはさらに2つの異なる年代を示すテレーン(Faringehavn,Tre Br dre)により構成されている.特に Faringehavnテレーンには3600Ma以前の岩石が現存するItsaq片麻岩複合岩体が見い出されている.本研究では、始生代初期の地殻進化を詳細な年代学的情報から考察することを目的とし、 Itsaq片麻岩複合岩体の岩石試料から採取されたジルコンについて高感度高分解能イオンマイクロプローブによるU-Pb局所年代測定をおこなった.
  • 川野 良信
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 火成岩の地球化学
    セッションID: 1P04 16-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    東南極リュッツォホルム岩体(吉田・神沼,1986;以下,LHCと略)には,変成作用ピーク時以前もしくは同時に活動したpre/syn-metamorphic granites (以下,Pre/SynMGsと略)と変成作用ピーク後に活動したpost-metamorphic granites(以下,PostMGsと略)が広範囲にわたって分布している(Nishi et al.,2002 ; Ajishi et al.,2004).本発表では,明るい岬に産出するPostMGsについて,野外・鏡下観察結果,主成分・微量成分化学組成,Sr,Nd同位体比組成を報告する.さらに,同じ LHCの漸移相帯に分布する奥岩 PostMGsと比較検討を行い,その成因について考察する. 明るい岬は昭和基地の北東約95kmのプリンスオラフ海岸に位置し,LHCの漸移相帯(Hiroi et al.,1983)に属する.東西4km,南北3.7kmの露出域を有するこの明るい岬には片麻岩類,塩基性変成岩類,花崗岩類が露出している(Yanai et al.,1977).このうち,ザクロ石黒雲母片麻岩,黒雲母角閃石片麻岩および角閃石黒雲母片麻岩が構成岩の大部分を占めている.なお,ザクロ石黒雲母片麻岩から532±6 MaのジルコンSHRIMP年代が報告されている(Shiraishi et al., 1994).
    明るい岬に分布するPostMGsは,周囲の片麻岩の片理を明瞭に切って岩脈状に産する.岩脈は北東-南東方向に高角で貫入する場合が多い.岩石は黒雲母花崗岩,含黒雲母石英アルカリ閃長岩で,肉眼では中粒~粗粒を呈する.主要構成鉱物は石英,カリ長石,斜長石,黒雲母で,副成分鉱物として白雲母,ジルコン,アパタイト,不透明鉱物を含んでいる.全岩化学分析の結果を見ると,明るい岬PostMGsはパーアルミナスな性質を有し,磁鉄鉱系列の花崗岩類と同様の高いFe3+/Fe2+比を示す.
    明るい岬 PostMGs5試料を用いてRb-Sr全岩アイソクロン年代を求めた.得られた年代は536±34 Maを示し,Sr同位体比初生値は0.70670±0.00080であった.この年代はザクロ石黒雲母片麻岩から得られたジルコンSHRIMP年代と誤差の範囲で重複し,野外で観察される貫入関係と矛盾するものではない.すなわち, 本地域のPostMGsはLHCの変成作用ピークの直後に活動したものと考えられる.一方,LHC漸移帯に分布する奥岩 PostMGsのSr同位体比初生値は0.70607(Nishi et al.,2002)であり,明るい岬 PostMGsの初生値と誤差の範囲で重複する.さらに,εダイアグラムでは明るい岬 PostMGsはεSr値が+35~+45,εNd値が-6~-9の範囲の範囲にプロットされ,奥岩 PostMGsもその近傍にプロットされる.これら同位体組成は明るい岬と奥岩の PostMGsが類似した同位体的特徴を有する起源物質からもたらされたことを示唆する.
  • 市山 祐司, 相馬 伸介, 華房 康憲, 田村 芳彦, 川畑 博, 布川 章子
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 火成岩の地球化学
    セッションID: 1P05 16-P03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    海洋研究開発機構(以下JAMSTEC)では、平成19年にデータ・サンプルの取り扱い方針を定めて、JAMSTECの船舶で採取されたデータ・サンプルを一元的に保管・管理し、一定の公開猶予期限を経たのち公開を行っている。岩石サンプルについては、深海底岩石サンプルデータベース「GANSEKI」*において岩石サンプル情報の公開を行っている。本大会では、岡別府ほか(2006)によってGANSEKIの構築の前段階における概要が紹介されていたが、その後2006年10月の外部公開より本格運用が開始され、幾度かの機能改修を経てデータベースとして軌道に乗りつつある。本発表では、GANSEKIの現状と今後の展望についての紹介を行う。
    JAMSTECは四半世紀にわたり、島弧周辺域(伊豆・小笠原など)、中央海嶺(太平洋、大西洋、インド洋)、海洋島(ハワイ諸島など)といった様々なテクトニックセッティングから火成岩や堆積岩、チムニー、マンガン酸化物などを船舶・潜水船を用いて採取してきた。現在GANSEKIでは、これらのサンプルのメタデータ18700件、分析データ11200件、アーカイブサンプル7300試料を公開している。アーカイブサンプルについては、研究・教育・展示目的であれば随時無償提供を行っている§
    GANSEKIでは、サンプルを採取した航海名、船舶(潜水船)、緯度・経度・水深、海域、岩石名などのメタデータによる検索や地図上にプロットした潜航またはドレッジ地点からの検索が可能である。検索結果にはサンプルのメタデータが表記され、分析データとアーカイブサンプルの有無が確認できる。アーカイブサンプルがあるものは、サンプル写真やサイズ・重量を閲覧することができる。分析データは、「JAMSTEC深海研究」や一般学術誌の掲載データや研究者の未公表データなどから収集した全岩組成と鉱物組成が登録されており、CSVファイルでダウンロードが可能である。
    昨年度からは、国際的岩石化学ポータルサイト「EarthChem」**との連携を開始した。これにより、GANSEKIに登録されている分析データを持つサンプルをEarthChem上で検索することが可能となった。今後は海外の研究者からのアクセスやサンプルリクエストの増加が期待される。また、今後は薄片写真や記載情報の公開、分析データの収集、堆積物コアサンプルデータや地球物理データとの統合などを視野に入れ、データベースのさらなる質の向上を目指していく。
    * http://www.godac.jamstec.go.jp/ganseki/index_jp.html
    ** http://www.earthchem.org/
    §問い合わせ先:dmo@jamstec.go.jp
  • 横山 一己, 松原 聰, 宮脇 律郎, 佐野 貴司, 堤 之恭
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 火成岩の地球化学
    セッションID: 1P06 16-P04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    国立科学博物館は,日本における唯一の国立の総合的な科学博物館として,自然史及び科学技術史に関する資料を収集・保管し,後世に引き継ぐという役割を果たしている.岩石・鉱物資料のデータベースの中で約7万点については、10数年前から当館のホームページで公開し、主に学術的な利用と展示などで貸し出しを行なってきた.この数年はコレクションを統合データベースとして電子化することを重点的に行い,当館のすべての資料を同じフォーマットで作成し、昨年,ホームページにて公開するに至った.今回はこの岩石・鉱物データベースに関しての情報を提供する.
放射性廃棄物と地球化学
  • 山崎 誠子, 山田 国見, 花室 孝広, 梅田 浩司, 田上 高広
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1P07 02-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    K-Ar年代法は多くの地質試料に適用でき,数万年から数億年という広範囲の年代測定が可能という利点から,これまで岩石・鉱物の年代決定のために幅広く用いられてきた.
    原子力機構(JAEA)東濃地科学センターでは,断層粘土の年代測定を一つの目的とし,平成21年度からK-Ar年代測定システムの構築を進めている.カリウムの定量は炎光光度計を用いて,アルゴンの定量は希ガス質量分析装置を用いて感度法により実施している.今後は細粒かつ微少試料の測定に向けて,加熱手順の検討や検出器の調整等を実施する予定である.本発表ではシステムの全体図や標準試料の測定結果等を含めて報告する.
  • 山本 鋼志, 赤川 史典, 吉田 英一
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1P08 02-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    本研究で酸化還元フロントの形成/発達に伴う元素移動を明らかにする事を目的とする。調査した岩石試料は,岐阜県恵那地域に分布する苗木花崗岩と岐阜県土岐市周辺に分布する土岐花崗岩である.苗木花崗岩には,地表露頭において割れ目に沿って対称に岩石が赤褐色に変色している.一方,土岐花崗岩のボーリングコアサンプル中にも割れ目が発達し,深さ約200mまで割れ目周辺に赤褐色の変質部が観察される.本研究では,深度別に酸化還元フロントを含む20~30cm幅のブロック試料を採取し,割れ目面に平行に厚さ数mm~1cmの間隔で切断した.各試料の主成分元素・微量成分元素分析を通じて,フロント内での元素分布を明らかにし,元素移動を議論する。
  • 入江 寛和, 本多 照幸
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1P09 02-P03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    日本では、原子力発電所で使用した燃料を再処理して有効活用することにしており、ウランやプルトニウムを回収した後には、高レベル放射性廃棄物(HLW)が残る。このHLWを地層処分する際には、その安全性を評価するため地層中での放射性核種の挙動を評価する必要がある。そこで本研究では、JAEA幌延深地層研究センターの2つのボーリング孔を対象とし、地層中に存在するランタノイド及びウラン、トリウムに注目したナチュラルアナログ研究を実施した。その結果、主要元素に関しては、試料間で大きな違いは認められなかったが、1試料のみCaが非常に高い濃度を示し、方解石が非常に顕著な増加を示していたことから、健岩部ではなく炭酸塩部の試料であったと考えられた。また、表層に近い試料は他の試料とは若干違う挙動を示した。これは、表層に近いため、雨水の影響で試料が変質した可能性が考えられた。
  • 鈴木 孝太, 本多 照幸
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1P10 02-P04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、北海道幌延地域において堆積岩中の断層部とその周辺の試料を採取し、主要および微量元素の濃度を定量した。また、それらの比較から高レベル放射性廃棄物(HLW)に含まれる放射性核種(MA:マイナーアクチノイド)と化学的性質が類似しているナチュラルアナログ元素の分布状態を把握した。その結果、断層部は健岩部に比べてランタノイド(Ln)、トリウム(Th)の濃度が高くなる傾向を示した。これはLn、Thが断層形成に伴う粘土鉱物の生成により試料中に濃集した可能性を示唆する。Lnは、HLWに含まれる放射性核種のMAと化学的性質が類似していることから、地層処分後、漏出した放射性核種が断層部に吸着されることが期待できる。
  • 萩原 武司, 本多 照幸
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1P11 02-P05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、岐阜県東濃地域に存在する土岐花崗岩中の二次鉱物に着目し、水-岩石反応に伴う微量元素の挙動を把握することを目的とした。その結果、健岩部と変質部を比較すると変質部ではでは緑泥石、方解石、カオリナイトが特徴的に存在した。また、変質部で2試料が酸化的な地下水との反応により元素が再分配された傾向を示した。また、これら以外の試料では、試料と反応した地下水は還元的であったことを示した。さらに変質部では、酸化・還元環境に関係なく軽ランタノイド(La~Eu)の濃集を示した。従って、変質作用の影響で軽ランタノイドが濃集したものと考えられる。
  • 柏谷 公希, 中田 弘太郎, 長谷川 琢磨
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1P12 02-P06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    電力中央研究所では、放射起源の4He 濃度が滞留時間に伴って増加することを原理とした地下水年代測定法(4He 蓄積法)の研究開発を進めており、北海道幌延地域において地下水の希ガス分析を行っている。これまでの検討から、幌延地域の地下水には、岩石の化学組成から推測されるよりも大きな3He/4He のHe が蓄積しており、試料採取地点によって蓄積するHe の3He/4He が異なることが明らかとなっている。本研究では、岩石から地下水に供給されるHe の3He/4He を把握することを目的に、幌延地域に分布する稚内層硬質頁岩からHe を抽出し、3He/4He を測定した。その結果、稚内層の硬質頁岩に含まれるHe の3He/4He は、近傍の地下水の3He/4Heに比べて同程度か小さく、地下水には放射起源ではない3He/4He の大きなHe が混入している可能性があることが示された。さらに、硬質頁岩の3He/4Heは、鉛直方向には深部で、水平方向には南東側で大きくなる傾向が認められた。
地球化学と生理学の融合:生体プロセスの研究から地球化学へ
  • 岡田 吉弘, 小宮 剛, 高畑 直人, 佐野 有司, 丸山 茂徳
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 地球化学と生理学の融合:生体プロセスの研究から地球化学へ
    セッションID: 1P13 06-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    エディアカラ紀は、生命と地球表層環境進化にとって非常に重要な時代である。この時代は、動物が出現し、生物が大型化、多様化したからである。化石についての研究は、形態観察による分類と記載が主で、化石の化学的な特徴に関する研究はされていない。また、最古の動物胚化と考えられている球状化石についても、巨大な硫黄酸化細菌との指摘もあり(Bailey et al.,2007)、形態観察だけによる研究の限界を示している。そこで、本研究では化石の化学組成、窒素同位体比組成を測定し起源生物の推定を試みた。今回の発表では実験手法の検証と、得られた結果から、食物連鎖について議論する。
  • 山口 保彦, 高野 淑識, 力石 嘉人, 小川 奈々子, 井町 寛之, 菅 寿美, 横山 祐典, 大河内 直彦
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 地球化学と生理学の融合:生体プロセスの研究から地球化学へ
    セッションID: 1P14 06-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    本研究では、三つのドメイン(真核生物・バクテリア・アーキア)を含む5種類の微生物を、特定の窒素源のもとで培養し、そのアミノ酸窒素同位体組成を調べた。その結果、アミノ酸窒素同位体組成のパターン・変動ルールが、三つのドメインを含む様々な生物間で共通であることが示唆された。つまりアミノ酸窒素同位体組成は、微生物の現場における代謝(アミノ酸の合成もしくは分解)および生物地球化学的役割(特に窒素循環・有機物変質)を調べための、強力な手法になりうるだろう。
  • 磯山 陽子, 益田 晴恵, 前田 俊介, 西川 禎一, 小宮 透
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 地球化学と生理学の融合:生体プロセスの研究から地球化学へ
    セッションID: 1P15 06-P03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    兵庫県川辺郡猪名川町杉生新田に湧出する含鉄炭酸食塩水の湧出口付近に棲むバクテリアによる化学成分の挙動を検討した.温泉の水質は,pH 5.57,電気伝導度174 ms/m,ORP 98 mV,DO(溶存酸素)0 mg/Lであった.主な溶存成分は,Cl-(328.25 ppm),NO2-(0.089 ppm),SO42-(4.74 ppm),Fe(7.44 ppm),Mn(0.48 ppm)であった.これは,この温泉の水質が,DOを含まない嫌気的な環境にある一方で,亜硝酸や硫酸イオンを含む程度には酸化的であることを示している.源泉が湧き出ている井戸の壁面に赤褐色の沈殿物が多く形成されていた.SEM-EDSを用いた分析では,球菌のまわりに非結晶質で,FeとわずかなSiを含んだ沈殿物が覆っていた.したがって,少なくとも一部のFeは温泉中に含まれる微生物の代謝によって酸化されていることが示唆された.また,その沈殿物に含まれている微生物を,5mLバイアルを用いて,O2とFe2+の濃度勾配をつけた寒天培地で培養すると,上層に赤褐色の水平な帯状のコロニーが形成された.また,沈殿物からバクテリアのDNAを抽出し,鉄酸化バクテリアの一種であるGallionellaをターゲットにしたプライマーを用いて,PCR(Polymerase Chain Reaction;ポリメラーゼ連鎖反応法)にかけ,16S rRNAを増幅させた後,塩基配列決定のためにシークエンスを行った.塩基配列から近縁種を同定したところ,鉄酸化バクテリアの一種であるGallionella capsiferriformansに近縁な種が優勢であった.よって,この源泉では,鉄酸化バクテリアが多く棲みついており,その代謝によって鉄を含んだ沈殿物が形成されていることが明らかになった.
現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
  • 荻原 成騎
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P16 07-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    日本近海のメタン湧出が観察される海底より採取した泥試料について、バイオマーカー分析を行い、嫌気的メタン酸化古細菌の群集を推定した。ANME群集の差異が何に起因するか今後の課題である。
  • 和田 亮一, 坂井 三郎, 二階堂 雅人, 相原 光人, 大河内 直彦, 岡田 典弘, 山田 桂太, 吉田 尚弘
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P17 07-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    シーラカンスは四億年もの昔から地球上に存在する「生きた化石」である。魚類から陸上四肢動物への進化の鍵を握る重要種であり、また絶滅の可能性がある希少種である。そしてシーラカンスの生態については未だわかっていないことが多い。近年、従来の知見とは異なる海域で大量に捕獲されるようになり問題となっている。彼らの保護のためにはまず生息地の情報を得ることが必要である。そこで本研究ではシーラカンスの生息水深を明らかにするため耳石の安定同位体分析による生息水温の復元を行った。これまで温度計として広く用いられてきた酸素同位体に加え、より厳密な温度指標として期待される二重置換同位体分子種の測定を試みる。これらの手法を用いた高解像度の同位体測定により幼魚から成魚までの水温変化を明らかにし、それを捕獲地域の水深-水温データと比較することによって生息水深を推定する。
  • 高野 淑識, 力石 嘉人, 大河内 直彦
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P18 07-P03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    微生物群集の構造解析や分子レベルでの生物地球化学的プロセスの解明に向けて,生元素の安定同位体のラベル化によるStable Isotope Probing (SIP)法が広く用いられるようになった。標識された分子の情報を得ることは,クロマトグラフ法を用いて有機化合物を分離・検出し,その化合物を同定・定量することが基本となる。
    ここでは,分子レベル同位体比の品質管理と確度向上を図るために,湿式分析による基礎的な留意点についてまとめた。主に,極性脂質・コア脂質および位置異性体の解析,クロマトグラフ法と共溶出化合物の評価,クロマトグラフ法および分光法(1H-,13C- NMR)による不純物の可視化・スクリーニング,化学修飾による共溶出化合物の分離,溶出中の同位体分別について,具体例を挙げ,その改善方法を考察した。
  • 齋藤 裕之, 鈴木 徳行
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P19 07-P04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    パルス放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)は無機物・有機物を一度に高感度で測定することが可能であるが,精度のよい分析をするためには各化合物の十分な分離とカラムの選択が重要となる.本研究では分析対象をガスに絞り,GCにPDHIDを取り付けたシステムによる天然ガスの無機・有機成分の同時測定方法について検討した.マイクロパックドカラム(ShinCarbon ST)を用いた分析により,二酸化炭素及びC1からC4までの炭化水素を完全に分離することができ,その相対標準偏差は5%以下であった.今回確立した測定方法は濃度が数ppmから数%の範囲の分析が可能である.
  • 池田 大介, 山内 敬明, 奈良岡 浩
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P20 07-P05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
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    河口域干潟において腐植物質は、陸及び海洋起源の有機物が混ざり合い、沈殿・堆積し生成されるため、河川及び沿岸域の環境情報を集積していると考えられる。そこで本研究では、腐植物質のうちフミン酸(酸不溶・アルカリ可溶)画分の構造を分析することで、有機物の堆積環境を探り、環境指標としてフミン酸を利用することを最終的な目的としている。今回は2地域で河口域フミン酸を継続的に採取し、国際腐植物質学会が定める土壌抽出法であるIHSS法を用いて抽出し、地域差と季節変化を調べた。元素分析、可視・紫外吸収分析、炭素同位体比分析の結果、河口域干潟に生成されるフミン酸には地域によって有意差があることが認められ、起源物質の組成を反映する可能性が示された。また、フミン酸の評価方法に関して炭素同位体比と可視・紫外吸収分析の結果の間には強い相関があることが示され、これら2つの分析手法は信頼性の高い指標となることが示唆された
  • 高橋 幸士, 鈴木 徳行, 齋藤 裕之, 長谷川 精, 角皆 潤
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P21 07-P06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    コールベッドメタン(CBM)の起源には,微生物起源と熱分解起源があり,一般に石炭化度が低い亜瀝青炭(R0<0.6%)では,より微生物起源ガスが,石炭化度が高い瀝青炭や無煙炭(R0>0.6%)では,より熱分解起源ガスがCBMに寄与している.存在態からみるとCBMには遊離態のものと組織表面に吸着しているものに大別できる.北海道には,古第三紀始新世の亜瀝青炭~瀝青炭が広く分布しており,それらに伴うCBMの資源ポテンシャルに関心が高まっている.しかしながら,日本炭にともなうCBMの起源やその炭層中での挙動には未だ不明な点が多い.本研究では,始新世美唄層の露頭炭中に存在する無機・有機気体成分に注目し,それらの起源,存在態,挙動について考察した.
  • 鈴木 徳行
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 現世の有機物、微生物、生態系の地球化学的動態と過去の生命史の解明
    セッションID: 1P22 07-P07
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    炭化水素は比較的安定な有機化合物として堆積盆地の地下深部に広く分布している.炭化水素を構成する炭素と水素のいずれにも安定同位体が存在しているが,地下深部の堆積岩中に存在する炭化水素の水素同位体組成(dD)に関する研究は必ずしも多くない.それは堆積岩中の炭化水素dD値がどのように変化するのか,あるいは変化しないのか,十分に明らかにされていないためである.堆積盆地では,間隙水との水素交換,熱化学反応にともなう同位体分別,移動や相変化にともなう同位体分別によって,炭化水素のdD値が変化することが考えられる.また,地下深部での炭化水素流体の移動や気相-液相の相変化にともなって,水素の同位体分別が行われている可能性もある.堆積盆地における直鎖状炭化水素,分岐状炭化水素,芳香族炭化水素の安定水素同位体比の変化について述べる.
水圏環境地球化学
  • 田畑 亜希子, 横尾 頼子, 中野 孝教, 徳増 実
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P23 12-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    愛媛県西条市市之川とその支流および加茂川の河川水と河床堆積物の元素組成を調べ,河川水および河床堆積物への市之川鉱山の影響を明らかにした.
    市之川本流の河床堆積物中のSbやAsの濃度は,市之川鉱山付近よりも下流の地点で高かった.SbやAsを多く含む粒径の細かい砕屑物が市之川鉱山から運ばれて下流で堆積していると考えられる.市之川本流の河川水中のSb,As,Fe,SO4濃度は鉱山より下流の地点でより高くなり,市之川鉱山からの粒径の細かい堆積物に含まれる
    輝安鉱(Sb2S3)や硫ヒ鉄鉱(FeAsS)の風化や支流の流入が影響している.市之川本流の河床堆積物中の水溶性・交換性イオンの抽出量は粒径の細かい堆積物ほど多く,特にSb,As,SO4の抽出量は市之川鉱山付近よりもさらに下流の地点で多かった.加茂川でのSbとAsの河川水および河床堆積物中の濃度,水溶態・交換態の抽出量は,市之川合流直後よりもさらに下流の地点でより高く,市之川鉱山の影響がみられた.
  • 松倉 誠也, 山岡 香子, 石川 剛志, 川幡 穂高
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P24 12-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    現在約340ヶ所で知られる海底熱水活動は、熱水鉱床を形成する資源的な面においても、熱水系地下生物圏の観点からも、大いに注目されている。しかし、その水の循環がどの深度まで及んでいるのか良く分かっていない。地中海東部CyprusのTroodos Ophioliteは約90Maに海底で作られ、オブダクション時など大きな変形を伴わなかったために熱水系の研究に適している。
    ICRDG (International Crustal Research Drilling Group)で掘削し、採取されたHole CY1 (479m), CY2A (689m), CY4 (2263m)の試料に加え、Akaki river沿いで連続的に採取されたサンプルを用いた。
    CY1ではupper and lower pillow lavaまで, CY4 ではsheeted dikeからgabbroまで達している。CY2Aは鉱床下での熱水と岩石との反応を観察するためにAgrokipia鉱床Bを貫き、掘られた。鉱体はlower pillow lavaの層準に位置し、網状(Stock work)型の硫化物鉱床であり、ガラパゴスのように海底下の浅所で海水と熱水が混合し形成されたと考えられている。
    Agrokipia鉱床体でのホウ素含有量は31.7ppm, gabbroで8.4ppmの値を示し、Fresh-MORB (0.5ppm: Spivack and Edmond, 1987; Ryan and Langmuir, 1987)の平均含有量を大きく上回っている。また深度プロファイルから、深度を増す毎にホウ素含有量が漸減しているのが分かった。これらのことから、熱水循環により海水由来のホウ素が海洋地殻に多量に付加されたことが示唆される。
  • 安齋 博哉, 村松 康行, 松本 良, 戸丸 仁, 松崎 浩之
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P25 12-P03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    日本海では、表層堆積物中にガスハイドレートが存在することが報告されており、新たなエネルギー源としても注目されているが、詳しい起源は明らかになっていない。ガスハイドレートが確認されている南海トラフにおける先行研究では、間隙水中のヨウ素が高濃度(最大60ppmであり、海水の約1000倍)で存在していることが知られており、メタンとヨウ素の起源には何らかの関係があると考える。またヨウ素以外の元素でも、例えばMnやBaなどの元素は間隙水の酸化還元状態を知る一つの指標になり、堆積環境を探る手がかりとなりうる。そこで本研究では、間隙水中に含まれるハロゲン元素(I, Br)及び金属元素(Li, Ca, Mn, Rb, Sr, Ba, U)の濃度を分析し、さらにはヨウ素の安定同位体である 127Iと放射性同位体である129Iの比を測定することにより、間隙水中のヨウ素とメタンの起源について考察する。
  • 関谷 朋子, 安齋 博哉, 村松 康行, 松本 良, 戸丸 仁
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P26 12-P04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    ハロゲン元素は岩石の成因や変質の過程を調べる上で興味が持たれている。しかし、岩石中のハロゲン元素の濃度は微量のため、分析データが少ない。また、標準岩石試料についての報告例も不足しており、分析機関によってバラつきが大きいものが多い。そこで本研究では、加熱分離法を用いて岩石試料中のCl、Br、I濃度の分離及び分析法の検討を行った。本研究で用いる加熱分離法は、ハロゲン元素が揮発しやすく、水に溶けやすい性質を利用し、水蒸気を含んだ酸素気流中で試料を加熱し、分離するものである。なお、Clの測定はイオンクロマト(IC)を用い、BrとIは濃度が低いためICP質量分析器(ICP-MS)で測定を行った。
  • 大沼 章子, 小池 恭子, 伊藤 徹, 加藤 昌志
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P27 12-P05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    2009年秋に、ネパール・アンナプルナ山群の周りをマルシャンディー河沿いに北上し、トロンパス(5416 m)を越えてカリガンダキ河沿いに下るトレッキングルートで陸水(飲料水源・河川水・温泉水)を採取し、ICによる主成分イオンおよびICP-MSによる元素分析を実施した。主成分イオンによる水質組成は、ヒマラヤの地形や地質構成をよく反映した結果であると考えられた。また、ネパールではテライ平原の地下水からAsが検出されているが、本調査試料からは検出されなかった。
  • 伊藤 由喜, 山本 鋼志, 林 誠司
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P28 12-P06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では「二枚貝の特定部位を用いた沿岸域汚染指標の確立」を行っている.対象海域に広く分布する貝種を対象とし,二枚貝の部位ごとの重金属元素定量を通して各金属元素の汚染指標に適した部位を決定することで,高感度な汚染指標として二枚貝を利用することを目指した.採取した二枚貝は,目視にて識別可能な部位ごと(水管,外套膜,貝柱,足,中腸腺など)に解剖の後,定量した.
  • 大平 孟, 村松 容一, 早稲田 周
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P29 12-P07
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    群馬県赤城火山以南に分布する温泉について,深部流体の水質形成機構を考察するとともに,水-鉱物相互作用の化学平衡論によって検証した。14地点の掘削泉で採取した温泉水の主成分および酸素・水素安定同位体分析を実施するとともに,鉱物の飽和指数を水‐鉱物平衡計算プログラムSOLVEQ (Reed,1982) で求めた。温泉水のpHと水温はそれぞれ6.1~8.8,19.6~53.4 ℃にあり,泉質はNa-Cl,Ca-HCO3,Na-HCO3,Na-SO4型に属する。Na+とCl- 濃度の関係によれば,温泉水は降水に極めて卓越する化石海水混合を示唆する。温泉水のδDとδ18O値は天水線上(δD=δ18O+10)にある。海水補正後の成分間の濃度相関に基づけば,Na-Cl型およびCa-HCO3型温泉はNa-モンモリロナイトとCaを含む深部流体の陽イオン交換反応,Na-HCO3 型温泉は斜長石の風化作用にそれぞれ支配される。これらの温泉の水質形成機構は水-鉱物相互作用に関する化学平衡計算結果と整合する。
  • 中田 亮一, 高橋 嘉夫, 角皆 潤, 鄭 国東, 清水 洋, 服部 恵子
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P30 12-P08
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    泥火山とは地下深くにあった泥が地上に噴出したものであり,活動的圧縮場などを中心に世界中に存在している.泥火山は揮発性成分,特に温暖化能力の大きなメタンに富んでいるため,泥火山からのメタンの地球規模でのフラックスは地球温暖化の観点から関心がもたれている.本研究では,このように関心を集める泥火山のうち,ジュンガル盆地南部に見られる泥火山について研究を行なった.昨年度は主に噴出する泥,水,気体に対する地球化学的な分析の全体的な傾向を紹介した.本年は特に,メタンの起源としては重要な熱分解反応と微生物によるメタン生成反応の区別を地球化学的データから試みた結果を議論したい.
  • 佐々木 崇, 大類 壮央, 吉田 磨
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P31 12-P09
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    北海道北部枝幸郡浜頓別町に位置するクッチャロ湖は、平成元年に日本で3番目にラムサール条約登録湿地に登録された。10-11月のピーク時には数千羽のコハクチョウが飛来する。飛来後に糞尿由来の栄養塩・濁度の増加によって水質が変化し、有機物堆積による還元環境下でメタンが生成されていると考えられる。また、クッチャロ湖周辺に広がる農業地帯から試料残骸や糞尿、農薬等が流出している可能性が指摘されている。本研究ではクッチャロ湖および筑紫川において計4地点で観測を行った。その結果メタン濃度は、クッチャロ湖では ~77.8 nmol/kg であり、筑紫川においては ~349 nmol/kg と高い数値を示した。渡り鳥の糞尿による還元環境下で発生したメタンが河川へ流出していると考えられる。また、上流部の農業地帯から流出したと考えられる試料残骸や農薬などが河口域に水質汚染を与えている可能性が高い。
  • 片岡 良輔, 山本 鋼志, 牛原 康博
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P32 12-P10
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    河川を通じた工場からの汚濁物質などの排出に対しては、総量規制により強く規制されている。しかし、大阪湾をはじめとする閉鎖性の内湾域では、富栄養化に伴う赤潮の発生などの水質汚濁が深刻な問題となっている。この水質汚濁には堆積物も関与していると考えられるが、内湾域における堆積物と間隙水・海水との化学元素の収支に関しては明らかになっていない。本研究は、1) 大阪湾における金属元素を含んだ懸濁物質の移動経路 2) 堆積物と間隙水の間の元素分配を明らかにすることを目的としている。今回の発表では、堆積物に含まれる主成分・微量成分元素の測定結果から、大阪湾堆積物の化学的な特徴や移動経路を考察した。
  • 佐藤 久晃, 臼井 朗, グラハム イアン
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P33 12-P11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    海水起源マンガンクラスト中の金属元素濃度、厚さ、間隙率や密度のほか,「時間」パラメータを加え、海域、水深の異なる数種類のサンプルの金属フラックス(濃集速度)を個別に算定した.試料内でのフラックスの時間変動や,その試料間での対比、金属フラックスプロファイルの地域的特徴、及びその時間変化の規則性・法則性の有無を検証した。その結果,このパラメータは、海洋環境復元に関して,一つの有用な数値となるとともに,より精度の高い資源埋蔵量や品位の予測・証明を可能とする指標となることが判明した。
  • 前田 俊介, 益田 晴恵
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 水圏環境地球化学
    セッションID: 1P34 12-P12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    地下水ヒ素汚染の発生メカニズムは,微生物活動による地下水の還元に伴う鉄酸化鉱物の分解とそれに吸着したヒ素の溶出だと信じられている.しかし,私たちは地下水涵養域における好気的地下水環境でもヒ素汚染地下水は形成されることを明らかにした.
    本研究ではバングラデシュ,ショナルガオのヒ素汚染地下水出現地域で採水し,その水試料を分析した.
    地下水中のヒ素濃度は,pHの値が中性よりも高くなると増加する.この結果は,pHが上昇したことによって堆積物に吸着されていたヒ素が地下水中に溶出した可能性を示唆する.アンモニウムの増加がpH上昇の原因だと推定される.地下水中のヒ素濃度は,酸化還元電位が低くなるほど高くなる.しかし,3価ヒ素と5価ヒ素の割合は酸化還元電位が下がってもほぼ一定であった.このことはヒ素の地下水中への溶出は地下水の還元反応に伴うものではないことを示している.
古気候・古環境解析の地球化学
  • 入野 智久, 池原 研, 長尾 誠也
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1P35 05-P01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    古環境復元に多く用いられる海底堆積物の主要成分は、河川から懸濁態でもたらされた陸源砕屑物である。堆積物の堆積速度や砕屑成分の組成決定機構は、古気候アーカイブとしての堆積物の記録連続性・時間解像度および後背地気候復元にとって極めて本質的である。そこで我々は北海道日高地方の沙流川を始めとする小河川群について、その懸濁機構および懸濁物組成変動を調査した。このケースでは、極めて限られた支流系からの懸濁物供給が、海洋堆積物の堆積速度と組成変動に大きく影響する可能性が示唆された。
  • 大垣内 るみ, 阿部 彩子, 末吉 哲雄, 栗田 直幸
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1P36 05-P02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    グリーンランド(GL)氷床コアから得られる水の同位体比から過去の気温を復元することは、観測される気温-降水酸素同位体比(d18O)の関係を用いる方法では過小評価されることが知られている。 Werner et al. 2000は、降水の季節進行を考慮に入れて解析するとその誤差が縮小することを示した。また、Lee et al. 2005は、氷期の海氷の増減によって降水量重みをかけた気温変化が小さくなる事を示した。
    そこで氷床コアの同位体データを用いた古気温復元の精度向上に資するため、同位体組み込み大気大循環モデル(GCM) MIROC3.2を用いて水同位体比を用いた氷期の古気温復元に海氷の増減が影響するのかを調べた。 MIROC3.2を用いて産業革命前 (PI) と 最終氷期最大期(LGM) をシミュレートした。さらに、Dansgaad-Oeschger cycleなどの氷期の間に起こる気候変動による海氷広がりの増減を想定して、海氷分布がPIの状態のLGMシミュレーションを行った。海面水温、海氷量、分布は、同じMIROC3.2の大気海洋結合GCMで計算したデータを用いた。
    降水の季節進行を考慮にいれて(降水量で重みをつける)解析を行った。この際に、それぞれの気候場での降水季節進行を考慮する必要がある。その結果、氷床上の気温とd18O関係の分布が異なる時代であっても近くなる。この結果は、Werner et al. 2000と整合的である。つまり、降水重み付き気温-d18Oの関係を用いた古気温復元ができるのではないかと思われる。解析は、6つの氷床コアサイト(Camp Century, NEEM, NGRIP, GRIP, GISP2, Dye3)に注目して行った。その結果、GL中心部では、LGM気温は2℃以下の誤差でよく再現できることがわかったが、GL南北のコアのエリアでは誤差が大きくなる。また、海氷分布が狭いLGM実験では、中心部でもLGMより誤差が大きく、中心から離れるほど大きくなる傾向は同じである(多くの場所で5℃<)。つまり氷期の海氷の増減は古気温みつもりに影響し、この傾向は、GL縁辺部にいくに従い顕著になる。これは、海氷が後退すると、GL近傍に海氷に覆われていない海面が現れることにより、その海面起源の、ソースが近く重い水蒸気がGL上にも到達するためだと考えられる。ただし、本研究では極端に海氷が少ない状況を想定したため、海氷の影響の上限を見積もったことになる。このことから、氷床コアの水同位体比を用いた古気温復元には対象の時代毎の海氷分布を考慮することが必要であり、同位体データと海氷分布の復元とを組み合わせることにより、より精度の高い古気温復元に資すると考えられる。
  • 宮入 陽介, 松崎 浩之
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1P37 05-P03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年の加速器質量分析法の進展に伴って、放射性炭素年代測定法(14C年代測定法)の進展も著しく14C年代測定法は地球科学や考古学の多くの場面で用いられ、その測定精度も約数千年の測定値に対して測定誤差が30年程度と極めて高精度で測定が可能となっている。
    大気中の14C濃度は大気循環により、非常に短時間で均質化されているが、交換速度が遅い海洋では放射壊変による14C濃度の減少がみられる。海洋表層の平均値で400年という見かけ上の14C年代値がモデルから計算されている。これは14Cの海洋リザーバー効果をよばれている。
    しかしながら、この400年という値は海域によって一定しないことが先行研究によって明らかになっており、海産物の14C年代測定を行う際の海洋リザーバー効果の補正にはその地域差(ローカル海洋リザーバー効果)をも考慮することが望ましい。
    約2000年という長い時間をかけて北大西洋から循環してきた深層水が湧昇する北太平洋域ではその影響が大きく、北米大陸西岸や日本の北海道周辺では800年以上の非常に大きなリザーバー効果が表れるという報告がある。
    北海道での14C年代測定では、深層水の湧昇域に近い千島海流の影響が強い地域では大きなローカルリザーバー効果補正値があり、千島海流の影響が少ない地域ではその補正値は小さい。しかしこの地域の先行研究によるローカルリザーバー効果補正値の報告例は少なく地域差を考慮したリザーバー効果の補正は困難であった。
    海洋リザーバー効果の検証が困難であるのには理由がある。現在の試料では核実験起源の14Cの混入の影響が大きく、自然状態の海洋リザーバー効果を見積もることができない。そのため、自然状態の海洋リザーバー効果を見積もるためには、1950年以前に採取された海産物を分析する必要がある。このような試料の入手は容易ではない。
    本研究では北海道大学総合博物館所有の海藻標本を用いて北海道周辺の海洋リザーバー効果の復元を試みた。本発表ではその結果について報告する。
  • 吉田 知紘, 多田 隆治, 郑 洪波, 豊田 新
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1P38 05-P04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    長江流域は中国中部から南部の広い範囲を覆っており,その流量は東アジア夏季 モンスーン (EASM) の影響を受け,しばしば大洪水が発生し,人々の生活にも影響してきた.また、その影響は東シナ海北部の表層水温、塩分、栄養塩濃度などにも現れ、日本海までにも及ぶ。従って、その流出量の変動を過去にさかのぼって復元する事は、重要である。東シナ海北部の表層塩分を用いて長江流出量を復元する試みは、Kubota et al. (2010 in press)により行われている。しかしながら,長江のどの流域での降水が河口からの流出量に寄与しているのかを知る事は困難であった.しかし、河口の堆積物からその供給源を推定できれば、どの流域の寄与が大きいかを判別出来ると考えられる。そのためにはまず、細粒砕屑物の流域別の特徴づけを行うことが重要である.
    本研究では,上流部から下流部の河川堆積物中の 63-250 μm フラクションを抽出し、それに含まれる石英のESR信号強度と結晶化度を測定した.その結果,ESR信号強度と結晶化度はその流域毎の地質を反映し,上流部から下流部にかけて系統的に変化することが明らかになった。本発表では、その予察的結果を報告する。
  • 吉村 寿紘, 谷水 雅治, 井上 麻夕里, 鈴木 淳, 岩崎 望, 川幡 穂高
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1P39 05-P05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年の分析技術の進歩によって,軽金属や重元素の同位体比を迅速かつ高精度に測定することが可能となり,新しい環境プロキシとして期待されている.本研究では,炭酸カルシウムの主要な共沈元素であるMgの同位体比とその温度依存性を報告する.炭酸塩試料を溶解させた後,イオン交換樹脂を用いて炭酸カルシウム試料からMgを分離し, MC-ICP-MSでMg同位体比測定を行った.深海サンゴのMg同位体分別には生息水温と対応した明瞭な温度依存性が認められた.温度依存性の傾きを無機沈殿炭酸塩である鍾乳石と比較したところ,両者の沈殿速度が大きく異なるにも関わらずほぼ同一の値を示した.また深海サンゴと生有孔虫2属は誤差の範囲で関係式と一致した.このことは,高Mg方解石骨格のMg同位体分別には生物種よりも鉱物種による強いコントロールが働いていることを示唆していると供に,Mg同位体比が新たな古水温指標となる可能性を示す.
  • 可児 智美, 小福田 大輔, 磯崎 行雄
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: 古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1P40 05-P06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    ペルム紀中期に海水Sr同位体比は,古生代で最も低い “Permian minimumモを示す.それは,海洋のSr同位体バランスの古生代型から中生代型への転換点と考えられるが,そのメカニズムは未解明である.本研究では,ペルム紀中期-後期にパンサラッサ超海洋中央部海山頂部で堆積した西南日本のジュラ紀付加体中に産する上村石灰岩と赤坂石灰岩について,同位体比の経年変動を詳細な生層序とともに報告する.
口頭発表(第二日)
その他の地球化学
  • 永峰 康一郎, 茅野 琴乃
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A01 21-01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    「丹」とも呼ばれた硫化水銀の鉱石である辰砂を産する地には「丹生(ニウ)」という地名がつけられているという。水銀鉱床と「丹生」という地名との関連性については、これまで歴史学の分野で研究が行われてきたが、由来がはっきりしない地点も多い。そこで本研究では、地球表層の元素濃度分布を地図に表した地球化学図を用いて両者の関連性の検証を試みた。但し北海道はアイヌ語に由来する地名が多いため対象から除外した。
    その結果、「丹生」の地名がある地点で、地球化学図からも辰砂の産出が認められる地点とそうでない地点があった。また「丹生」以外の辰砂産出を由来としていると考えられる地名が、高濃度の水銀が検出された地点の周辺にあった。
  • 佐々田 俊夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A02 21-02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    元素周期表は理科教育の中で最も頻繁に登場する図表であり、自然科学を代表する教材であると言っても過言ではない。地球化学は元素およびそれを構成する同位体を利用して進められる学問である。多くの金属元素が鉱物を分析することによって発見されており、地球化学は元素周期表の成立に密接に関わっている。近年、レアメタルなどの地下資源に関する話題に元素名が登場する機会が増えており、元素に対する関心が高まっている。地球化学と元素の関連性を効率的かつ広域的に伝えるために、2つの教材(元素周期表サイト『石と元素の周期表』、イラスト元素周期表下敷き)の開発を行った。この講演では、これらの中身と共に、ネットと教材を利用して、地球化学教育を効率的かつ効果的に推進するための基本戦略を紹介する。
  • 岡林 識起, 横山 隆臣, 横山 哲也, 平田 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A03 21-03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    LA-ICPMSは局所同位体分析法として幅広く利用されているが、本研究では更なる高精度・高感度の局所分析を実現するための新たなサンプリング方法として、液中レーザーアブレーション(LAL)に注目した。しかしLAL法を化学分析に応用した例はないため、LAL法を質量分析計への試料導入法として利用するためにはレーザーアブレーション時、あるいはエアロゾル化過程での元素・同位体分別を評価する必要がある。そこで本研究ではLALによる元素・同位体分別の評価をおこなったので、その結果について報告する。
  • 平田 岳史, 横山 隆臣, 鈴木 敏弘, 昆 慶明
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A04 21-04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    ガルバノメトリック光学系を用いたレーザーアブレーションーICP質量分析計を開発した。ガルバノ光学系の採用により、複数の固体試料を同時にレーザーアブレーションすることが可能である。これにより、従来のレーザーアブレーション試料導入法では実現が難しかった、分析元素の「希釈」や、内標準元素の添加、さらには複数の試料の混合が可能となり、マトリックス効果を低減した信頼性の高い定量分析が可能となった。本発表では、標準添加法を例に挙げ、ガルバノ光学系の特徴を紹介する。
  • 横山 隆臣, 今井 崇暢, 横山 哲也, 高橋 栄一, 鈴木 敏弘, 竹山 雅夫, 平田 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A05 21-05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    レーザーアブレーション-ICP質量分析法は汎用性の高い局所微量元素・同位体分析法として広く利用されている.フェムト秒レーザーアブレーションシステムの実用化により、それまでのレーザーアブレーションシステムでのサンプリングが困難であった金属試料に対して安定したサンプリングが可能になり,金属相中の局所微量元素・同位体分析が可能となった. これにより,ダイアモンドアンビルセルによる地球内核-外核境界の物理条件を想定した高温高圧実験試料の化学分析が可能となった.本研究では,新たな金属標準物質を用意すべく,アーク溶解法によって20種類の親鉄性・親銅性元素を含む鉄-ニッケル合金試料を作成し,その均一性を評価するとともに,微小シングルスポットサンプリングにより得られる分析精度を見積もった.本講演では,W, Re, Osに加えいくつかの元素に対しても不均一性の評価を行った結果についても発表する.
  • 宮田 佳樹, 斉藤 香織, 堀内 晶子, 南 雅代, 上條 信彦, 福島 和彦, 中村 俊夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A06 21-06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    先史時代の食生活を復元するために,飛行時間型二次イオン質量分析法(Time-of-flight secondary ion mass spectrometry:TOF-SIMS)を用いて,土器に残存する有機物分子を分子レベルで直接同定し(非破壊分析),調理された食材を推定することが可能であるかどうか検討した.
  • 荒川 裕子, 松田 准一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: その他の地球化学
    セッションID: 2A07 21-07
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、大気中のAr, He同位体比がどのように変化していくのかを数値計算した。Arは大気中に放出されたものがそのまま大気にとどまるが、Heは大気圏外へと逃散することが知られている。大阪モデルでは、Arの現在の大気での存在量、同位体比を制約条件に数値計算を行っているので、大気中のArの同位体比の変化はマントル内同様に一義的に決まる。これよれば、大気形成後の比較的すぐ後に現在の大気中の同位体比の値とほぼ近い値になったことがわかる。一方、Heについては、大気からの逃散があり、これをどのように見積もるかが問題となる。当研究では、一次のrate process を仮定し、逃散する量は大気中に存在する量に単純に比例するとした。この場合、3He, 4Heをそれぞれ現在の大気のヘリウム量に一致させる値を得ようとすると、3Heと4Heの逃散率が10倍ほど異なる必要があることがわかった。
固体地球化学(全般)
  • 宮川 千絵, 松本 拓也
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 固体地球化学(全般)
    セッションID: 2A08 19-01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    岡山大学地球物質科学研究センターでは、全希ガス同位体分析とK-Ar年代測定を共存可能なシステムの構築を目指し、既存の分析設備の改修、改良作業を2008年度以来継続的に行っている。特に、長期にわたり38Arスパイクを用いたK-Ar年代測定専用機として有効利用されてきた(1990-1997年に3000試料以上、長尾、1998)ことや、2005年にはネオンを用いた放電洗浄を施されていた経緯もあり、通常なら可能なレベルの希ガス同位体分析が困難な状況にあった。そこで、質量分析計の部品の全てについて電解研磨処理を施した結果、大気標準試料の38Ar/36Ar同位体比の再現性も高く、ネオン同位体の静的真空下での放出も30分程度の分析時間内では検出されにくいレベルまで低減させることができた。また、その他の希ガスのブランク量も通常使用されている同型の希ガス用質量分析計と同程度のレベルに抑えることができ、現在、こうした改修を進めた装置を用いて、海洋玄武岩試料などの天然試料の全希ガス同位体研究や、三波川帯のエクロジャイトなどの年代測定を行い、成果を挙げつつある。
  • 久保田 蘭, 太田 充恒, 今井 登
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 固体地球化学(全般)
    セッションID: 2A09 19-02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/30
    会議録・要旨集 フリー
    河川・海洋堆積物を用いて作成した地球化学図は、日本全域における有害元素を含む約50の元素の濃度分布を示す。この図は、人為的な汚染の影響を評価する際に必要となる自然起源の元素によるバックグラウンド値(基準)を提供することを主な目的としている。現在、濃度分布といった基本的な情報に加え、堆積物中の各元素の存在形態を明らかにすることを目的に研究を行っている。本研究ではその前段階として、Community Bureau of Reference(BCR)によって開発された逐次溶解法を用いて、岩石標準試料中の元素形態を明らかにした。
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